ウエスタンリバー鉄道

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ウエスタンリバー鉄道(ウエスタンリバーてつどう、英称:Western River Railroad略称:WRRRW.R.R.R.)とは東京ディズニーランド (TDL) にあるアトラクションの一つである。乗車口はアドベンチャーランドにあり、クリッターカントリーウエスタンランドを通過する。

概要

テンプレート:アトラクション (TDR)

ウエスタンリバー鉄道はTDLの東側にあり、アドベンチャーランドを出発し、クリッターカントリーウエスタンランドを経由してアドベンチャーランドへ戻ってくる蒸気機関車(模造ではなく本当に蒸気で駆動する)のアトラクション。環状線ではあるが、駅は1つ[1]で一方通行の環状型であるため、移動手段として使用することはできない。

蒸気機関車は4両ある。いずれも19世紀のアメリカで使われていた機関車を模した形状で、協三工業が製造した灯油焚き機関車(以前は重油であった)である。それぞれ「ミシシッピ号」、「リオ・グランデ号」、「ミズーリ号」、「コロラド号」と、アメリカ合衆国を流れる河の名前がつけられている。それぞれの機関車に3両の客車がつく。

もともと、1983年4月15日に東京ディズニーランドと同時にオープンした際は「ミズーリ号」、「リオ・グランデ号」、「コロラド号」の3つだったが、輸送量を上げるために、1991年10月から「ミシシッピ号」が加わった。そのため、「ミシシッピ号」はそれ以前の機関車とくらべ、形状が多少異なっている。

乗降できる駅は1つだが、それとは別に通過するのみ(風景の一つとして)の駅が存在する。それは「スティルウォーター・ジャンクション」という名で、出発してしばらくすると右手に見えてくる。乗降できない駅ではあるが、駅の内部まで細かく作られている。ほかにも、ウエスタンランドにも風景としての駅がひとつある。その名前は「ダスティベンド・デポッド」といい、ビッグサンダーマウンテンに差し掛かると見えてくる。

ウエスタンリバー鉄道では走行中、アトラクションなどを紹介するアナウンスがあるが、開園から1999年まではE・H・エリックが担当しており、以降は青野武が担当している。

また、このアナウンスは常に同じ内容だが、アトラクションが改装中や長期運休中の時やパークの内容が大きく変わった時などは通常と異なるアナウンスが流れる。例として通常、ウエスタンランドへ入ったときは『ビッグサンダー・マウンテン』の紹介がされるが、『ビッグサンダー・マウンテン』が改装中のときはトム・ソーヤ島を紹介するアナウンスに変わった。また、『スプラッシュ・マウンテン』のオープン以降は『スプラッシュ・マウンテン』を紹介する内容が追加された。

2006年9月に、同アトラクションのスポンサーであるタカラトミー(契約自体は旧トミー時代に締結)が提供を一旦終了したが、再びタカラトミーとして改めてオフィシャルスポンサー契約を締結し、2007年4月1日からスポンサーに復帰した。

アドベンチャーランドにあるアトラクションであるのに、名称が『ウエスタンリバー鉄道』となっているのは、通過するエリアが主にウエスタンランドだからである。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):1.61km
  • 軌間:762mm
  • 駅数:1駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線)
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 最高速度:12km/h

経緯

本来、このアトラクションはディズニーランド(アナハイム)およびディズニーランド・パリの『ディズニーランド鉄道』や、マジック・キングダムの『ウォルト・ディズニー・ワールド鉄道』のようにパークを一周し、途中に駅を数ヶ所設置して移動手段として使えるアトラクションにする予定だった。しかし、開通当時の日本の地方鉄道法(現・鉄道事業法)では、私有地内であっても2地点以上を結ぶ鉄道輸送は「鉄道事業」とされ、鉄道法規に基づき鉄道事業の免許を受けることや運賃ダイヤグラムの設定が義務付けられていたので、これを回避するため一駅のみの環状運転となった。

鉄道事業法の適用規制はその後緩和されており、規制緩和後に建設された東京ディズニーシーの「ディズニーシー・エレクトリックレールウェイ」では2点間輸送を行っているものの、同一私有地内の移動施設ということで鉄道事業法の適用を免れている。よって、法律上では複数の駅を設置できるようになったが、このアトラクションが「ディズニーランド鉄道」のようにパークの周りを結ぶようになるかどうかは不明である。

車両

4台の蒸気機関車のモデルとなったのは1871年型蒸気機関車「モンテズマ号」である。これはアメリカに存在した鉄道「デンバー・アンド・リオグランデ・ウェスタン鉄道」のために、ボールドウィン・ロコモティブ・ワークスが製作したもので、テンダー式と呼ばれるタイプの機関車である。ウエスタンリバー鉄道はこれを8分の5サイズに縮小したオリジナルのものを使用している。汽笛や煙を吐く音などがそれぞれ違う。前述のように、客車共々協三工業で製作され、連結器にはウイリソン式簡易自動連結器(日立製作所製)を使用している。

コロラド号

名称はコロラド川から。車体は赤色。車体番号は53。炭水車の側面には大きな文字で車体番号の「No.53」が書かれている。

ミズーリ号

名称はミズーリ川から。車体は緑色で、カウキャッチャーと車輪、炭水車の一部に赤色が使われている。車体番号は28。ヘッドライトにはの絵が描かれている。

リオ・グランデ号

名称はアメリカ合衆国を流れるリオ・グランデ川から。車体はオレンジ色で、カウキャッチャー車輪炭水車には赤色でペイントされている。車体番号は25。ヘッドライトにはグリズリーベアが描かれている。

ミシシッピ号

名称はミシシッピ川から。車体は青色で、サンドドームスチームドーム、車輪、カウキャッチャー、操縦室部分、炭水車の一部には赤色が使われている。車体番号は20。ヘッドライトにはバッファローが描かれている。この車両は前述にもあるとおり、他の3台よりも遅く運行を開始した。そのため、サンドドームやスチームドーム、ヘッドライトのデザインが他の3台と比べて微妙に異なる。

Trivia

  • 上記の4両の蒸気機関車は実際に蒸気で動いている。しかし、一般的な蒸気機関車のような石炭ではなく、灯油(以前は重油)を燃焼させ水を温め蒸気を発生させている。駅から出発する直前には、機関士が駅の隣りにある給水塔から炭水車に水を入れる様子を見ることができる。水は1回の運転で約2,000リットルの量を必要とする。
  • 蒸気機関車の先端の左右には、以前はスポンサーであったトミーのロゴが描かれた旗があったが、2003年にトミーとタカラが合併したため、現在はタカラトミーの旗となっている。
  • ウエスタンリバー鉄道の乗り場がある駅は「サファリ・トレーディング・カンパニー[2]という会社が運営しているという設定である。また、サファリ・トレーディング・カンパニーは「ジャングルクルーズ」も所有しているということになっている。「ウエスタンリバー鉄道」と「ジャングルクルーズ」の乗り場が同じ建物内にあるのはこのためである。
  • スティルウォーター・ジャンクションでは、本線からカブース車掌車)のある線路が分岐しているように見えるが、実際にはポイントはなく、本線直前で途切れている。なお、この駅は乗り換え駅という設定なので給水塔も存在する。
  • 途中、インディアン[3]のキャンプ地を通り過ぎるが、そこには多数のインディアンたち(の人形)がいる。さらに、列車に向かって手を振っている子どもたちは夏場は裸足だが、冬になるとモカシンを履き、ジャケットを着る。さらに、同じくインディアンのキャンプ地には絵を描いている男性がいるが、この男性はパークがオープンして10年ほど経ってから現れたものである。
  • かつて、スポンサーのトミーから鉄道模型が発売されていた。軽便鉄道らしさを再現するため縮尺1/80で軌間9mmを使用したナローゲージで、車両単体のみ、および線路と車両のセットが発売されていた。また、駅に大きいジオラマがあり、そこで使用されていた。
  • スティルウォーター・ジャンクションのさらに先、路線の最も奥まった部分(プレーリードッグの巣付近)にポイントがあり、そこから左後方に車庫へとつながる側線が延びている(案内放送では一切紹介されない)。ウエスタンリバー鉄道の列車が車庫に入庫する場合は、このポイントから推進運転で入線する。なお、ポイントのある地点からしばらくいくと列車停止標識がちゃんとある。ランド最東端隅に位置する車庫は、全編成を格納できる検修庫も兼ねた屋根付き大型建物であるが、構造的には3編成分の建屋+1編成分の建屋となっている。これは、開業9年目に「ミシシッピ号」が増備された際に、1編成分を後付けの形で増築したからである。
  • スティルウォーター・ジャンクションを通過するとき踏切があるが、両側の道路は実際に運搬用(バックステージ)として使われている。この為、鉄道が通過する際は運搬用の車両などは、乗っているゲストから見えないように一時停止するようになっている。
  • 普段は駅を発車する際などに汽笛を鳴らすが、カウントダウンイベントの特別営業時間帯は周囲の民家に考慮して鳴らさないようにしている。
  • 花火の時間帯は安全のため運休になる。
  • ディズニー・パーティーエクスプレス!の期間中(2001年1月19日〜5月31日)は機関車にヘッドマーク、客車に旗が2本掲げられ、記念列車のごとく装飾がなされていた。
  • 左側の方からイクスピアリが見えたりすることがある。
  • 2010年度〜2012年のクローズで全ての信号のLED化と、設置箇所の追加がされた。また車庫へとつながるポイント付近の入れ換え用信号機の高さが高く変更されている。

関連項目

外部リンク

脚注

  1. バックグラウンドストーリー上は1つではなく、計3つ。
  2. 実際にアドベンチャーランドのショップの名前としても使われている。
  3. アトラクション内アナウンスでの呼称。

テンプレート:アドベンチャーランド テンプレート:東京ディズニーリゾート テンプレート:TDR-stub