オーム

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox オームテンプレート:Lang-en-short)は、国際単位系 (SI) の単位のひとつであり、インピーダンス電気抵抗(resistance)、リアクタンス単位である。

名称は、電気抵抗に関するオームの法則を発見したドイツ物理学者ゲオルク・ジーモン・オームにちなむ。記号はギリシャ文字のオメガ () を用いる。これは、オームの頭文字であるアルファベットO(オー)では、数字0(ゼロ)と混同されやすいからである。

概要

オームは、アンペアボルトから導出されるSI組立単位である。オームの法則より、ある装置に印加する電圧Vと、その装置に流れる電流Iは、多くの場合、比例する(V = RI)。その比例係数Rを電気抵抗という。つまり、R = VI -1である。このRのSI単位がオームΩである。VのSI単位がボルトV, IのSI単位がアンペアAなので, Ω=V・A-1である。

1ボルトの電圧を印加したときに1アンペアの電流が流れた場合、その装置は「1オームの電気抵抗を有している 」 という。電力Pは、P=VIと表せるので、P=RI2となる。従って、R = PI -2となる。このことから、ある装置に1アンペアの電流を流したとき、1ワット電力を消費した場合、その装置もまた1オームの電気抵抗を有している、ということができる。

SI基本単位では、ボルトVがm2kgs-3・A-1となるので、Ω=V・A-1より、オームΩはm2kgs-3・A-2となる。

複素数で表されるインピーダンスは電気抵抗を一般化したものである。その実数部は電気抵抗であり、虚数部はリアクタンスである。一貫性のために、インピーダンス、リアクタンスは電気抵抗と同じオームの単位を用いる。

1988年の国際度量衡委員会の勧告により、1990年よりオームの値は量子ホール効果に基づき、フォン・クリッツィング定数の協定値(R{K-90} = 25812.807 Ω)を用いて決定されている。

歴史

現在のオームにほぼ等しい単位は、1860年、ドイツのヴェルナー・フォン・ジーメンスが導入した。ジーメンスは、断面積1mm2、長さ1m、温度0の水銀柱の電気抵抗を1とした。現在のオームで正確に表せば、0.9534Ωとなる。定義に水銀が使われるのは、常温で液体の水銀は断面積の調整が容易なためである。この定義により、水銀の電気抵抗率は約1µΩmとなっている。なおジーメンスの名は、電気伝導度(電気抵抗の逆数)の単位ジーメンスに残っている。

当初はこの単位は、オーム、オーマ (ohma)、オーマド (ohmad) など様々に呼ばれた。

1874年英国科学振興協会 (BAAS) は、電圧の単位ボルトと共に、新しく定義したオームを採用した。これにより、オームの大きさは現在と同じになった。ただし、定義の仕方は異なる。

当時の単位系の標準はcgs-emu単位系で、cgs-emuの電気抵抗の単位(cgs-emuは3元系なので本来は単位名称を使わないが、便宜上アブオーム (テンプレート:En) と呼ばれる)はテンプレート:1e-オームに等しい。オームは「cgs-emu単位のテンプレート:1e倍」言い換えれば「テンプレート:1eアブオーム」として定義された。この係数テンプレート:1eは、従来のオームとほぼ同じ量になるように選ばれた。つまり当時のオームは、現在のオームのように基本単位から組み立てられた単位ではなく、実験室で再現可能な量を単位接頭辞なしで表すための、倍量単位の便利な別名であり、実用単位 (テンプレート:En) と呼ばれた。にもかかわらず現在、オームが基本単位アンペアから導出できるのは、アンペアもかつては実用単位で、恣意的に選ばれた係数を含むからである。

オームは1881年には国際電気会議(現在の国際電気標準会議(IEC))により承認された。ただしこのときの定義は、大きさは実用上変わらないが、断面積1mm2・長さ1.063m・温度0℃の水銀の電気抵抗とされていた。

メグオーム

日本にはテンプレート:要出典範囲から106 オームのことを 1 メグオーム (MΩ、megohm) と呼ぶ慣習がある。一般に106を示す接頭辞 M (Mega)がメガと読まれることからすれば特異であるともいえる。テンプレート:要出典範囲、これに関係があると思われる。最近は若年の技術者を中心にメガオームという読みが広まっていて、年配の技術者がこれを誤りと指摘する場面がしばしば見られる。

ただし、「メガオーム」という正式な表記が、電気通信事業法などにある[1][2]テンプレート:節stub

組立単位

ジーメンス、モー

テンプレート:Main オームの測定値の逆数は、コンダクタンスの単位であるジーメンスの測定値となる。コンダクタンスの単位は、かつては ohm を逆につづった mho(モー)が用いられていた。

オーム・メートル

電気抵抗<math>R</math>(Ω)は<math>R = \rho \frac{L}{A}</math>と表される(<math>L</math>: 導体長(m)、<math>A</math>: 導体断面積(m2))。比例係数<math>\rho</math>を電気抵抗率といい、その単位はΩ·m2/m = Ω·m(オーム・メートル)となる。1オームメートルは、「長さ1メートル、断面積1平方メートルの導体の電気抵抗が1オームであるときの導体の電気抵抗率」と定義できる。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Physics-stub

国際単位系(SI)の電磁気の単位
名称 記号 次元 組立 物理量
アンペアSI基本単位 A I A 電流
クーロン C TI A·s 電荷電気量
ボルト V L2T−3MI−1 J/C = kg·m2·s−3·A−1 電圧電位
オーム Ω L2T−3MI−2 V/A = kg·m2·s−3·A−2 電気抵抗インピーダンスリアクタンス
オームメートル Ω·m L3T−3MI−2 kg·m3·s−3·A−2 電気抵抗率
ワット W L2T−3M V·A = kg·m2·s−3 電力放射束
ファラド F L−2T4M−1I2 C/V = kg−1·m−2·A2·s4 静電容量
ファラドメートル F/m L−3T4I2M−1 kg−1·m−3·A2·s4 誘電率
ファラドダラフ F−1 L2T−4MI−2 kg1·m2·A−2·s−4 エラスタンス
ボルトメートル V/m LT−3MI−1 kg·m·s−3·A−1 電場(電界)の強さ
クーロン平方メートル C/m2 L−2TI C/m2= m−2·A·s 電束密度
ジーメンス S L−2T3M−1I2 Ω−1 = kg−1·m−2·s3·A2 コンダクタンスアドミタンスサセプタンス
ジーメンスメートル S/m L−3T3M−1I2 kg−1·m−3·s3·A2 電気伝導率(電気伝導度・導電率)
ウェーバ Wb L2T−2MI−1 V·s = kg·m2·s−2·A−1 磁束
テスラ T T−2MI−1 Wb/m2 = kg·s−2·A−1 磁束密度
アンペア回数 A I A 起磁力
アンペア毎メートル A/m L−1I m−1·A 磁場(磁界)の強さ
アンペアウェーバ A/Wb L−2T2M−1I2 kg−1·m−2·s2·A2 磁気抵抗(リラクタンス)
ヘンリー H L2T−2MI−2 Wb/A = V·s/A = kg·m2·s−2·A−2 インダクタンステンプレート:仮リンク
ヘンリーメートル H/m LT−2MI−2 kg·m·s−2·A−2 透磁率

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  1. 電気通信事業法「端末設備等規則」第十三条二項一号「直流回路の直流抵抗値は、一メガオーム以上であること。 」
  2. 「事業用電気通信設備規則」第二十九条三・四項「一メガオーム以上の直流抵抗値」。