ケラリーノ・サンドロヴィッチ

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ケラリーノ・サンドロヴィッチKERA1963年1月3日 - )は、東京都出身のミュージシャン劇作家脚本家演出家映画監督俳優。劇団「ナイロン100℃」主宰。横浜放送映画専門学院(現:日本映画大学)卒業。本名は小林 一三(こばやし かずみ)。妻は女優緒川たまきキューブ所属。

人物

父親はジャズ・ミュージシャン。森川信が近所に住んでおり、小学校時代は喜劇役者になるのが夢だった。

喜劇映画を愛するあまり、1976年に「喜劇映画研究会」を創設。マルクス兄弟など当時の日本では、鑑賞不可能だったアメリカの古典コメディ映画の自主上映活動等を行い、1985年まで、同会の代表をつとめた。

その一方、「KERA」(ケラ)の芸名で、バンド「有頂天」やインディーズレーベル「ナゴムレコード」の運営にあたる。命名の由来は、学校の演劇部に入る際オーディションで自身が歌った「虫けらの歌」により「ケラ」のあだ名をつけられたからという。音楽関係においては、自ら参加する有頂天、空手バカボンLONG VACATIONケラ&ザ・シンセサイザーズでの活動に加え、ナゴムレコードから筋肉少女帯人生電気グルーヴの前身)など多数の才能を発掘、輩出した。現在もミュージシャン「KERA」として活動する。

やがて小劇場での活動を開始させ、1985年に「劇団健康」、解散後の1993年に「ナイロン100℃」を旗揚げ。以来、主宰としてほとんどの作品の劇作・演出に携わっている。演劇分野では「ケラリーノ・サンドロヴィッチ」名義を使用[1]。近年は音楽活動を継続しつつも、舞台人としての動きが特に目立ち、劇団にとどまらず外部公演への演出・台本提供も活発である。また並行して、広岡由里子とのユニット「オリガト・プラスティコ」と、作品ごとに異なる出演者・趣向で企画されるユニット「KERA・MAP」(ケラマップ)もプロデュースしており、いずれも不定期に公演を行っている。岸田國士戯曲賞をはじめ舞台・戯曲での受賞歴も複数ある(下記参照)。

2003年の『1980』を皮切りに、映画監督も数作務めている。

イラストも得意としており、ナイロン100℃の所属女優犬山イヌコとの共作でポケモンえほんシリーズのひとつである『ニャースとつきみそば』の作画、ナゴムレコードで発売した音源や、電気グルーヴのシングル「少年ヤング」のジャケットイラストなどを手がけた。

2009年3月6日、女優の緒川たまきと入籍したことを自身のブログで公表した[2]

略歴

  • 1981年 - 「伝染病」結成
  • 1982年 - 「伝染病」解散 「有頂天」結成
  • 1983年 - レーベル「ナゴムレコード」立ち上げ、大槻ケンヂ内田雄一郎と共に「空手バカボン」結成
  • 1985年 - 犬山犬子(現・犬山イヌコ)、田口トモロヲみのすけらと「劇団健康」旗揚げ
  • 1986年 - 「有頂天」としてポニーキャニオンよりメジャーデビュー
  • 1988年 - 初のソロアルバム『原色』(秋元康プロデュース)をリリース
  • 1991年 - 元P-MODEL中野テルヲ、元筋肉少女帯・みのすけと「ロングバケーション」結成
「有頂天」解散
  • 1992年 - 「劇団健康」解散
  • 1993年 - 「ナイロン100℃」旗揚げ
  • 1995年 - 「ロングバケーション」活動休止
「ケラ&ザ・シンセサイザーズ」結成(当初は「ザ・シンセサイザーズ」)
  • 1999年 - 『フローズン・ビーチ』で第43回岸田國士戯曲賞受賞
  • 2001年 - 広岡由里子と「オリガト・プラスティコ」の活動を開始。演劇ユニット「KERA・MAP」活動開始
  • 2002年 - いとうせいこうらと「空飛ぶ雲の上団五郎一座」旗揚げ
  • 2003年 - 初の映画監督作品『1980』公開
  • 2005年 - 「劇団健康」復活公演
  • 2006年 - 連続テレビドラマ『時効警察』の脚本・監督を担当
  • 2007年 - 連続テレビドラマ『帰ってきた時効警察』の脚本・監督を担当
監督映画『グミ・チョコレート・パイン』公開
  • 2008年 - マネージメント事務所として「キューブ」に所属[3]
  • 2009年 - 監督映画『罪とか罰とか』公開

受賞歴

  • 1999年 - 第43回岸田國士戯曲賞(ナイロン100℃『フローズン・ビーチ』)[4][5]
  • 2000年 - 東京都千年文化芸術祭優秀作品賞(ナイロン100℃『ナイス・エイジ』)
  • 2002年 - 第1回朝日舞台芸術賞(2001年の活動全般に)[6]
第5回鶴屋南北戯曲賞(『室温 ~夜の音楽~』)[7]
第9回読売演劇大賞優秀演出家賞(『室温 ~夜の音楽~』)[8]

脚本・演出・監督作

舞台

*ナイロン100℃名義の公演履歴は「ナイロン100℃#過去の公演」を参照。ここでは劇団以外の外部作品について挙げる。

映画

大槻ケンヂの小説を映画化。
ナイロン100℃の1996年公演(9th SESSION)『ビフテキと暴走』を原案として映画化。

テレビ

ラジオドラマ

出演

ドラマ

  • 劇団演技者。』「アンラッキー・デイズ ~ナツメの妄想~」(2004年4 - 5月、フジテレビ系)- ナツメ 役
  • 下北サンデーズ』(2006年7 - 9月、テレビ朝日系)

ラジオ

映画

著書

  • 『ケラの遺言』(1988年・JICC出版局、小林一三名義)ISBN 4880633917
  • 『ライフ・アフター・パンク・ロック』(1990年・JICC出版局)ISBN 4880637882
  • 『ニャースとつきみそば』(1999年・小学館/イラストのみ:作・いぬやまいぬこ)ISBN 9784097287438
  • 『労働者K』(2009年・ 角川学芸出版)ISBN 9784046211965
  • 『映画嫌い』(2009年・祥伝社)ISBN 9784396613259
ほか、上演作品の戯曲などを刊行。

音楽作品

各バンドの活動詳細は該当項目を参照。

有頂天

  • 土俵王子
  • BECAUSE
  • ピース
  • AISSLE
  • SEARCH FOR 1/3 BOIL
  • GAN
  • SEARCH FOR 1/3 STOP! HAND IN HAND(ACID HORROE)
  • カラフルメリィが降った街
  • でっかち
  • SEARCH FOR 1/3 FIN
  • ベジタブル 有頂天1984~1987
  • 有頂天 ナゴムコレクション
  • The Very Worst Of 有頂天
  • The Very Best Of 有頂天

LONG VACATION

  • LONG VACATION 1991 SUMMER
  • LONG VACATION'S TOUCH Vol.1
  • LONG VACATION'S TOUCH Vol.2
  • LONG VACATION'S TOUCH Vol.3
  • LONG VACATION'S POP
  • SUMMER LOVERS
  • AFTER SUMMER LOVERS
  • SUNSHINE NOTE
  • MONHOLE FILE
  • PLATINUM NIGHT
  • DRIVE TO THE 21st CENTURY
  • SUNDAY AFTERNOON
  • TOKYO PORCUPINE COLLECTION featuring LONG VACATION
  • SUNDAY AFTERNOON ORIGINAL SOUNDTRACK
  • SLAPSTICKS ORIGINAL SOUNDTRACK
  • 1979 ORIGINAL SOUNDTRACK
  • NEXT MYSTERY ORIGINAL SOUNDTRACK

ケラ&ザ・シンセサイザーズ

  • ザ・シンセサイザーズ(「ザ・シンセサイザーズ」名義)
  • ナイト・サーフ
  • 隣の女
  • 15ELEPHANTS
  • Body and Song
  • ザ・ベスト・オブ・ケラ&ザ・シンセサイザーズ

ケラ ソロ&ユニット

  • アニマル・カフェ
  • 愛のまるやけ
  • 展開図
  • RECORD
  • 原色
  • シャイコナ・ボックス(Mr.ナゴム&ジ・インディーズ)
  • ケラ ナゴムコレクション(「唯一度だけ」以外の上記作品の楽曲すべてにボーナストラック収録)

空手バカボン

  • バカボンのススメ
  • 孤島の檻
  • バカボンの頭脳改革 ~残酷お子供地獄~
  • ベスト
  • 空手バカボン ナゴムコレクション

楽曲提供など

その他の参加バンド・ユニットなど

伝染病、輪廻、クレイジーサーカス、健康、B-MOVIE、此岸のパラダイス亀有永遠のワンパターンバンド、秩父山バンド、POP MUSIC RETURNS、Jトンプソン商会、エレキバター、ザ・ガンビーズ、No Lie-Senseなど

脚注

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外部リンク

  • 「サンドロヴィッチ」はスラブ語圏での「サンドルの息子」の意つまり父称で、姓ではない
  • ケラリーノ・サンドロヴィッチblog『日々是嫌日』2009年3月6日付「ご報告があるのです。」
  • ケラと「ナイロン100℃」のマネージメントが株式会社キューブに移管 - 「CINRA.NET」2008年8月22日記事
  • 白水社:岸田國士戯曲賞/受賞作一覧
  • 第43回岸田国士戯曲賞受賞時の新聞記事
  • 第1回朝日舞台芸術賞
  • 光文社:鶴屋南北戯曲賞
  • 第9回受賞作:読売演劇大賞