アークザラッド

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テンプレート:Infoboxアークザラッド』(Arc The Lad)は、ジークラフト制作のシミュレーションRPGPlayStation専用ソフトとしてソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から1995年6月30日に発売された、アークザラッドシリーズの第1作目である。略称はアーク1

概要

本作は、主人公のアークを中心に物語が展開されるファンタジー調のシミュレーションRPGである。スピーディーなストーリー展開、声優によるキャラクターボイス演出、無数のやりこみ要素が特徴である。キャッチコピーは「光と音のRPG」。『ポポロクロイス物語』『ワイルドアームズ』とともにSCE三大RPGとして宣伝された[1]。ゲーム内の音楽はT-SQUARE安藤まさひろ

本作は後述のようにシリーズ化もされているが、本作におけるストーリー自体も続編を意識した内容となっており、物語は未完のままエンディングを迎える。更にゲームクリア時にセーブしたデータはキャラクターのレベル、入手したアイテムなど多くの要素を次回作にコンバートする(引き継ぐ)ことができる(「アークザラッドII#コンバート」も参照)。そのため、『II』の発売前後にはザ・ベスト版が週間売上チャートのトップ10内でロングヒットした。

また、ゲームアーカイブス携帯アプリ用ゲームとして移植され、本作を題材にした漫画小説も刊行された。さらに、1999年には直接の続編『アークザラッドII』を原作にしてテレビアニメ化もされている。

ゲーム内容

マス目状に区画してある戦闘マップ上に配置された味方ユニットを動かし、敵ユニットを攻撃して撃破を目的とするウォー・シミュレーションゲームに近い内容であり、各ユニットの素早さを元に敵味方入り乱れた行動順で活動する。基本的には通常攻撃は、隣接する上下左右4マス目が対象であり、各ユニットに設定されている必殺技の種類によって攻撃範囲は異なる。戦闘に参加するメンバーは常に現在パーティーにいるキャラクター全員固定である。

また本作は、フィールド移動の簡略化、アイテム売買や宿屋の概念のなさ、一部を除きダンジョンが存在しないなど、全体的にシンプルな内容になっている。ゲームの展開はイベント→バトル→イベントの流れの連続であり、物語自体も短いため早いテンポでゲームが進行する。

やりこみ要素

本作は、やり込み要素や隠し要素が多いのが特徴。主にレアアイテムの入手などに関係し、指定された特定の行動をしたり、闘技場やラマダ道場の試練などで最大100回以上の戦闘をこなさねばならないなど、達成条件は厳しい。

中でも本作唯一のダンジョン「遺跡ダンジョン」は、各階層に配置されたアイテムを入手できるが、内部でのセーブができず地下50階層のフロアを降りて再び1階に戻ることが条件となっている。一度倒した敵もフロア移動を行うと復活し、下層などほど敵は強化されていく。本編中は5階までしか行く必要が無いが、任意で最下層を目指す事ができ、最下層には最終ボスを凌ぐ最強のボスが待ち受けている。そのため、本作における最大の難易度を誇る。

なお、続編の『II』でも挑戦可能だが、10階毎に回復や脱出が可能な休憩所が用意されていたり、出現する敵やボスが弱体化していたり、クリア後は地下50階まで一気に行く事が出来るなど難易度が緩和されている。ちなみにボスとの会話は本作と『II』で全く別のものが用意されている。

世界観

国家

スメリア
精霊の国とも呼ばれる島国。精霊山シオンには封印の炎があり、ククルが炎を消したことで物語が始まる。聖櫃が眠る国。国王マローヌが統治し、アーク達に五大精霊石を集める使命を与える。魔物の発生する場所が多く、また移動出来るエリアが最も多い。本作の始まりと終わりを担う地。この国に眠る五大精霊は火の精霊。また眷属である炎の精霊も登場し、その存在が『II』の主人公にある影響を与えている。
ミルマーナ
ハルシオン大陸の南東部にある国。20年前にスメリアと戦争をしていた。トヨーケの森に恵みの精霊がいて、元は静かな国だったが、現在はヤグン将軍が都に軍本部を置き、国を操っている。そのため国民の多くは軍部への不満を抱えており、中にはスパイまで存在する。作中訪れることが可能な国家の中で唯一、五大精霊が存在しない国。
アララトス
3000年前の大崩壊後人々が行き着き、初めて町が出来た、人類発祥の地で大崩壊以前の物も遺跡の奥深くにはあるという。移動出来る場所は一時的に訪れられる光の洞窟を除けば二つと、非常に少ない。この国に眠る五大精霊は光の精霊。
グレイシーヌ
本国独特の宗教ラマダ教の総本山ラマダ寺がある国。森林と山に覆われた鎖国の国であり、ラマダの僧は拳法に精通している。全体的な街づくりは中国に近く、アジアンテイストにあふれている。一時的に訪れられるラマダ山があるほかは二か所と、アララトスに並ぶ少なさ。この国に眠る五大精霊は地の精霊。
ニーデル
作中で最も小さい国だが、富豪が集う国であり闘技場がおかれている。闘技場での戦いがこの国で最も人気のある娯楽である。もともとは大航海時代を制した大国だった。アララトス以上に移動範囲が少なく、移動出来るのは闘技場と空港のみと最少を誇る。この国に眠る五大精霊は風の精霊。
アリバーシャ
砂漠の国。かつては緑の豊富な国であったが、1000年前、動力石という機械を動かす石の発見により資源採掘が進み砂漠だらけの国になったといわれている。サリュ族という民族が本来治めていた。この国に眠る五大精霊は水の精霊。

あらすじ

テンプレート:不十分なあらすじ この世界には、かつて邪悪なものに立ち向かい、それを聖櫃と精霊の力によって封印した「七勇者」の物語が語り継がれていた。その世界に存在する国家・スメリアの辺境に住む正義感の強い少年アークは、行方不明の父を追い求めるうちに、勇者としての使命をおびることとなる。

そして、偶然出会った聖母の使命を与えられた名門ワイト家の娘・ククルや仲間達と共に旅を続けるうち、アークは自らに課せられた使命と、かつての七勇者の伝説からくる運命の波に翻弄されることとなる。

登場人物

アーク・エダ・リコルヌ - 結城比呂
誕生日:8月23日 年齢:15歳 身長:170cm 体重:57kg 血液型:A型 出身地:スメリア・トウヴィル
スメリアの辺境・トウヴィルで、母親と二人暮らしをしている少年。10年前に行方不明になった父・ヨシュアを探すため旅に出る。正義感が強く情熱的な性格だが、プライベートでは意外と毒舌が多く、勇者らしからぬ現実的でそっけない返しも多い。使用武器は父の形見の剣。特殊能力は精霊魔法。攻撃・補助・回復の能力が一通りそろっている。主人公にたがわぬバランスの良い能力の持ち主。
ククル・リル・ワイト - 声:吉田古奈美
誕生日:6月26日 年齢:17歳 身長:165cm 体重:48kg 血液型:AB型 出身地:スメリア
トウヴィルの名門・ワイト家出身の少女。昔からの習わしに逆らい、自由に生きたいと思っている。勝気で活発な性格をしている紅一点。男勝りな性格のためか、使用武器はなく徒手空拳、中でも蹴りを好んで使い戦う。特殊能力は聖なる魔法。回復系統が主流だが、広範囲攻撃や補助魔法も多彩。序盤こそ前衛で戦えるが、中盤からは回復と補助が主体となる。
ポコ・ア・メルヴィル - 声:坂本千夏
誕生日:2月22日 年齢:15歳 身長:156cm 体重:78kg 血液型:B型 出身地:スメリア・ダウンタウン
パレンシア侯軍の兵士。内気な少年で、争いごとを好まない。幼い頃、太鼓を手にしたことで音楽の楽しみを知り、また、音楽の精霊に愛されてもいる。軍の生活に馴染むことができない日々を送っていたが、アークとの出会いにより変わっていく。基本的に気弱な方だが、怖いもの知らずなことやシニカルな物言いすることもある。使用武器はシンバル。特殊能力は楽器による演奏。補助能力が豊富でパーティーの強化に欠かせない。
トッシュ・ヴァイア・モンジ - 声:檜山修之
誕生日:8月12日 年齢:28歳 身長:181cm 体重:66kg 血液型:O型 出身地:スメリア
ダウンタウンにあるモンジ一家の若頭。昔堅気な男であり、自分の利益より弱者の救済や義理を優先する。短気なのが玉に瑕。義理の父である紋次を誰よりも尊敬しており、その剣は彼譲り。使用武器は刀だが、クリティカルヒット時は刀を使わず素手で殴る。特殊能力は剣術。4種類と最も少ないが、いずれも非常に優秀。ステータスも攻撃と素早さの数値が恐ろしく高く、育て上げれば単独でほとんどの敵を撃破できる。
ゴーゲン - 声:辻村真人
誕生日:10月28日 年齢:不詳 身長:160cm 体重:47kg 血液型:O型 出身地:不詳
かつて聖櫃を運んだと言われる七勇者の一人。聖櫃を運ぶ途中、強力な敵が現れたため、敵を道連れに我が身を封印した。飄々とした老人だが、その知恵と知識は冒険の道標となる。戦闘以外でも精霊石の声を聞けるなど、多彩な力を持つ。使用武器は杖。特殊能力は魔法。高い破壊力を持つ物だけでなく、ファイアウォールなどユニークな技も持っている。
イーガ・ラマダギア - 声:梁田清之
誕生日:5月11日 年齢:35歳 身長:188cm 体重:80kg 血液型:A型 出身地:グレイシーヌ
グレイシーヌにある武闘派のラマダ寺にて、修行と弟子達の育成に専念する師範代。5歳の時から現在に至るまで、一日も休むことなく武の道に精進し続けて来た。生真面目で寡黙な人物であるが、やや天然気味なところがあり、一部選択肢では彼だけ肯定と否定のものではなく、「うむ」のみとなることもある。使用武器は徒手空拳で、ククルと違い拳も蹴りも混ぜ込んでいる。特殊能力は気を用いた拳法。広範囲攻撃が可能。高い防御力とHPを誇るが素早さや移動範囲の低い、いわゆるパワータイプの特徴を持つ。
チョブリン・グルタン・ゴー・ガラッハ・ドブラン・ダダ13世(チョンガラ) - 声:緒方賢一
誕生日:12月3日 年齢:45歳 身長:170cm 体重:88kg 血液型:O型 出身地:ダダ
自称「冒険家」の骨董品商人。かつてはバルバラード東方のダダ国の王族だったが、長い間の盗掘生活で損得勘定にまみれて欲の塊となっていた。今のところ、遺跡ダンジョンの奥深くに眠る宝物を取りに行ける人物の捜索に力を入れている。パーティーにおけるムードメーカーであり、大半のイベントでコミカルな印象が残る人物。自身は戦えるだけの力がなく、召喚獣を呼び出せることが強み。使用武器は召喚のつぼ。特殊能力は召喚獣の召喚。ただし、呼び出せるものは仲間にしたものだけで、そうでない召喚獣は呼び出せない。
チョピン
アーク一行を乗せて世界を翔る大型飛行船「シルバーノア」の乗組員。影の濃いキャラクターではないが、細かいアドバイスを送ってくれるなど面倒見がよい人物。一行中でも冷静に物事を見ている節がある。
ちょこ
アララトス遺跡の地下50階で出会う赤毛の女の子。ゲーム中の隠れキャラにあたる。チョンガラのつぼから召喚できるが、フリーバトルのみ使用可能。仲間にしたデータを『アークザラッドII』にコンバートすると、ちょこの生い立ちに関する隠しイベントが用意されている。本作だけ、以降の作品と性格や口調が異なる。事実上最強クラスのキャラクターであり、とりわけ入手のための戦闘では桁違いの破壊力を振るう。
ヨシュア
アークの父にして、現国王の兄、スメリア国元第一位王位継承者。精霊の語る世界の危機を知り、それを阻止するために世界へ旅立っていった。アークは母に怪物に殺されたと教えられていた。チョンガラの危機を救ったこともある。トウヴィル村が崩壊して以降、実家に手紙を送るようになる。彼自身がゲームで登場することはほとんどない。
ロマーヌ国王
スメリア国国王。アークにとっては叔父に当たる人物。名君とは言い難いが悪人ではない。世界の危機を避けるためにアークに聖櫃の完成の任を与え、シルバーノアを授ける。実は兄への嫉妬から王位継承権を奪ったことがあり、そのことにずっと罪悪感を抱いていた。
アンデル
パレンシア城の大臣。しかし、その正体はロマリア4将軍の1人。スメリア国王マローヌを暗殺し、その濡れ衣をアーク達に着せた。ある意味でアークの宿敵であり、次回作でもアークを苦しめる。
ヤグン将軍
ロマリアから送られてきた軍人。非常に肥えた男で常に白いサルをそばに置いている。アンデルと同じくロマリア4将軍の一人。
アークデーモン
聖櫃の封印により眠っていた魔物。正確には個体名ではなく種族名である。赤い悪魔の姿をとり、世界を闇に染め上げようとしている。アークとククルが出会うきっかけとなった存在であるほか、後半で再度同族と共に復活を果たし、アークらと戦う。レッサーデーモンは無論、グレーターデーモンですら従える最強のモンスター。

携帯版

携帯版では、魔法演出の変化や攻撃の際にランダムでカットイン画像が表示されたりするなど、大幅に変更されている。S!アプリ版は2004年11月に配信予定だったが、同年12月に延期された。配信延期のお詫びとして、限定壁紙が無料で配信された。iおよびEZは予定通り配信されている。

またS!アプリ版において、ゴーゲンのテレポート使用時にフリーズするという不具合が判明したため、2007年12月11日に修正版が配信された。旧バージョンのアプリをダウンロードしたユーザーは無料でアプリのバージョンアップが可能。

S!アプリ

「アークザラッドジェネレーション カードゲームコレクション」(アークカード)のレアカードのIDナンバーを入力すると、レアアイテムが入手可能。

J-SH53V601SHV601TV602Tでは、V602SH版および3G版と端末スペックの違いにより、以下のようになっている。

  • 動きが遅い。
  • 戦闘中のカットイン画像を省略。
  • メニューのグラフィックアイコンをテキストに変更。
  • 魔法演出を3Dから2Dに変更。

iアプリ(FOMA)・EZアプリ(BREW)

アークカードのID入力によるレアアイテム入手機能が削除されている。また、機種により攻撃の際に音楽が途切れる。

シリーズ作品

本作の続編・シリーズ作品として以下のゲームソフトが発売されている。

関連作品

漫画
小説
  • アークザラッド(著:山田桜丸、集英社スーパーファンタジー文庫)
  • 小説アークザラッド ― アークザラッド(1)封印の滝へ(著:飯野文彦、エニックスゲームノベルシリーズ)

出典

<references >

外部リンク

テンプレート:Arc The Lad

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  1. 長崎行男「プロデューサーから愛をこめてアニプレックス社・ワイルドアームズ トワイライトヴェノム 公式サイト内