エレクトーン
エレクトーン (Electone) は、ヤマハ株式会社が製造発売する電子オルガンの商品名であり、同社の登録商標(登録番号0529966など)となっている。
目次
概要
歴史
電子オルガンは、コンボタイプ、チャーチモデルなど演奏される音楽や用途によって分類されているが、エレクトーンは、オールマイティな用途に対応するホームオルガンというタイプの電子オルガンに該当する。
黎明期の電子オルガンは、ハモンドオルガンが機械的にトーンを発生させていた。日本楽器(1987年にヤマハへ社名変更)は技術者をアメリカなどへ派遣させ、トランジスタを使用した純電子式のトーン・ジェネレータを採用した電子オルガンの開発に着手した。電子発信機ではパイプ・オルガンのように、いくつもの音を合成して多彩な音を出すことはコストとスペースの関係で無理があった。そこで電子オルガンメーカーは、初めから倍音を多く含んだ波形の音を発生させ、フィルターで音色を変化させるという手法を採用せざるを得なかった。しかし、外国製品との違いを打ち出すには独特の音色で印象付ける必要があり、さまざまな波形が試みられた。発生が容易な矩形波は奇数次の倍音しか含まなかったり、のこぎり波は特徴ある音にならなかったり、音響エンジニアの腕の見せ所であった。エレクトーンは奇数次の倍音しか含まないという矩形波の欠点を補うため、非対称矩形波を採用した。
日本電気・日本放送協会(NHK放送技術研究所)との共同開発を経て、1958年に大型の試作機が完成。1959年に初代機種「D-1」が発売された。ただし、当時の大卒初任給を大幅に上回る(当時の自家用車並に匹敵する程の)高価な製品であったため、日本楽器は道志郎(官僚から電子オルガン奏者に転向した)らをデモンストレーターに起用し、多彩な音色が一人で奏でられる性能をアピールした。高度経済成長期までは専ら劇伴などの収録を目的としたNHKや映画会社、レコード会社、高級志向の社交場(クラブ・サロン・ダンスホール・ホテルなど)が主に導入していた。また、当初より海外への輸出も行われている。なお、D-1発売に先駆けて日本ビクターが真空管主体による半電子型の電気オルガン(→ビクトロン)を発売している。
1960年代以降はヤマハ音楽振興会が主宰するヤマハ音楽教室等でのレッスンと、日本楽器の月賦販売制度(現在は行われていない)の拡充により、一般消費者層の家庭にも徐々に浸透していく。
1970年に「宇宙船」と称された斬新なデザインのステージモデルEX-42を経て、1975年にエレクトーンとして発売されたポリフォニック・シンセサイザー GX-1は、プロユースとして世界的なアーティストによる楽曲制作に活かされた。
各地の結婚式場にも、結婚式における結婚行進曲をはじめとするBGM・余興でのカラオケ伴奏や即興曲の演奏用途として導入され、そこで場を盛り上げる臨機応変な演奏が奏者の稼業となっていた(ただし近年は通信カラオケによる音源再生が台頭しつつある)。
エレクトーンの機能を活かした作曲・アレンジや演奏テクニックを極めた「エレクトーン プレイヤー」と言われるプロミュージシャンも数多く登場し、音楽大学や音楽系専門学校・各種学校の一部に於いてはエレクトーンを用いる専攻課程が置かれている。
エレクトーンは、ピアノ等の高額楽器と同様に「ヤマハ特約店」となっている各地の楽器店等での販売に基本的に限定され、ポータトーン(電子キーボード)やクラビノーバといった他種のヤマハ電子楽器のように家電量販店では売られていない。中古品の売買・流通に関してはこの限りではないが、本体の製造番号部分が毀損されるなどして確認できないと修理受付対象外となる。
2009年にD-1の発売から50年を迎え、同年は『50周年記念イヤー』として、ヤマハによる記念コンサート・ライブの開催など様々な施策が実施された。
2010年5月よりヤマハグレード試験(5 - 3級)では、大都市の主要な会場を除いて使用可能機種がSTAGEA (ELS-01C) のみとなった。
現在日本における電子オルガンはエレクトーンの他に、河合楽器製作所がドリマトーン、ローランドはミュージックアトリエという名称で製造販売しており、各社毎に音楽教室を擁してそれぞれ楽器の普及に努めている。
2014年1月にSTAGEAの新機種「ELS-02シリーズ」が発表され、2014年4月10日から発売された。 またELS-01シリーズからは、ELS-02シリーズとほぼ同等の機能にする事が出来るバイタライズユニットが2014年5月7日に発売となった。
構造
エレクトーンは上鍵盤、下鍵盤、ペダル鍵盤、エクスプレッションペダル、セカンドエクスプレッションペダルを備えている。1980年代前半までの機種ではアナログ音源(→アナログシンセサイザー)であり、音色の選択は現物の楽器音(音色:トーン / ボイス)を擬似的に再現した波形をトーンレバーという上げ下げ式のレバーに一つずつ割り当て、演奏時に任意の音色となるように調節する形態であった。テンプレート:要出典範囲
1969年-1970年に発売された上級機種よりリズム機能(→ドラムマシン)が装備されることで、演奏者一人で伴奏も組む事が可能となり、更に和音に沿ってリズムとベースを刻むオート・ベース・コード等の登場で伴奏面が強化された。
1983年に発売したFSシリーズより多数のLSI回路が搭載されFM音源となる。エフェクトも全てデジタル方式となり、リズム・ボイス等の設定を機器が記憶する「レジストレーションメモリー」機能や、鍵盤を押し込んで音質を変えるアフタータッチ機能が登場した。
1987年発売のHSシリーズではFM音源のエディットが可能となり、AWM音源が登場(リズム音源のみ。上位機種のHS-8についてはAWM音源によるボイスも数種類選択可能)。MIDIインターフェイスを積極的に採用した最初の機種であり、レジストレーションメモリーや演奏データを3.5インチFDやRAMパックで保存・読み出しが可能となる外部記憶装置MDRが登場し、ミュージックシーケンサー並の自動伴奏・演奏機能が確立された。
1991年発売のEL-90以降のELシリーズはAWM音源とFM音源にハイブリッド化される。この時期以降に発売された機種では、数十から数百種類の音色をそれぞれの鍵盤に割り当てできるようになっている。
1998年発売のEL-900では、鍵盤を押し込んだまま左右に動かしてピッチに変化をつけるホリゾンタルタッチや、VA音源、XG音源といった新機軸を搭載し、2000年に発売されたマイナーチェンジモデルのEL-900mやステージモデルのELX-1mがELシリーズのプレステージモデルとして君臨した。2004年3月には現行機種となる「Electone STAGEA」が発売された。
鍵盤は基本的に上鍵盤+下鍵盤+ペダル鍵盤であり、現行モデルの「Electone STAGEA」は上鍵盤61鍵+下鍵盤61鍵+ペダル鍵盤25鍵になっている。1970年代のEX-42など当時の上位モデルでは、上鍵盤のさらに上に小型のソロ鍵盤も装備され4段鍵盤である。
「Electone STAGEA」01シリーズでは分解・組立が可能で持ち運びが簡単になっているが、それ以前の機種では分解・組立ができないために本体重量が80-110キログラム程度と大型冷蔵庫並みでなおかつ精密機械であるため、設置や輸送には楽器搬送の専門業者に依頼して慎重な取扱を実践する必要がある。 また、2014年に発売となったELS-02シリーズでは、ユーザによる分解・組立が再びできなくなった。
現行機種
STAGEA
エレクトーン ステージア (Electone STAGEA) は、2004年3月に発売された現行モデル。メインストリームのELS-01シリーズでは六角レンチを用いて容易な分解と組み立てが可能な「ユニット構造」を採用し、乗用車での可搬や機能のグレードアップが可能となった。また、鍵盤のアフタータッチでもピッチを変化させる機能やLAN端子を介してインターネットサイトへ接続する「ダイレクトコネクション」機能が搭載された。「STAGEA」の名前の由来は、演奏する場としての「ステージ」と、勇気を与えてくれる女神「ガイア」との造語になっており、いろいろな場で活躍し演奏者に勇気を与える楽器になるように名前をつけられている。
従来のELシリーズは対応メディアがフロッピーディスクのみだったのに対し、ステージアではスマートメディア・USBメモリーにも対応し、ダイレクトコネクションによりYAMAHAのサイトからレジストレーションを直接ダウンロード購入することが可能になった。
発売当初は外部記憶装置としてスマートメディアドライブを搭載していたが、スマートメディアの生産をしている東芝が2005年3月7日にスマートメディアの生産・供給から撤退することを発表したため、スマートメディアの実質的な撤退後は各種音源データ付きの楽譜の出版数が激減し、USBメモリを介したダウンロード販売へと移行している。
2009年より発売された「typeU」シリーズではスマートメディアドライブが廃止され、代わりにUSBメモリの着脱を容易にするための専用アダプターが取り付けられた。
- スタンダードモデル (ELS-01)(typeUはELS-01U)
- 2004年3月(typeUは2009年1月)に発売。
- 専用イスが付いている。
- VA音源・オルガンフルート、2ndエクスプレッションペダルは未搭載。ペダルボイスでのアフタータッチは使用出来ない。
- カスタムモデル・プロフェッショナルモデルにアップグレード可能。
- 6.5インチTFTカラーのタッチパネル液晶搭載。
- インターネットダイレクトコネクション機能を搭載している。
- 分解・組立が可能で、必要に応じて基盤・鍵盤のユニット交換によりグレードアップが可能。
- カスタムモデル (ELS-01C)(typeUはELS-01CU)
- 2004年3月(typeUは2009年1月)に発売。
- 専用イスが付いている。
- ELS-01の上位機種。VA音源・オルガンフルート・ホリゾンタルタッチを搭載。
- プロフェッショナルモデルにアップグレード可能。
- 鍵盤のみ、ペダル鍵盤のみのアップグレードも可能。
- 6.5インチTFTカラーのタッチパネル液晶搭載。
- インターネットダイレクトコネクション機能を搭載している。
- 分解・組立が可能で、必要に応じて基盤・鍵盤のユニット交換によりグレードアップが可能。
- カスタムモデル ホームエディション (ELS-01CH)
- 2012年9月に発売。
- 専用イスが付いている。
- 機能面ではELS-01CUと同等だが、スピーカーと椅子がスタンダードモデル仕様となっており、リアスピーカーが搭載されていない。
- プロフェッショナルモデル (ELS-01X)(typeUはELS-01XU)
- 2005年(typeUは2009年1月)に発売。
- 本体用スピーカーユニットは別売、専用イス付。
- 従来のHX-1、ELX-1系といったステージモデルの流れを汲む。ステージでのPA出力を想定し、ペダル鍵盤の背面にキャノンとフォーンを配置。
- 上・下鍵盤各61鍵、ペダル鍵盤25鍵を装備。
- 6.5インチTFTカラーのタッチパネル液晶搭載。
- インターネットダイレクトコネクション機能を搭載している。
- 分解・組立が可能。
STAGEA mini
ELS-01発売後も併売された「EL-100」の後継となる、音楽教室受講生(主に小児)を中心とするビギナー層を対象としたエントリーモデルである。ELSシリーズとは構造や機能面が若干異なり、演奏データなどはELSシリーズと一定の下位互換性を有する。
- ELB-01
D-DECK
STAGEA D-DECKは、ヤマハのデュアルマニュアルキーボード(2段の鍵盤を搭載しているキーボード)の商品名である。STAGEAからペダル鍵盤をとったようなものであり、ELSシリーズ (STAGEA) との一部上位互換性があり、オルガンフルートなどを装備している。専用スタンドとペダル鍵盤を加える事で、ELSシリーズと同等の演奏環境が構築できる。
- DDK-7
- 2006年発売
- 自然な演奏ポジションを可能にした2段鍵盤になっており、ライブでの使用に特化した構成となっている。
- グレードアップができないためその分、オルガンフルートを標準搭載している。
- 本体にスピーカーはなく、外付けスピーカーも別売になる。
- STAGEA D-DECK PACKAGE (DDK-7+DDKU-P7+DDKU-L7+DDKU-B7+DDKU-R7)
- 2006年発売
- 音色ボタンが大幅に省略され、ライブでの使用に特化した構成となっている。
- STAGEA D-DECK PACKAGEは本体 (DDK-7) にDDKU-P7(ペダルユニット)、DDKU-L7(キーボードスタンド)、DDKU-B7(専用椅子)、DDKU-R7(譜面板)を足したものである。
- 3段鍵盤の状態で、Electone STAGEA(スタンダードモデル)の演奏データを再現することが可能。
- ELS-01CやELS-01Xへの分解・グレードアップは不可能である。
- グレードアップができないためその分、オルガンフルートを標準搭載している。
- 他のエレクトーンに標準搭載のニーレバーがなく、オプションペダルにアサインすることしかできない。
- 本体にスピーカーはなく、外付けスピーカーも別売になる。
楽譜・音源データ
楽譜はヤマハの関連会社ヤマハ・ミュージック・メディア (YMM) が独占的に提供している。情報雑誌の「月刊エレクトーン」には最新のヒット曲が(数ヶ月遅れで)数曲掲載されている。1990年代にはkmpも登録商標の許諾を得て発売していた。
楽譜の表記はペダル鍵盤がある分3段用意されている。基本的に譜面はピアノ譜と同等であるが、レジストリメモリーの移動タイミングの表記などヤマハ独自の仕様が数多く存在するため、別途知識が必要となる。
月刊エレクトーン掲載曲やYMM発売の一部曲集の音源に関しては、特約店に設置してある「Muma」を利用することで有償で入手可能である。ステージアではMumaの他、PCブラウザーやダイレクトコネクション機能を介して「Electone Station」のデータ販売(ダウンロード販売)サイトで購入し、USBメモリ・スマートメディアに保存(ムーブ)する手段も存在する。
- 先代のELシリーズ向け曲集には音源データの入ったフロッピーディスクが同梱されていることが多いが、ステージアシリーズの曲集は基本的には楽譜のみで、前述の手段を利用することで1曲ごとに音源を購入するように改められている。
曲集付録・mumaやダウンロード販売で購入した各種メディアの楽曲データには独自のコピープロテクトがかけられており、これを改ざんする等してコピーを行った場合はバックアップ等の私的利用であっても著作権法に抵触する。スマートメディアではIDと関連づけされたSCMSによりファイルに手を加えると再生不能となる。PCで購入した楽曲は「Musicsoft Downloader」という専用ソフトを介して、PC内に一時保存されたデータをUSBメモリやスマートメディアへムーブする形態となっており、これ以外の手段(エクスプローラを用いてファイル操作を行う等)ではファイルが破損する仕組みとなっている。
曲集に付属のFDのデータが経年劣化などの理由で消失した場合、YMMでは発売から一定期間は現品送付と実費負担を条件にFDの交換に応じている。但し発売から相当年数経過(概ね2000年以前)の作品では対応していないため注意が必要である。
先々代のEL-XXシリーズやHSシリーズ対応の曲集は新規に制作されておらず、YMMにおいても絶版である。
機種一覧
- EL-900B
- 2002年発売。900と比較して若干アンプ出力が落とされ、側板の色はローズ木目から艶消しのクールブラックに変更された。EL-900mへのグレードアップキット対応である。
- EL-100
- 2002年発売のエントリーモデル。アフタータッチが搭載されていない為、ヤマハグレード7級以上を目指す場合買い替えが必須となる。
- EL-400
- 2000年発売で500より若干性能が落ちる程度。日本語表示(カタカナ)が可能。
- EL-200
- 2000年発売のエントリーモデル。FD再生時のみ500と同等の機能を発揮する。普段はイニシャル・アフター両タッチ共に使用不可能。EL100番台では唯一スピーカーがモノラルである。さらに、液晶ディスプレイがない。
- EL-900m(mはミレニアムの意)
- EL-900に様々な機能を追加して2000年発売。100番台の家庭向けでは最高機種。低音が強調される傾向がある。ヤマハグレード試験では現在でも当機種を選択可能。MIDI再生においてはGMとXGの下位音源は正常に作動するがGSとは互換性が無い。
- ELX-1m
- EL-900mをベースにし、機能を追加したステージモデル。EL-900mと同じく2000年発売。
- EL-700
- 1999年発売。900との違いはホリゾンタルタッチとリード2が搭載されていないこと。リード2とは上鍵盤でソロを担当する楽器を割り当てる場所であり、それがないことによりVA音源、ソロ機能(上鍵盤でリード2とその他の音をニーレバーで切り替える機能)も搭載されていない。
- EL-500
- 1999年発売。700との違いはレジストリメモリーボタンが8(上位機種は16)のみで2ndエクスプレッションペダルが非搭載であること。特に後者はヤマハグレード5級以上を目指す場合注意が必要。また普段はペダル鍵盤のみイニシャル・アフター両タッチがともに使用不可能である。
- EL-900
- 1998年発売。新たにホリゾンタルタッチ・ネクストソングが搭載(ネクストソングとはFDに記憶されたレジストファイルの連続読み込み機能)EL-900mへのグレードアップキットがある。
- ELX-1
- 1992年発売。EL-90をベースにしたステージモデル。リードボイス2(AWM,FM音源)、音色の拡張なども行われた。
- EL-90
- 1991年発売。10番台の家庭用モデルでは最高機種。セカンドエクスプレッションペダルが初搭載(100番台シリーズ以降の上位機種にも搭載される)
- HS-8
- 1987年発売。HX SYSTEMの技術を使用した、一般向けのエレクトーン。HX SYSTEMと比較して、AWM音源の音色が高音質となっている。HX SYSTEMとの互換性はなし。
- HX SYSTEM
- 1987年発売。FM音源と初期のAWM音源を採用したステージモデル。初のユニット構造を採用したエレクトーン。ユニットごとにアップグレードすることで、最上位モデルになるものの、多くが全て最上位モデルで購入されることが多く、実際には、HX-1と名乗ることが多い。AWM音源の音色は同時期に発売されたクラビノーバと同様に、サンプリングレートが低いため、音が暖かくこもり気味であるのが特徴。リズムパターンも自作で作ることが可能となった。MIDI端子、及び、一般向けのオーディオ端子もエレクトーンとしては初採用であった。当時のFM音源としては、HX-1のみ最高オペレータ数の8オペレータ及び16オペレータを採用していた。HX SYSTEMからソロ鍵盤がなくなった。液晶表示も採用された。電動スライダーは廃止され、詳細設定が可能な完全なデジタルなつまみとなった。ペダル鍵盤のイニシャルタッチとアフタータッチが初搭載され、セカンドエクスプレッションペダル、ピッチベンド、モジュレーションホイールも搭載された。
- FX-1
- 1983年発売。FM音源とFAM音源(リズム音源)を搭載した、完全なコンピュータ制御による一般向けエレクトーンのステージモデル。専用のメモリ(2kbytes)にレジストレーションを保存することが可能になった。リズムパターンのシーケンスを記憶することも可能となった。開発時、ヤマハ目黒のスタジオ一面に回路図を敷いて、不具合修正をしたというエピソードがある。ボリュームつまみは、従来のレジストレーションつまみのようなアナログつまみをイメージした電動スライダーで、つまみをいじると内部の抵抗から音源に対して直接音量調整がされるようになる。レジストレーション番号を変えることによって、内部のモーターが動作し、全てのつまみが物理的に動作する仕組みになっている。ペダル鍵盤以外のイニシャルタッチとアフタータッチが初搭載された。
- F-70
- 1981年発売。初のFM音源搭載のエレクトーン。パイプオルガン等の代替用として開発され、一般のエレクトーン教室等で見られることはなかった。
- EX-1
- 1977年発売。パルス(デジタル)アナログシンセサイザー技術を使用して作られた楽器。従来は非常に多くのトランジスタや抵抗、コンデンサによって楽器が構成されていたが、LSI化することでコスト削減及び楽器としての安定性・クォリティーを高めることができた。
- GX-1
- 1975年発売。アナログシンセサイザーで構成された唯一のエレクトーンであり、長期に渡りステージモデルとして活躍した。。音色はパネル上部にあるアナログシンセサイザーモジュールを取り外して、直接作成することができる。音色に自由度がある反面、本体の一部を開口する為に、音色の作成難易度は非常に高めであるが、同一の演奏者が2台のGX-1を曲ごとに交代して利用することで、アナログシンセサイザーモジュールごとレジストレーションを入れ替えることができる。
- EX-42
- 1970年発売。ソロ鍵盤が初搭載(現在は未使用)され、ペダル鍵盤も2オクターブある。
- D-1
- 1959年発売。アンプ以外はすべてトランジスタ(281石)を採用したエレクトーン。サステインが初搭載された
その他の機種は公式リンクを参照されたい。
各世代の互換性の問題
各機種ごとの固有の機能を使用する場合、以下の要因から、別の機種では同じ音が出せないという問題が発生する。
- ELシリーズはAWM音源+FM音源(+VA音源)だったのに対し、ステージアでは、AWM音源(+VA音源)でFM音源が備わっていない。そのため、ELシリーズで作成された音色データをステージアで使おうとすると、FM音源がない分違う音になる。特にELシリーズの機能で作成されたユーザーボイスは全てステージアのプリセット音色に置き換えられる。
- ELシリーズ同士でもWAVEサンプリングに互換性が無いことがあり、機種によっては音質が異なることがある。
- HXシリーズとHSシリーズは、同世代のエレクトーンであっても、レジストレーションデータの互換性が一切ない。従来のFXシリーズは、FSシリーズから上位互換性があったのと、同一のメモリが使用できたため、少しながら困惑するユーザーがいた。
エレクトーンプレイヤー
エレクトーン奏者のこと。中には全国ネット番組のBGM制作を担当する者もいる。大別すると、財団法人ヤマハ音楽振興会に所属しその傘下で活動している者[1]、ヤマハ株式会社の支援を受けている独立系のエレクトーン・プレイヤー[2]、メーカーの支援に依存せずに活動するフリーランスの電子オルガン奏者がいる。ヤマハでは主に「ヤマハエレクトーンシティ渋谷」がプレイヤーへの支援業務を行っている。
このほか、楽器店店頭などでエレクトーンの販売促進のための演奏と解説を行う「デモンストレーター」と呼ばれる者もいる。
ヤマハ音楽振興会所属のプレイヤー
- 安藤禎央
- 尾野カオル
- 加曽利康之
- 窪田宏
- 冴咲賢一
- 三原善隆
- 森敏雄
- 渡辺睦樹
- FUNKY FOX
- 岩内佐織
- 柏木玲子
- 小寺久美子
- 高田和泉
- 平部やよい
- 廣田奈緒子
- 松本玲子
独立系およびフリーのプレイヤー
- 赤塚博美
- 天野裕子
- 内海源太
- 海津幸子
- 神田将
- 久米詔子
- 倉沢大樹
- 齋藤英美
- 下村真有美
- セリアダンケルマン
- 鷹野雅史
- 富岡ヤスヤ
- 中村幸代
- 西岡奈津子
- 西山淑子
- 仁戸田江美子
- 林アキラ
- 平沼有梨
- 松田昌
- 松本淳一
- 安井正規
- 宮内康生
エレクトーンが登場する番組
- オリジナルコンサート(テレビ朝日系列・1987年 - 1998年)
- パンチDEデート(関西テレビ・1973年 - 1985年)
- ラブアタック!(ABC・1975年 - 1984年・塚山エリコ)
- ウルトラアイ(NHK・1978年 - 1986年・柏木玲子)
- おはよう朝日です(ABCの関西ローカル番組・1979年 - 現在も放送中)
- おはようテレビ朝日→やじうまワイド(テレビ朝日、1981年 - 2002年)
- おかあさんといっしょ(NHK・林アキラ時代-1995年まで画面に登場、それ以後も1997年度頃までは演奏に用いられている)
- クボジュンのえいごっこ(TBS・2004年 - 2006年)