アジ化水素

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テンプレート:Infobox 無機化合物 アジ化水素(—かすいそ、hydrogen azide)は、化学式を HN3 と表される無機酸の一種。アジ化水素酸 (hydrazoic acid) とも呼ばれる。刺激臭を有する無色透明の液体。爆発性を有する。CAS登録番号は [7782-79-8]。

シアン化水素(青酸)並みの猛毒で、皮膚、粘膜などを刺激する。取り扱いには適切な設備と厳重な管理を要する。

歴史

アジ化水素は1890年、テオドール・クルチウスにより最初に単離された[1]

化学的性質

アジ化水素は弱酸性を持つ (pKa 4.6–4.7)。に溶けやすく、水溶液は多くの金属(亜鉛など)を、水素を放出しながら溶かす。そのとき、金属のアジ化物を生成する。

多くの金属アジ化物には爆発性が知られる。また、無水物の結晶は加熱により分解し、金属の純品を与える。水銀のアジ化物は水に難溶であり、そのことはハロゲン化水素とアジ化水素との類似点である。アジ化物はまた、ヨウ化アルキルと容易に反応する。

カルボン酸ハロゲン化物アルデヒドケトンなどに作用させると、シュミット反応を引き起こす。

製造

アジ化水素はアジ化ナトリウムなどの塩に酸を作用させて得る。

毒性

アジ化水素は揮発性と高い毒性を持つ。蒸気を吸い込むと、刺激臭を感じるとともに激しい頭痛に見舞われる。蓄積性はない。

参考文献

  1. Curtius, Th. Berichte 1890, 23, 3023.
  • Dictionary of inorganic and organometallic compounds, Chapman & Hall

関連項目

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