オフィス・オートメーション

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オフィス・オートメーションテンプレート:Lang-en-short)は、従来、の上で手作業で行っていた事務作業を、コンピュータ技術を利用して電子化するとともに一部の定型的作業を自動化することにより効率化することである。OA(オー・エー)と略される。

概要

オフィス・オートメーションという発想は1970年代に、コンピュータ登場以降に次第に高度化する電子計算機の延長に据えられ、将来的にはホワイトカラーの働く職場は全て電子化され、ペーパーレス化が進むと言われていた。この中では、手紙、電話、テレックスといった通信はオンライン化され金銭は電子マネー化された上でネットワーク上をやり取りされる物と信じられていた。

広義には、ファクシミリコピー機などの電子機器(広義の情報機器)を用いて、紙による通信や複製を効率化することも含み、従来からある郵便よりも迅速に情報をやり取りして、業務の高速化・大容量化が期待された。

実際のオフィスオートメーションでは1980年代に、オフィスコンピュータの導入により業務を自動化、端末からデータを入力して、事務処理の一部をコンピュータに任せる事から始められ、記憶媒体の大容量化により、業務データを従来の帳簿からデータベースへと置き換えることで進んだ。また、書類作成などの面では、ワードプロセッサプリンターが活躍し、これによって大量の書類を短時間で作成できるようになった。

なおオフィス環境の自動化は、現在でも様々な仕事を電子化・自動化することで進んではいるが、行政部門の電子化の遅れや、ディスプレイの解像度や簡便性が未だ紙に及ばないため、むしろ盛んにOA化が提唱された1980年代初頭よりも、紙の使用量は増えている。この流れの中では、電子ペーパーのような軽量で扱いやすいディスプレイ装置も開発されているが、2006年現在ではまだ開発途上の域にある。

現在では、余り意識して「オフィス・オートメーション」と呼ばれることは無く、事務所といえばパソコンが普通にあるもの、LANが接続されているもの、インターネットを通じて情報をやり取りするものと言った具合に、1980年代に予測された以上の状態にある。このためオフィス・オートメーションは、僅かにOAフロアや「OA機器(情報機器と同義)」といった言葉に残るのみである。しかしそれでもペーパーレスは起こっておらず、一頃に比べれば高品質な普通紙感熱紙のようなOA専用の紙ではなく、再生紙が利用できるようにはなっているが、依然として紙媒体の完全な置き換えは起こっていない。

今後の課題

現在、事務所での作業はパソコンを用いて書類を作成したり、または電子メールで情報をやり取りしたり、データベースを使って情報管理を行う形態が普通である。この中では、扱いやすいパッケージソフトウェアオフィススイートなど)の普及にもより、業態によってはホワイトカラー労働者一人一人にパソコンが用いられている所も一般的である。書類も社内では電子データの形で回す所も多い。

しかし依然として行政の電子化は進まず、日本では電子申請も実質的に手続きの煩雑さを増したケースすら見られる(旅券申請などに顕著)。また印鑑が依然として認証手段として使われているなどの事情もあり、この辺りは「デジタルデータなど幾らでも改竄できる」という事情もあり、完全な電子化は行い難い部分がある。このため、電子化を更に推し進める上では確実な個人認証手段の開発と採用が不可欠とされ、生体認証のような形での情報管理も進められている。

その一方では、個人情報漏洩に代表されるセキュリティ上の問題もあり、これらの予防・対策も不可欠である。特にコンピュータネットワークの普及は情報の拡散を顕著化させたが、技術的手法と並行して、業務体制の見直しといった方策も求められる。

関連項目

外部リンク