キングス・クロス駅

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テンプレート:Infobox London station キングス・クロス駅英語King's Cross station)は、1852年に開業した主要鉄道ターミナルである。駅はロンドン中心部の外縁部、キングス・クロス地区のA501ユーストン・ロードとヨーク・ウェイの交差部にあり、カムデン・ロンドン特別区内のイズリントン・ロンドン特別区との境界部にあたる。

キングス・クロス駅はイギリスの主要鉄道幹線の1つであるイースト・コースト本線の南の終着駅である。すぐ西隣にはユーロスターの終着駅であるセント・パンクラス駅があり、2つの駅はロンドン地下鉄キングス・クロス・セント・パンクラス駅を共有している。

所在地と周辺事情

キングス・クロス駅の西側はセント・パンクラス駅、新大英図書館ビル、そしてユーストン駅に接続していて、すべて徒歩数分圏内である。

再開発されたセント・パンクラス駅は、2007年11月14日以降、 ウォータールー国際駅に代わるハイ・スピード1[1]の新しいロンドン終着駅である。ユーロスターリール・ユーロップ駅パリ北駅、そしてブリュッセル南駅の各駅とそれぞれ結び、また2009年からは国内のサウスイースタンがハイ・スピード1のルートを使いケントと結んでいる。

数年来の大規模な再開発は、建設中のホテルとオフィスを除き終了している。

ネットワーク・レールはイースト・コースト本線のために本駅に信号室を所有しており、ビグルウェイドとロイストンまでの列車とノーザン・シティ線を制御している。ピーターバラ信号室がビグルウェイド以遠を、ケンブリッジ信号室がロイストン以遠をそれぞれ引き継ぐ。ファースト・キャピタル・コネクトは、キングス・クロスPSBにあるサービス・デリバリー・センターと呼ばれる制御室からGNルートの列車を制御している。

運行情報

イングランド北部・東部およびスコットランドへ/からの列車が発着する。ケンブリッジ、ピーターバラ、ハル、ドンカスター、リーズ、ヨーク、 ニューカッスル、エディンバラ、グラスゴー、ダンディー、アバディーン、そしてインヴァネスを結ぶ。

現在4つの鉄道会社が本線駅への運行を行っている:

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キングス・クロス駅正面の出発時刻表示板

歴史

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開業当初のキングス・クロス駅
1852年のイラスト)

キングス・クロス駅は元々グレート・ノーザン鉄道のロンドン・ハブおよびイースト・コースト本線の終着駅として設計・建設された。駅名はロンドンのキングス・クロス地区に因んだものである。その地区名はジョージ4世の記念碑に由来するが、記念碑は1845年に取り壊されている[2]

駅の建設計画は1848年ジョージ・ターンブルGeorge Turnbull)によって立てられた。ターンブルはグレート・ノーザン鉄道のロンドンの北の最初の20マイルの建設を行った常勤技師だった[3][4]

駅の詳細設計はルイス・キュービットLewis Cubitt)により1851年から翌1852年にかけてかつての天然痘病院で行われた。今日1番線から9番線までを含む駅の主要部分は1852年10月14日に落成した。これにより1850年8月8日に開業した処女路線の臨時終着駅はその役目を終えた。

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キングス・クロス駅8番線からの眺め
ファイル:Kings Cross 1.jpg
北側から見たキングス・クロス駅

プラットフォームは数度にわたって再構築されている。当初は到着プラットフォームと出発プラットフォームが各1本ずつしかなく(それぞれ現在の1番線と8番線に該当)、両者の間は留置線として使われていた。その後近郊交通量の増大にともない増設プラットフォームのための空間が追加されたが、壮麗さはなかった。現在9番線から11番線(そしてフィクションの9¾番線)を擁している2番目の建物はこの時代のものである。

1996年に鉄道が民営化されると、当駅への急行運行はGNER(グレート・ノース・イースタン・レイルウェイ)に引き継がれた。GNERは2005年に営業免許の再入札に成功したが、2006年12月には同免許を放棄するよう求められた。GNERが経営契約の下で暫定運営した後、2007年12月9日に現在の運営会社ナショナル・エクスプレス・イースト・コーストが営業免許を引き継いだ。

近年の都市民族学によると[5] 、キングス・クロス駅はケルト人の女王ブーディカ(Boudica)の最後の戦場の上に建設された。彼女の遺体はあるプラットフォームの下に埋葬されていて、駅の下をブーディカの亡霊が行き交っているらしい。

1987年キングス・クロス駅火災キングス・クロス・セント・パンクラス駅で発生し、31人の死者が出た。地下鉄駅は現在も大規模再開発中である(火災後の報告書に一部影響を受けている)。第1期工事は2006年に完成し、第2期工事は2011年に完成予定である。

ファイル:GNER Class 91s at King's Cross.jpg
キングス・クロス駅に停車中のGNERインターシティー2252006年1月)

1972年イギリス国鉄社内で設計された1階建ての増築部分が駅の正面に建設された。増築部分は暫定のはずだったが、30年以上経った現在も存在する。多くの人は第一級指定建築物である本来の駅のファサードを隠している増築部分に不満を持っているが、増築部分ができる前、駅のファサードは店の小さなテラスによって既に隠れていた。ルイス・キュービット建築の壮観で完全な姿をもう一度取り戻すため、この増築部分は取り壊される予定である。

1973年9月10日午後12時24分、予約ホールでIRA暫定派の爆弾が爆発、6人が重軽傷を負った。3ポンド(1.4キログラム)の装置は警告なしに駅構内に投げ込まれた。犯人の若者はすぐに人混みの中へ逃れ、捕まっていない[6]

1976年以前、キングス・クロス駅の一部は中間駅だった。フィンズベリー・パーク駅からの南方面行きの近郊列車は、ここからヨーク・ロードのカーブ沿いに地下を走り、ファリンドン駅バービカン駅、そしてムーアゲート駅に向かうシティ・ワイドゥンド線に接続した。他の方面では、ムーアゲートからの列車がホテル・カーヴ経由でワイドゥンド線を降り16番線で本線に合流した。1976年8月以降ムーアゲート駅への運行はノーザン・シティ線経由へと迂回されている。

駅舎の復元

ファイル:KingsCrossDevelopmentModel.jpg
復元工事完成後のキングス・クロス駅
(右の建物、左に隣接するのがセント・パンクラス駅

2005年、5億ポンドの復元計画がネットワーク・レールからアナウンスされた。同計画は2007年11月9日カムデン・ロンドン特別区議会の承認された[7]

主な内容は、駅舎のアーチ天井の復元および1972年の増築部分を撤去による青空広場の設置である。グレート・ノーザン・ホテル背後の駅舎西側に半円形のコンコース(2012年完成予定)が建設される。新しいコンコースは現在ある1972年のコンコース、ショッピング・エリア、そしてナショナル・エクスプレス・イースト・コースト切符売り場を刷新し、駅構内のインターシティと近郊列車の施設が統合される。また、セント・パンクラス駅へのアクセスも改善される。2つの駅に発着する国内主要路線の間の地域では約2,000戸の新しい住宅、486,280平方メートル(5,234,000平方フィート)のオフィス、そして新しい道路がキングス・クロス・セントラルとして造成・建設される予定である。

この再開発計画は議論を呼び、 設計へのアクセス改善を求める地域運動が起きている。

ハリー・ポッタ-

キングス・クロス駅はJ・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズにホグワーツ特急の始発駅として登場する。ホグワーツ特急は秘密の9¾番線(9と3/4番線)に発着するが、それは9番線と10番線の間の煉瓦の壁を通り抜けたところにある。2巻では、ドビーによって通れなくされたこともあった。

しかし、実際は9番線10番線ともに主駅舎とは別の建物にあり、さらに両者は隣接しておらず邪魔な2本の線路によって分断されている[8]。ローリングはその場所を駅舎の主要な場所にしようと考えていたが、プラットフォームの番号を間違って覚えてしまった。2001年のインタビューで、キングス・クロス駅とユーストン駅を混同してしまったと述べている。ところが現実は、ユーストン駅の9番線と10番線もまた、邪魔な2本の線路によって分断されている[9]

最初の映画が制作された際、本駅のシーンは主駅舎で撮影され、4番線と5番線は9番線と10番線に置き換えられた。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、隣接するセント・パンクラス駅の外観が使われたが、これはゴシック様式のファサードが実際のキングス・クロス駅よりも印象的であると考えられたためである。

最初の映画が公開されたとき、9番線と10番線の外側の地面にホグワーツ特急を示す大きなフロア・パネルが設置されたが、後に撤去された[10]。キングス・クロス駅構内では、「Platform 9¾」を示す鋳鉄製の標識が、実際の9番線と10番線のある建物の壁に掲げられた。その標識の下には荷物カートの一部も取り付けられた。後ろ半分は見えるが、残りの部分は壁の中に消えているように見える。

「Kings Cross」は『ハリー・ポッターと死の秘宝』の第35章のタイトルでもあり、それは駅と同じ位置に置かれている。同駅は、ハリー・ポッター・シリーズの最後の舞台として同書のエピローグに登場する。

スペリング

King's Cross(キングス・クロス)の駅名は、アポストロフィを付ける場合と付けない場合がある。

  • ネットワーク・レールロンドン地下鉄の駅、およびロンドン地下鉄地図では「King's Cross」が使われる。
  • ネットワーク・レールのウェブサイトでは「King's Cross」と表示されている[11]
  • ナショナル・レールの時刻表データベースおよびその他のナショナル・レールのページでは「Kings Cross」が使用されている。この表記はトレインライン・オンライン予約システムでも見られる。キングス・リン(King's Lynn)やアリス・ウッド(Hall i' th' Wood)のような他の駅でもアポストロフィがないが、これらはシステム上の制限あるいは書式上の慣習であるとされている。
  • 以前のイギリス国鉄もまたアポストロフィなしの「Kings Cross」を使用していた[12]
  • Kings X」または「London KX」は文字数に制限のある場合に使われる略語である。
  • KGX」は駅コードとして使用されている。

隣の駅

現在

ナショナル・レール
ナショナル・エクスプレス・イースト・コースト
イースト・コースト本線
キングス・クロス駅 - スティブネイジ駅ピーターバラ駅ドンカスター駅ウェイクフィールド・ウェストゲート駅またはヨーク駅
ファースト・ハル・トレインズ
イースト・コースト本線
キングス・クロス駅 - スティブネイジ駅
キングス・クロス駅 - グランサム駅
グランド・セントラル・レイルウェイ
ロンドン - サンダーランド(イースト・コースト本線)
キングス・クロス駅 - ヨーク駅
ファースト・キャピタル・コネクト
イースト・コースト本線
キングス・クロス駅 - フィンスブリー・パーク駅またはセント・ネオーツ駅
ケンブリッジ・クルーザー
キングス・クロス駅 - ケンブリッジ駅

2009年12月から

グランド・ノーザン
ロンドン - ブラッドフォード
キングズクロス駅 - ドンカスター駅

脚注

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外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:ロンドンの鉄道駅

テンプレート:ハリー・ポッターシリーズ
  1. ハイ・スピード1はロンドンと英仏海峡を結ぶ高速鉄道路線。以前はチャネル・トンネル・レイル・リンク(CTRL)と呼ばれていた。
  2. Highbury, Upper Holloway and King's Cross, Old and New London: Volume 2 (1878), pp. 273-279. Date accessed: 15 May 2009
  3. イングランドのケンブリッジ大学南アジア学習センターに保管されているジョージ・ターンブル(イースト・インディアン鉄道会社の主任技師)の日記より
  4. Page 87 of George Turnbull, C.E. 437-page memoirs published privately 1893, scanned copy held in the British Library, London on compact disk since 2007
  5. Boudica and King's Cross Station, (Museum of London), accessed December 6, 2007
  6. テンプレート:Cite news
  7. テンプレート:Cite web
  8. テンプレート:Cite web
  9. テンプレート:Cite web
  10. テンプレート:Cite book
  11. ネットワーク・レールのキングス・クロス駅に関する駅情報
  12. Photograph of earlier British Railways signage, featuring spelling "Kings Cross" at www.publiclettering.org.uk