エネルギー管理士
テンプレート:出典の明記 テンプレート:資格 エネルギー管理士(えねるぎーかんりし)は、エネルギー管理士試験に合格またはエネルギー管理認定研修を修了して、エネルギー管理士免状の交付を受けている者。
規定量以上のエネルギーを使用する工場にはエネルギー管理者を置かねばならず、この業務にはエネルギー管理士免状の交付を受けている者を選任しなければならない。
目次
制度概要
規定量以上のエネルギーを使用する工場は、第一種エネルギー管理指定工場に指定され、このうち製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業の5業種は、エネルギーの使用量に応じてエネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちから1人ないし4人のエネルギー管理者を選任しなければならない。また、5業種以外でも選任しなくてはならないところもある。また、第二種管理指定工場におけるエネルギー管理員に選任されることもできる。免状の交付には、「エネルギーの使用の合理化に関する実務経験」が必須となる。
平成21年3月31日時点で、第1種エネルギー管理指定工場は7,820、第2種エネルギー管理指定工場が6,883である。[1]また、平成21年度には(移行措置による受験者を含めて)3,719人が試験に合格しており、同年度第32回エネルギー管理研修の実施計画では3,500人の募集をしている。
「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」の平成17年度の改正に伴い、従来の「熱管理士」および「電気管理士」の資格制度は「エネルギー管理士」へと一本化された。これら旧管理士免状は、平成22年度までは研修受講等による新資格への移行措置が一部あるものの、その後は効力を失うこととなった。
職務
エネルギー管理者は、第1種エネルギー管理指定工場におけるエネルギーの使用の合理化に関し、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を管理する。(法第11条)
資格取得
資格取得(免状の交付)には下記の2通りの方法があり、それぞれに所定の実務経験が必要である。
- 試験
- 一般財団法人省エネルギーセンターが毎年夏に行うエネルギー管理士試験に合格する。試験は誰でも受けられ、選択専門課目は熱分野、電気分野のいずれかから選択する。
- 燃料等(電気)の使用の合理化に関する実務に1年以上従事したことをもって、免状申請を行う。この実務経験は受験の前でも後でも構わない。
- 経済産業大臣に申請することにより、エネルギー管理士免状が交付される。
- 研修
- 燃料等(電気)の使用の合理化に関する実務に研修申込時までに3年以上従事していることをもって、エネルギー管理研修を受けることができる。選択専門課目は熱分野、電気分野のいずれかから選択する。
- 一般財団法人省エネルギーセンターが毎年冬に行うエネルギー管理研修を受講し、修了(修了試験に合格)する。
- 経済産業大臣に申請を行うことにより認定され、免状交付が受けられる。
試験
一般財団法人省エネルギーセンターが、エネルギー管理士試験を全国で年1回実施する。
試験科目及び出題範囲
課目別の得点が合格基準(各課目60%)に達した課目は「課目合格」となり、4課目合格すればエネルギー管理士試験合格となる。課目合格は、その試験が行われた年の初めから3年以内に受験する場合、その課目の試験が免除になり、合格した年の初めから3年を過ぎるとその課目の合格は無効となる。
- 必須基礎課目
- I. エネルギー総合管理及び法規(エネルギーの使用の合理化に関する法律及び命令、エネルギー総合管理)
- 選択専門課目
- 熱分野
- II. 熱と流体の流れの基礎(熱力学の基礎、流体工学の基礎、伝熱工学の基礎)
- III. 燃料と燃焼(燃料及び燃焼管理、燃焼計算)
- IV. 熱利用設備及びその管理(計測及び制御、熱利用設備)
- 電気分野
- II. 電気の基礎(電気及び電子理論、自動制御及び情報処理、電気計測)
- III. 電気設備及び機器(工場配電、電気機器)
- IV. 電力応用(電動力応用、電気加熱、電気化学、照明、空気調和)
願書申込み受付期間
- 5月中旬~6月中旬頃
試験日程
- 8月上旬(ただし東日本大震災以降、電力需給の関係で9月の実施とされていたが、平成25年度から8月実施に戻された)
受験地
受験料
- 17,000円(非課税)
合格発表日
- 9月上旬
試験の受験者数・合格率等
下表は、一般財団法人省エネルギーセンターが発表した資料を元に、合格率を計算したものである。
年度 | 電気分野 | 熱分野 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
1997(平成9) | 1,382 | 320 | 23.2% | 1,879 | 774 | 41.2% |
1998(平成10) | 1,510 | 389 | 25.8% | 1,930 | 653 | 33.8% |
1999(平成11) | 2,864 | 537 | 18.8% | 2,916 | 980 | 33.6% |
2000(平成12) | 3,530 | 875 | 24.8% | 3,314 | 1,043 | 31.5% |
2001(平成13) | 3,813 | 906 | 23.8% | 3,592 | 1,042 | 29.0% |
2002(平成14) | 4,354 | 1,074 | 24.7% | 4,053 | 1,508 | 37.2% |
2003(平成15) | 5,131 | 1,266 | 24.7% | 4,692 | 1,897 | 40.4% |
2004(平成16) | 5,038 | 1,617 | 32.1% | 4,248 | 1,550 | 36.5% |
2005(平成17) | 4,641 | 1,074 | 23.1% | 4,309 | 1,216 | 28.2% |
2006(平成18) | 4,260 | 898 | 21.1% | 4,079 | 1,088 | 26.7% |
2007(平成19) | 4,368 | 981 | 22.5% | 4,768 | 1,318 | 27.6% |
2008(平成20) | 4,701 | 705 | 15.0% | 5,279 | 1,349 | 25.6% |
2009(平成21) | 5,347 | 1,588 | 29.7% | 6,372 | 1,875 | 29.4% |
2010(平成22) | 5,702 | 1,450 | 25.4% | 6,814 | 2,940 | 43.1% |
2011(平成23) | 5,404 | 1,176 | 21.8% | 6,493 | 1,182 | 18.2% |
2012(平成24) | 5,003 | 836 | 16.7% | 7,046 | 1,973 | 28.0% |
2013(平成25) | - | - | - | - | - | - |
研修
一般財団法人省エネルギーセンターが、エネルギー管理研修を全国で年1回実施する。
研修科目
研修の終了後に修了試験がある。修了試験の結果により後日、合否が判定される。
- 必須基礎課目
- I. エネルギー総合管理及び法規(エネルギーの使用の合理化に関する法律及び命令、エネルギー総合管理)
- 選択専門課目
- 熱分野
- II. 熱と流体の流れの基礎(熱力学の基礎、流体工学の基礎、伝熱工学の基礎)
- III. 燃料と燃焼(燃料及び燃焼管理、燃焼計算)
- IV. 熱利用設備及びその管理(計測及び制御、熱利用設備)
- 電気分野
- II. 電気の基礎(電気及び電子理論、自動制御及び情報処理、電気計測)
- III. 電気設備及び機器(工場配電、電気機器)
- IV. 電力応用(電動力応用、電気加熱、電気化学、照明、空気調和)
受講申込み受付期間
- 10月上旬~10月下旬頃
研修日程
- 12月上旬に7日間実施される。
受験地
受講料
- 新規受講者 70,000円(非課税)
- 課目合格者 50,000円(非課税)
脚注
関連項目
- エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネルギー法)
- エネルギー管理員
- 省エネルギー
- 設備管理