ケン・ローチ

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テンプレート:ActorActress ケン・ローチKen Loach, 本名:ケネス・ローチ/Kenneth Loach, 1936年6月17日 - )[1]は、イギリスウォリックシャー州ヌニートン出身の映画監督脚本家。労働者階級に焦点を当てた作品を作り続け、政治活動に熱心なことでも知られる。

経歴

イギリス空軍に2年従軍した後、オックスフォード大学のピーターズ・カレッジで法律を学ぶ。在学中はコメディ・グループThe Oxford Revueに俳優として参加していた。卒業後、1962年BBC入社、テレビの演出を経て、1968年、『夜空に星のあるように』で映画監督デビューを果たす。2作目の『ケス』で英国アカデミー賞作品賞監督賞にノミネートされるが、70年代・80年代は社会問題への市民の関心の低さや政治的検閲のため、長い不遇時代を過ごす。

1994年『レディバード・レディバード』、1995年『大地と自由』、1996年『カルラの歌』で、それぞれベルリン、カンヌ、ヴェネツィアと世界三大映画祭を3年連続受賞。労働者階級や移民を描いた作品で、ようやく評価が高まった。

2003年日本高松宮殿下記念世界文化賞の映像・演劇部門に選ばれた。[2]

2006年第59回カンヌ国際映画祭に出品された『麦の穂をゆらす風』で、69歳、13回目の出品でようやくパルム・ドールの栄冠を手にした。13度の出品で8つの賞を受賞している。2014年、第64回ベルリン国際映画祭金熊名誉賞を受賞した。

左翼を任じ、一貫して労働者階級や第三世界からの移民たちの日常生活をリアルに描いている。

映画のスタイルとしては、俳優の自然な演技を引き出し、リアルな状況を作り出すことを重視している。そのためシーンは最初から順番に撮影し、時には即興演技に委ねたり、脚本に結末をわざと書かずにおくこともある。有名俳優より若い才能を好む傾向にある。

監督作品

著書

  • 『ケン・ローチ 映画作家が自身を語る』グレアム・フラー編 村山匡一郎・越後谷文博訳、フィルムアート社 2000年10月

脚注

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外部リンク

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テンプレート:ケン・ローチ監督作品
  1. Loachはどじょうの意で、発音はロウチで音引きではない。
  2. 彼はこの賞のスポンサーが「反動的」メディアであるフジサンケイグループであり、中曽根康弘がバックにいる(当時、主催の日本美術協会会長は中曽根のブレーンとして知られた瀬島龍三)ことも知っていたが、敢えてこれを受けた。ローチはその賞金の一部を、日本のどこか適当な労働運動に寄付したいと考え、人の勧めで国鉄分割民営化に反対したためにJRから閉め出された闘争団に寄付した。ローチはイギリス国鉄民営化で、労働条件の切り下げやリストラに揺れる様を描いた『ナビゲーター ある鉄道員の物語』(2001年)を発表しており、かねてから民営化反対論者であった。ローチは「ナカソネなどからの賞金を受け取って、そのカネをナカソネが進めた国鉄分割・民営化に反対して闘っている人にカンパするってのはなかなかいいよね」と発言した。