カノッサの屈辱 (テレビ番組)

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テンプレート:基礎情報 テレビ番組カノッサの屈辱』(カノッサのくつじょく)は、1990年4月9日から1991年3月25日までフジテレビの深夜帯(JOCX-TV2)で放送されていた、ホイチョイプロダクションが企画した情報番組である。

本放送終了後に数回特別版が放送されている。

概要

番組概要

現代日本の消費文化史を歴史上の出来事に(しばしばやや強引に)なぞらえて解釈し、あたかも教育番組の様な体裁を取って紹介(講義)する。案内人は仲谷昇が“教授”(レギュラー放送時)として登場する。仲谷教授の「やぁ皆さん、私の研究室へようこそ」は冒頭の決まり文句となっている。大学の講堂で講義が終了するところや、人ごみの中から始まることもある。題名の由来は1077年に起こった、時の教皇と皇帝の対立から生じたことで知られる西洋史上の重要事件「カノッサの屈辱」から。ただし、番組内容との深い関わりや意味はない。

番組内で取り上げられるものは歴史上の著名な人物や出来事にちなんだ名称で登場し、解説の際に使用される図版なども歴史資料風にアレンジされたものである。構成の小山薫堂によると、『未来への遺産』(NHK総合テレビジョン)の構成をパロディ化したものであるという[1]

深夜番組でありながら当時の若者に好評のうちに受け入れられ、1990年代前半のフジテレビの深夜番組黄金期を作り出した『JOCX-TV2』から続く一連の深夜枠で放送された個性的な番組群の中においてその頂点の1つに数えられる存在である。

フジテレビでは、番組の特番等による休止も多かった(番組では仲谷が「来週は休講と致します」というような表現で案内することが多かった)。したがって、製作のフジテレビよりかなり遅く始まったテープネット局の中には、9か月くらいで放送を終了した局もある。

マーケティング三部作・第二部

本番組が放送されていた枠(フジテレビ・月曜日深夜帯)ではホイチョイプロダクション製作の情報番組として、本番組の他に『マーケティング天国」『TVブックメーカー』という番組も放送された。「マーケティング天国」では現在を、本番組では過去を、『TVブックメーカー』では未来をマーケティングするというコンセプトがありこの3番組を「マーケティング三部作」と呼ぶ事もある。

『TVブックメーカー』は本番組の放送終了後に後番組として開始されたもので、本番組内で賭けるお金の単位を「カノッサの屈辱」に因んで「カノッサ」とした(なお、仲谷はこの『TVブックメーカー』のオーナーという設定になっている)。

後続への影響

本番組と同時期の1990年代に放送されていたバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』では、「加納さんの屈辱」というコーナーコントを行っていた。教授役は「若仲谷昇」(わかなかや のぼる)名義で内村光良が演じ、若仲谷教授の講義の邪魔をする中年の男「加納さん」を南原清隆が演じた。また、南原は「加納さん」名義でCDシングル『加納さんのいいんじゃないッスか』という歌をリリースした。

本番組の形式を模しての演出が行われることも多く、以下に一例を示す。

また歴史研究の体裁を取る教養風バラエティ番組『ジョージ・ポットマンの平成史』(テレビ東京)は、本番組が『未来への遺産』をパロディ化したのと同様に『映像の世紀』をパロディ化し、さらに架空の教授などを設定している点も共通している[2]

番組終了後

カノッサの屈辱展

番組の放送終了後、池袋西武百貨店のロフトフォーラムにおいて「カノッサの屈辱」展が行われた。エントランスには仲谷教授の胸像が置かれ、番組で使用されたフェイクイラストレーション等が展示されていた。また、番組中で出題された「基礎力をたしかめよう」の全問題が配布された。

特別版

前述した通り、放送終了後も持続する番組の人気を受け、何度か特別編が放送されている。特別版では数名が仲谷教授を補佐する形や、後任教授となる形を取った。

20世紀最終講義

2000年12月31日0:30 - 5:00(12月30日24:30-29:00)に、20世紀に活躍した人々を特集し「20世紀最終講義」という名目で復活した(当時は「一度だけ」の復活とアピールされていた)。これは「20世紀最後の日[3]に20世紀中にやり残したことを最後に完遂させたい研究を披露したいこと」(仲谷談)と、『TVブックメーカー』の最後のベティングが「ディズニーランドで投票できる20世紀最大の功労者は?」というものであったため(但し後にこの投票自体が中止)、その回答という裏コンセプトもあった。

仲谷教授も出演したが冒頭のみで、全体の進行として助手の西岡徳馬が出演。実際の講義内容はフジテレビ深夜番組全史であり、当時の番組に出演していたタレントたちの懐かしい姿が映し出されていた(レギュラー放送に比べてVTRの比率がかなり多かった)。

この講義では「新宿区河田町・大エイト帝国[4]遺跡から歴史的な発見があった」との説明があるが、これは現在の港区台場の社屋に移転する前の1997年3月まで使用していた旧社屋の事で、河田町から台場に移転するにあたって、放送ライブラリーの整理を行ったことに由来する。

カノッサの屈辱2007 バブルへGO!! SP

2007年2月6日 25:08 - 25:59に、『カノッサの屈辱2007 バブルへGO!! SP』として21世紀初の復活を果たした[5](当時は「一夜限り」の復活とアピールされていた)。2006年秋に急逝した仲谷“教授”に替って講義をするのは、本番組のサブタイトルにも冠されている映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』(ホイチョイプロダクション製作)に出演した縁で就任した伊武雅刀“教授”(彼には、『白い巨塔』などで既に教授役の経験もある)。その講義内容は「携帯電話の歴史」と題し、自動車電話の時代から「ナポレ孫=正パルト」の登場(ソフトバンクの携帯電話事業参入)までを網羅したものであった。

カノッサ秋の特別講習 タイヤ幕藩体制と海外列強の展開

2008年10月16日 25:15 - 25:45に、フジテレビ系にて放映。“教授”役の人物などは一切登場せず、牧原のナレーションのみであった。ブリヂストンの歴史を中心にタイヤ古代史(1965 - 1970年)、タイヤ中世(1970 - 1981年)、タイヤ近世(1983 - 1987年)に分けて進行された。また、BSフジでも放送された。余談だが、番組タイトルが「カノッサの屈辱」ではない。

カノッサ 冬の特別講習〜ゲームの歴史〜 ゲーム宗教改革と民衆の勃興

テンプレート:節stub 2009年12月14日 25:25 - 25:55に、フジテレビで放映。前回と同様“教授”役の人物などは一切登場せず、牧原のナレーションのみであった。任天堂とソニーのゲーム開発史を中心に進行された。しかし、終盤の一部分はファイナルファンタジー13の宣伝に費やされた。地域によって続けてファイナルファンタジー13の宣伝を兼ねたゲームセンターCX地上波特別版が放映された。

キャスト

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番組スタッフ

  • 構成:小山薫堂坂内宏山田美保子田中経一
  • 脚色:平岡秀章、永麻実、川井凡、永弘道、相谷庸介
  • 音効:角千明(プロジェクト80
  • TK:水野久美
  • スタジオ照明:春日叔之
  • 美術制作:山田茂夫、内藤佳奈子
  • デザイン:雫石洋治
  • 美術進行:中本友恒
  • 撮影:大里安雄、野々村政行
  • 編集:薗部健
  • グラフィックデザイン(フェイクイラストレーション):対比地一正森恒二、下村哲也、岩佐敏行、阿部依久子(H&Bプランニング)、三橋いずみ、篠崎雅浩(テレサイト)
  • スタイリスト:波多野としこ
  • 題字:下村哲也
  • アシスタントディレクター:熊谷美保、小松美栄子、中平達将、荒松歩
  • ディレクター:豊沢隆治、市島晃生、石川のりひさ、馬場一彦
  • 演出:田中経一、杉本達、橋本寿史
  • プロデューサー:古賀憲一、桜井郁子、加藤裕子、麻生華子、宇和川隆
  • チーフプロデューサー:松尾利彦
  • ゼネラルプロデューサー:横澤彪
  • 企画:ホイチョイ・プロダクションズ(〜2007年版・企画原案)、金光修、石山辰吾、熊谷剛(2008年版・2009年版)
  • 制作:日本テレワーク(〜2007年版)、Windiie(2008年版・2009年版)、フジテレビ

関連書籍

ビデオ

  • vol.1 『ホテル四大文明の謎/縄文・弥生 女子大生装飾の謎』1991年2月21日ポニーキャニオン(発売)
  • vol.2 『律令ディスコ国家の成立と文化 前編/後編』1991年2月21日、ポニーキャニオン(発売)
  • vol.3 『女性・旅行力学 時間と空間をこえて/デート歴史 デート産業革命』1991年6月21日、ポニーキャニオン(発売)

テーマ曲

※服部のアルバム「音楽畑5〜QUATRE SAISON〜」(ワーナーミュージック、WPCL-539、1998年11月26日発売)に収録

番組一覧

平均講義出席率(視聴率)3.5%
回数 放送日 タイトル 備考
第1回 1990年4月9日 ホテル四大文明の謎
第2回 1990年4月16日 アイスクリームルネッサンス史
第3回 1990年4月30日 ニューミュージックと西太后の時代
第4回 1990年5月7日 デパート大航海時代
第5回 1990年5月21日 律令ディスコ国家の成立と文化(前編)
第6回 1990年5月28日 律令ディスコ国家の成立と文化(後編)
第7回 1990年6月4日 近世ハンバーガー革命史
第8回 1990年6月11日 幕末ビール維新
第9回 1990年6月18日 古代エーゲ海 アイドル帝国の興亡
第10回 1990年7月2日 縄文・弥生 女子大生装飾の謎
第11回 1990年7月9日 グルメ近代日本の成立と挫折
第12回 1990年7月16日 健康ドリンク百年戦争の起因と拡大
第13回 1990年7月23日 インスタントラーメン 帝国主義国家の宣戦
第14回 1990年7月30日 古代シャンプー王朝の黎明とヘアニズム世界
第15回 1990年8月6日 TVドラマ東西ローマ帝国の零落と復権
第16回 1990年8月20日 関ヶ原ビデオ合戦史
第17回 1990年8月27日 車三国志 領域拡大への道
第18回 1990年9月3日 チョコレート源平の対立と国風文化
第19回 1990年9月10日 コミック新大陸の発見と争奪
第20回 1990年9月17日 戦乱の世 お笑い武将の萌芽と栄華
第21回 1990年9月24日 期末試験
第22回 1990年10月8日 デート資本主義の構造
第23回 1990年10月15日 大和化粧品国家の成長と里程
第24回 1990年10月22日 クイズ番組史観 永遠の真理を求めて
第25回 1990年10月29日 コーヒー革命史 市民権拡大への道程
第26回 1990年11月5日 女性・旅行力学 時間と空間をこえて
第27回 1990年11月12日 狩猟から稲作へ 原始オーディオ文化の黎明
第28回 1990年11月19日 のど飴積分法 未知数の謎を解く
第29回 1990年11月26日 第一回実力テスト
第30回 1990年12月3日 古代オリエント 歯みがき文明の継承と発展
第31回 1990年12月10日 クリスマス化学史 元素記号Hの発見
第32回 1991年1月7日 アイスクリームルネッサンス史(再講義)
第33回 1991年1月14日 ゲーム産業革命 西洋文化の普及と東洋文化の動揺
第34回 1991年1月21日 幕藩・酒場改革史 婦女子の流入と台頭
第35回 1991年1月28日 お風呂戦国時代 下克上から娘封建社会へ
第36回 1991年2月4日 スキー植民活動と名誉革命
第37回 1991年2月11日 結婚電気学 Iと抵抗の仮説
第38回 1991年2月18日 第1回集中講義 テレビ史
第39回 1991年2月25日 第2回集中講義 食物史
第40回 1991年3月4日 第3回集中講義 機械商品史 平均出席率 6.7%を記録(過去最高)
第41回 1991年3月18日 卒業試験
第42回 1991年3月25日 卒業記念特別講義 テレビ全史 1時間の拡大放送
特別版1 2000年12月30日 20世紀最終講義 [3]
特別版2 2007年2月6日 携帯電話の歴史
特別版3 2008年10月16日 タイヤ幕藩体制と海外列強の展開
特別版4 2009年12月14日 ゲーム宗教改革と民衆の勃興 登龍門」枠内で放送

(備考の★はフジテレビONEにおいて、権利上の理由で再放送されなかった回)

その他

  • 当番組は先述の通り深夜番組だが、青森放送(日本テレビ系列)では、土曜14時台に放送されていた。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:前後番組 テンプレート:Asbox

テンプレート:JOCX-TV2
  1. 『スタジオボイス』1993年9月号。
  2. テレビ東京「ジョージ・ポットマンの平成史」は平成版「カノッサの屈辱」!?
  3. 3.0 3.1 番組表の上では12月30日深夜扱いだが、歴日上ではすでに31日となっていたため
  4. 大英帝国のパロディ
  5. [1] テンプレート:リンク切れ