クラスノダール

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テンプレート:世界の市 クラスノダールテンプレート:Lang-ru Krasnodar)はロシア連邦南部の都市北コーカサス西部に位置するクラスノダール地方の行政の中心。クバン川に臨み、伝統的にクバーニ地方の中心でもあった。人口は653,300人(2004年)。モスクワから南に約1,540km、黒海沿岸の港湾都市ノヴォロシースクからは北東へ80km入った内陸にある。

名称

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クラスノダールを流れるクバン川

都市の建設は1794年1月12日グレゴリオ暦)で、当時の名前はエカテリノダール (Екатеринода́р Ekaterinodar)だった。これは「エカテリーナの賜物」を意味し(ダール -дар は「贈り物」を意味する)、エカチェリーナ2世クバーニ地方の広大な土地を黒海コサック軍(後のクバーニ・コサック軍)に与えたことを記念していた。また市の守護聖人にもなっているアレクサンドリアのカタリナをも記念したものであった。

十月革命後の1920年12月、エカテリノダールは現在の名称であるクラスノダールに改名された。クラスノ(Красно-)には古語の「美しい」という意味と、「赤い」という意味があり、「美しい賜物」とも「赤い賜物」とも解釈できる。共産主義革命直後の政治的空気から、皇帝にちなんだ名から革命にちなんだ名に変えることが行われたことが背景にある。

歴史

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クラスノダール中心部の十月革命広場と政府ビル

1793年(ユリウス暦)、チェルケシア(北カフカース西部のチェルケス人らが住む一帯)の領有をオスマン帝国と争っていたロシア帝国の皇帝エカチェリーナ2世は、チェルケシアの国境地帯を防衛するためにウクライナ南部の黒海コサック軍にこれらの地を領地として与え、要塞を築かせた。当時エカテリノダールと呼ばれたクラスノダールは、この時に建設された要塞のひとつである。こうした経緯からクラスノダールも含めクバーニ地方にはウクライナ系住民が多い。

エカテリノダールは19世紀前半にはクバーニ・コサック軍の政治・経済の中心地として発展を遂げていた。1860年にはエカテリノダールを州都とするクバン州が設置された。19世紀後半に鉄道が開通してから町は大きくなり、1888年には人口45,000人ほどを擁するロシア南部の交易中心都市のひとつとなった。1897年にはクバーニ・コサック軍の駐屯地建設以来200年を記念してオベリスクが建てられた。

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1900年代のエカテリノダール(クラスノダール)

ロシア革命後のロシア内戦時には、エカテリノダールは反ボリシェヴィキクバーニ人民共和国の首都となった。エカテリノダールは赤軍白軍の間で何度も争奪された。特に、クバーニ・コサックの多くは反革命・反ボリシェヴィキ側を支援し白軍へと身を投じている。1920年12月にエカテリノダールは「クラスノダール」と改称された。

第二次世界大戦大祖国戦争)では、クラスノダールは1942年8月12日から1943年2月12日までの間ドイツ国防軍に占領された。クラスノダールは戦闘で大きな打撃を受けたが、戦後速やかに再建されている。ドイツ軍から解放された後の1943年の夏、ソビエト政権はナチスとの内通や戦争犯罪への関与を巡って、自国民も含めた被告に対し裁判を開始した。これらの裁判の最初となる裁判が1943年7月14日から17日までクラスノダールで開かれた。これはホロコーストにおけるユダヤ人大量殺害に対する最初の公開裁判でもあった。クラスノダールでは8人に死刑が言い渡され、その処刑は数千人の市民が集まる市の広場で公開的に行われた。

気候

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文化・見どころ

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クラスノダールのシューホフタワー
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プーシキン図書館

クラスノダールには、ロシア・アヴァンギャルドの建築家・技術者であるウラジーミル・シューホフが設計した双曲面構造の鉄塔(シューホフ・タワー)が残っている。この塔は1928年に建てられ、クラスノダール・サーカスの近くに現存している。

聖エカチェリーナ聖堂、州立美術館、マクシム・ゴーリキーを記念して名づけられた広場と劇場、クラスノダール交響楽団が本拠とする南部屈指の音響を誇るコンサートホール、州立コサック合唱団、クラスノダール・サーカスなど、文化活動は活発で施設も整っている。

クラスノダールの名所の多くが集まるのが目抜き通りのクラスナヤ通りで、通りの起点には中央コンサートホールが、終点にはアヴローラ映画劇場がある。また通りの中ほどには凱旋門が建っている。

交通

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クラスノダールの市電

クラスノダール国際空港(パシュコフスキー空港)はクバン航空(Kuban Airlines)の本拠となっておりロシア国内外の各地へ定期便が飛ぶ。

市内交通はバス、トロリーバス路面電車マルシュルートカが担っており、トロリーバスと路面電車が主な交通手段となっている。

経済

ソビエト連邦時代には工業都市として知られ、今日でも農作業機械などの機械製造や食品加工などが盛ん。黒土地帯にあり土地が肥沃で、トウモロコシやコメなどの穀類やひまわり、果物を耕作する。茶の栽培も盛んで、世界の茶栽培の北限に近い。

スポーツ

サッカーのクラブチームFCクバン・クラスノダルが本拠を置く。

女子バレーボールのクラブチームのディナモ・クラスノダールがある。

友好都市

クラスノダール出身の人物

脚注

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外部リンク

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