クロックタワー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infoboxクロックタワー』(CLOCK TOWER)はヒューマンから発売された日本ホラーゲーム。イタリアのホラー映画『フェノミナ』をモチーフとしている。監督・ゲームデザインは河野一二三

概要

セプテントリオン』、『ザ・ファイヤーメン』に続くパニックソフトシリーズの完結編。

正体不明の殺人鬼の住むに招かれた主人公が、殺人鬼からひたすら逃げながら館からの脱出を図るアドベンチャーゲーム。三人称視点のフィールド内のキャラクターに間接的な指示を与えるというゲームシステムを取り入れている(同システムの先駆けになったシエラオンライン社の『King's Quest』のシステムにほぼ近い)。このシステムと「非力でか弱いヒロイン」という設定を活かし、ホラー映画さながらの「逃げ惑うキャラクターを鑑賞者の視点で見守るもどかしさ」を演出するとともに、ゲーム上の恐怖演出として成立させた点に大きな特徴と独自性がある。

ストーリー

テンプレート:Quotation

ゲームシステム

クリックポイント
調査可能な対象物を「クリックポイント」と呼び、これらにカーソルを合わせると、カーソルの形が変化する。その状態で決定ボタンを押す(クリックする)ことにより、その箇所を調査するもしくはドアや階段であればそこを経由して別のエリアへ移動する。
「ジェニファーに間接的に指示を出す」というスタイルとなり、ジェニファー自身を直接動かすことはできない。
通常状態
シザーマンが出現していない、BGMが無音の状態(BGMが鳴る特定の部屋は除く)。この状態の時に、特定の地点を調べて敵出現のフラグを立てることによりシザーマンが出現し、逃走状態に移行する。
逃走状態
主人公がシザーマンに追跡されている状態。クリックポイントが通常状態と異なり、敵を撃退もしくは回避するためのポイントにしかクリックポイントが発生しなくなる。シザーマンを撃退、もしくは回避しない限り解除されない。また、逃走状態中でもシザーマンが絶対に入ってこないマップもあるがそこに入っただけでは回避したことにはならない。
本作では『2』以降と異なり、時間経過によるランダム出現はなく、特定の地点を調べた時と特定のイベントでしか出現しない。
パニック回避
シザーマンに近接した場合、又は他の敵やトラップに襲われて主人公の生命が危険に晒されている時、×ボタン(PS版。初期配置)を連打すると一時的に回避できる。ただしシザーマンの場合は完全に回避するには隠れるか、撃退するしかない。このシステムは「Renda Sezuniha Irarenai(連打せずにはいられない)」の頭文字を取って、「RSIシステム」と命名されている。
本作におけるRSIシステムは比較的『2』に近く、後先考えずパニック回避をしていてはすぐにやられてしまう。一方、PS版においては『2』のように「成功したら体力減少で回避、失敗もしくは体力最低値の時に即死」といった判り易いものではなく、特にシザーマンが相手の場合は「成功したら僅かに体力が減少し、一時的に回避。失敗したら攻撃を受けて体力が大幅に減少する」となっている。
無論、いずれの場合でも体力が最低の状態でシザーマンに接近されれば無条件でゲームオーバーとなる。このイベントは廊下などの開けた場所でシザーマンに近接した場合に発生するものであり、個室などの狭い空間、或いはマップの端付近で近接した場合はRSIシステムが発生すらせず、一方的に殺されてしまう。
シザーマン以外の即死トラップ等で発生する場合では連打に失敗すると同時に死亡するものが多い。ただし、続編と異なり体力の状態は回避の成否には影響しない。体力が最低でも連打さえ成功すれば回避できる。
疲労と体力回復
本作の独自要素として「疲労」の概念が取り入れられており、体力を回復させるためにジェニファーを立ち止まらせ、床や地面に座らせることにより回復させなければならない(『2』と異なり、通常状態中の時間経過での回復はない)。
画面両端以外の場所で、Xボタン(PS版では△ボタン。これらは初期配置による)を押すか立ち止まると、ジェニファーが座り体力を回復する。本作では敵からの攻撃やショックイベントの他に走るだけでも体力を消耗してしまうため、こまめな回復が必要になる。逃走状態中でもシザーマンが入ってこないエリアであれば回復は可能。体力の減少と共にジェニファーのフェイスウィンドウの色が変わっていき、それに合わせてジェニファーの表情も変化していく。
ゲームオーバー
ジェニファーが死亡してしまうとゲームオーバーとなり、タイトル画面に戻る。メインメニューからコンティニューを選択すれば、ゲームオーバー直前からやり直せる。ただし、次回作以降のように体力が一段階回復するといった措置はない。
バッドエンディングでは最後にゲームオーバーと同じ画面が表示されるがコンティニューは不可能。
オートセーブ
本作では次回作以降のように任意でセーブすることはできず、部屋に出入りを繰り返す度にオートセーブが入り進行状況が自動的に保存されるようになっている。
データ枠も1つしかないため、別のデータから仕切り直すことはできない
一部のオブジェ配置
一部のアイテムや、特定の状況下での人物の配置、一部の部屋と部屋の繋がりが、プレイする度にランダムで変化する。
マルチエンディング
本作はフラグ立ての流れによってエンディングが分岐する。最高位のランクSを含めて全9種類のエンディングが用意されている。

登場人物

ジェニファー・シンプソン
本作の主人公。可憐な容姿の美少女。14歳。幼い頃に母が蒸発、9歳の時に父が行方不明になってしまったため、グラニッド孤児院で育った。その後にバロウズ家の養子として屋敷へ向かうが、数々の怪異と恐ろしい殺人鬼に狙われる羽目になってしまう。少女ゆえ非力で体力も乏しいが、いざという時には思いがけない反撃に出るタフさも持ち併せている。
アン
ジェニファーの親友。15歳。ややワガママな性格。内気なローラと仲良し。ゲーム中では一番死亡のパターンが多い。姓がないのは、捨て子のためである(小説版クロックタワー2より)。
ローラ・ハリントン
ジェニファーの親友。14歳。おっとりかつ内気な性格で上品な雰囲気の少女。強気なアンと仲良し。
ロッテ
ジェニファーと最も気の合う親友。14歳。メンバーでは唯一ショートヘアにGパンというボーイッシュなスタイルで、性格も活発かつ快活。ジェニファーとは別に単独でバロウズ家の秘密を探ろうとするが重傷を負わされ、ジェニファーにシザーマン打倒のヒントを遺して息を引き取る。アン同様、捨て子。
メアリー・バロウズ
グラニット孤児院の教師。35歳。ヒステリックで生徒からは煙たがられている。ジェニファー達を時計塔屋敷に引率してきた。実は今回の事件の首謀者でボビィとダンの母親でありサイモンの妻。エンディングによって死亡の仕方は様々だが、小説版クロックタワー2では“鳥に全身をついばまれた死体”となっている。
ボビィ・バロウズ
本作におけるシザーマン。サイモンとメアリーの息子で、ダンの双子の弟。9歳。巨大なハサミが特徴の殺人鬼。定められた条件を満たさない限り、決して死ぬことがない。動物、人間とその手に掛けた者の数は計り知れない。
ダン・バロウズ
サイモンとメアリーの息子で、ボビィの双子の兄。9歳。肥大化した肉体を持つ巨大な嬰児だが運動器官が未発達な代わりに強力な念動力と透視能力を持つ。屋敷内の怪奇現象は彼の仕業と思われる。
サイモン・バロウズ
屋敷の当主。37歳。当主だが中庭の牢屋に入れられているうえ、酷い虐待を受けたせいか発狂している。ジェニファーを食べ物と認識して襲い掛かる。小説版クロックタワー2では、死亡したことが判明。
ウォルター・シンプソン
ジェニファーの実父。産婦人科医。メアリーの出産に立ち会うためにバロウズ家へ来るが、出産の際にダンとボビィに腕を食いちぎられた上に密室に幽閉され、ジェニファーとの再会が叶わぬまま死んでしまう。

移植版

CLOCK TOWER for Windows 95

パソコンへの移植版(Windows 95向け)。細部で追加要素や変更が施されている。

  • BGMの音数が増加。一部のアイテムの配置と効果音の変更。
  • SFC版にあったバグの修正。
  • 「転んだ時のジェニファーの台詞」「体力の消耗に伴うジェニファーの表情の変化」といった要素の削除。
  • 「カラスの屍骸のアップ」「ミイラが動き出して襲い掛かって来る」「シザーマンが踊るような動きをする」などの要素の追加。
  • ジェニファーの体力の回復に要する時間の大幅短縮。逆に体力は減り易くもなっている。
  • 続編『クロックタワー2』への伏線となる演出の追加。

後に『ULTRA2000「CLOCK TOWER〜クロックタワー〜」』という廉価版が発売された。低価格になりタイトルが変わった点以外は上記と同様。

CLOCK TOWER 〜The First Fear〜

PS移植版。画質や機種依存による音質の劣化を除き、パソコン版の内容を踏襲している。初回版として、メモリーカードホルダー・ブックレット・オリジナルソフトカバーが付いた。

クロックタワー for ワンダースワン

WSへの移植版。モノクロであり画質・音質はSFC版より劣化している。また、携帯機という制約上、画面に表示されるのは最低限の情報のみで各登場人物の顔が表示されなくなった。ジェニファーも例外ではない。なお、PS版において追加された一部グラフィックが収録されている他、PS版の「アイテムの配置が違う」「ミイラが動き出す」等の演出も付加されている。

スタッフ

  • ディレクター - 河野一二三
  • イメージイラスト・オフィシャルコミック - 貴山由妃

関連項目

外部リンク