ケミカル・ブラザーズ
テンプレート:Infobox Musician ケミカル・ブラザーズ (The Chemical Brothers)は、イギリスのテクノ、エレクトロニック・ミュージック・ユニット。
デビュー以来、ロックとダンス・ミュージックを繋ぐ架け橋としての役割を大きく担ってきたパイオニアであり、斬新なビート・センスと先進的なトラック・メイクで数多くのヒット作を世に送り出し、ダンス系ミュージシャンとしては異例の好セールスを記録。今やダンス・ミュージック界を代表するデュオでありながら、ライヴなどの活動も精力的にこなしている。
来歴
1989年にマンチェスター大学で知り合った、トム・ローランズ (Tom Rowlands)とエド・シモンズ (Ed Simons)により結成され、1992年にダスト・ブラザーズ (The Dust Brothers)名義で活動開始。
ニュー・オーダーが経営に携わっていた地元マンチェスターのクラブ、ハシエンダでDJとして活躍するようになり、デッド・カン・ダンスの曲をサンプリングした「Song to the Siren」でデビュー。1994年には、ロンドンのパブ、ジ・アルバニーの地下で日曜の午後に行われていた伝説のクラブ・イベント「ザ・ヘブンリー・サンデー・ソーシャル」でDJを担当し、イベントの存在が口コミでクラブ・キッズの間で評判になると同時に、テクノ路線に移行して頭角を現していたアンダーワールドのサポートを務めるなどライヴ活動も開始し徐々にその名が知れ渡るようになった。このイベントには、当時人気を博していたシャーラタンズ、セイント・エティエンヌ、マニック・ストリート・プリーチャーズなど、ブリット・ポップ系のアーティストが多く出入りしていたため、彼らとの交友関係も深まっていった。この時期、既に存在していたアメリカの同名のグループ(ベックのアルバム『オディレイ』の共同プロデユースやデヴィッド・フィンチャー監督の映画『ファイト・クラブ』への楽曲提供で知られる) からクレームを付けられ、現在の「ケミカル・ブラザーズ」へと改名した。
1996年、オアシスのノエル・ギャラガーをゲストボーカルに迎えた「Setting Sun」が、シングル・チャートの1位を獲得する大ヒット。ビートルズの楽曲「トゥモロー・ネバー・ノウズ」を現代に蘇らせたと評された。
グラミー賞も度々受賞しており、1997年にシングル「ブロック・ロッキン・ビーツ」が「Best Rock Instrumental Performance」賞を、2005年には5thアルバム『プッシュ・ザ・ボタン』が「Best Electronic/Dance Album」賞とその1stシングルである「ガルバナイズ」が「Best Dance Recording」賞をダブル受賞し、さらに2007年の6thアルバム『ウィー・アー・ザ・ナイト』も「Best Electronic/Dance Album」を受賞した。
現在、本国イギリスでは2作目以降5作連続でアルバム・チャート1位を記録しており、これはダンス・アクトとしては他に類を見ない大記録である。
音楽性
テンプレート:出典の明記 テンプレート:独自研究 ブレイクビーツを基調とし、そこにロックなどを融合したサウンドは「ビッグ・ビート」、「デジタルロック」と呼ばれ、世界中のクラブミュージック・シーンに多大なる影響を与えた。その音楽性は、ビッグ・ビートという名で定着するまでは、彼らの楽曲名でもある「ケミカル・ビーツ(Chemical Beats)」という名でも呼称されていた。また、アルバム・レコーディングに参加するゲスト・ヴォーカリスト達も毎回注目を集め、その人選はロック畑からR&Bシンガー、ラッパーまで多岐にわたる。
初期はギターと生ドラムを軸にロックバンド然としたブレイクビーツ・サウンドで脚光を浴びたが、2000年代に入ってからは、よりサイケデリックへの傾倒を顕著にしてトリップ感に特化したレイヴ路線を邁進し、ダンス・アンセムとなった「ヘイ・ボーイ、ヘイ・ガール」や「スター・ギター」といった大ヒット曲を発表。さらに最初のベスト盤を挟んでからはヒップホップにも接近。特に、エレクトロニックなビート・トラックにラップをフィーチュアしたシングル「ガルバナイズ」が世界的な評価を得て、また新たな境地を開拓した。
ニューレイヴ等々、近年はビッグ・ビート以来久々の大型ダンス・ムーヴメントの流行もあり、改めてケミカル・ブラザーズの功績に対するリスペクトが広がっている。
ディスコグラフィ
オリジナル・アルバム
- さらばダスト惑星 "Exit Planet Dust" 1995年
- ディグ・ユア・オウン・ホール "Dig Your Own Hole" 1997年
- サレンダー "Surrender" 1999年
- カム・ウィズ・アス "Come With Us" 2002年
- プッシュ・ザ・ボタン "Push the Button" 2005年
- ウィー・アー・ザ・ナイト "We are the Night" 2007年
- 時空の彼方へ "Further" 2010年
編集盤
- ライブ・アット・ザ・ソーシャル ボリューム1 ミックスド・バイ・ザ・ケミカル・ブラザーズ "Live at the Social Volume 1 Mixed by the Chemical Brothers" 1996年
- ブラザーズ・ゴナ・ワーク・イット・アウト "Brothers Gonna Work It Out" 1998年
- ベスト・オブ・ケミカル・ブラザーズ~シングルズ93-03 "Singles 93-03" 2003年
- ブラザーフッド~ザ・ベスト・オブ・ケミカル・ブラザーズ "Brotherhood" 2008年
ゲスト参加した主なアーティスト
- ベス・オートン - 「Alive Alone」「Where Do I Begin」「The State We're in」
- ノエル・ギャラガー(オアシス) - 「Setting Sun」「Let Forever Be」
- ティム・バージェス(ザ・シャーラタンズ) - 「Life is Sweet」「The Boxer」
- バーナード・サムナー(ニュー・オーダー) - 「Out of Control」
- リチャード・アシュクロフト(ザ・ヴァーヴ) - 「The Test」
- Q-Tip(ア・トライブ・コールド・クエスト) - 「Galvanize」
- ケリー・オケレケ(ブロック・パーティ) - 「Believe」
- クラクソンズ - 「All Rights Reversed」
- ティム・スミス(ミッドレイク) - 「The Pills Won't Help You Now」
- スパンク・ロック - 「Keep My Composure」
など他多数
関連項目
- ミシェル・ゴンドリー
- サンシャイン・アンダーグラウンド - バンド名を3rdアルバムの楽曲から拝借している