はくたか (列車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
はくたかから転送)
移動先: 案内検索

テンプレート:列車名

はくたかは、西日本旅客鉄道(JR西日本)、北越急行および東日本旅客鉄道(JR東日本)が福井駅金沢駅和倉温泉駅 - 越後湯沢駅間を、七尾線北陸本線信越本線北越急行ほくほく線上越線経由で運行する特急列車である。

概要

1997年3月22日北越急行ほくほく線が開業したことに伴い、上越新幹線と越後湯沢駅で接続することで首都圏北陸地方を連絡する列車として運転を開始した。ほくほく線内は160km/hで運転することができ(在来線の国内初)、標準軌で最高速度は160km/hを行う京成電鉄の「スカイライナー」とともに、日本国内在来線(狭軌)における最高速度の列車でもある。列車名の由来は立山開山伝説(白鷹伝説)に登場する白いの「白鷹」からとられたものである。

「はくたか」の愛称は、1965年10月に青森駅上野駅 - 直江津駅 - 金沢駅 - 大阪駅間で運転されていた特急「白鳥」の上野駅 - 長野駅 - 直江津駅 - 金沢駅間の編成を系統分割して運転を開始した列車に使用されたが、1982年11月に上越新幹線が開業したことに伴い、上野駅 - 長岡駅間を廃止し、残りの区間を「北越」に統合されて一旦廃止された。

運行概況

2012年3月17日現在の運行概況は次の通り[1]

定期列車は13往復が運転されており、5・24号は福井駅 - 越後湯沢駅間、6・21号は和倉温泉駅 - 越後湯沢駅間、そのほかの列車は金沢駅 - 越後湯沢駅間で運転されている。

東京駅から上越新幹線を利用し越後湯沢駅で乗り継ぐことにより、糸魚川駅 - 東京駅間は最短2時間50分台、直江津駅 - 東京駅間は最短2時間20分台、東京駅 - 富山駅間は最短で3時間10分台、東京駅 - 金沢駅間を最短3時間50分台、金沢駅 - 東京駅間を最短3時間40分台で結ぶ。走行区間の大部分を北越急行ほくほく線(最高速度160km/h)や北陸本線(最高速度130km/h)が占めるため、表定速度は100km/hを超え、日本の特急の中ではトップクラスの速さである。

ほくほく線内では信号機高速進行の信号現示を行うことにより130km/h以上の高速運転が可能とされ、運転開始時点で「はくたか」のほくほく線内の最高速度は140km/hで、最終的に2002年には160km/hに向上された[2]。なお、ほくほく線の線路は高速走行ができるように、分岐器レールの形状など新幹線と同等のものを用いている。2011年時点でこれ以上の速度上昇は技術的に困難とされている。この点については、北越急行のWebサイトで詳述されている。

停車駅

福井駅・金沢駅発着列車
(福井駅) - (芦原温泉駅) - (加賀温泉駅) - (小松駅) - 金沢駅 - (石動駅) - 高岡駅 - 富山駅 - (滑川駅) - (魚津駅) - (黒部駅) - (入善駅) - (糸魚川駅) - 直江津駅 - (十日町駅) - (六日町駅) - 越後湯沢駅
和倉温泉駅発着列車の金沢駅以北の停車駅
和倉温泉駅 - 七尾駅 - 羽咋駅 - 金沢駅
  • ( )は一部の列車のみ停車。
  • 和倉温泉駅発着列車は金沢駅でスイッチバックを行う。またこの列車は金沢駅 - 津幡駅間が重複運転となるが、この区間内で途中下車をしなければ、分岐駅通過の特例により重複区間の運賃・料金は計算に含まれない。
  • 同列車が経由するほくほく線、七尾線は単線のため、列車によっては行き違いのため時刻表上では通過扱いの駅でも運転停車を行うことがある。
  • 何らかの事情によりほくほく線、または上越線が不通となった場合は犀潟駅より先、信越線を経由して長岡駅まで乗り入れることがあるが、この場合直江津駅 - 長岡駅間は原則として無停車となる。

使用車両・編成

現行の車両

2012年3月17日現在の編成図
はくたか
テンプレート:TrainDirection
1 2 3 4 5 6 7 8 9
G
  • 全車禁煙
  • 編成・座席種別は変更される場合がある。
  • 金沢駅 - 和倉温泉駅間は逆向き。
凡例
テンプレート:Bgcolor=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
自=普通車自由席

ほくほく線内の複雑な断面形状のトンネルを高速で走行する際に車内の気圧が変動することを防ぐための対策として、車内の気密性を確保するために扉を完全に圧着する戸押さえ装置を追加した[3]北越急行の681系2000番台683系8000番台「スノーラビットエクスプレス」および、JR西日本の金沢総合車両所に所属する681系0番台「ホワイトウイング」が使用されている。そのため、JR西日本所有の683系はもとより、681系であっても「サンダーバード」に用いられている編成は当列車に所定のダイヤで充当することはできない(後述の臨時代走では最高速度を制限している)。なお、北越急行の車両はJR西日本に管理を委託している。

福井駅・金沢駅 - 越後湯沢駅間では9両または6両編成で運行されるが、金沢駅 - 和倉温泉駅間はグリーン車のない付属編成の3両で運転されている。ただし、7・10号は6両編成(1 - 6号車)で運転。また、23・2号は通常は6両編成だが、多客期は9両編成で運転する。その際、5号車が座席指定席の場合がある。

また、2005年に681系・683系に運用車両が統一されると、それ以前には突発的な運用変更時にしか見られなかった北越急行とJR西日本の車両の併結や、681系・683系の併結が頻繁に見られるようになった。北越急行の公式サイト内では、「はくたか」に充当される編成表が掲載されている。

運転開始当初はJR西日本・JR東日本・北越急行の3社で運行距離による比率で車両の保有をしていたが、その後、北越急行が683系を増備し、JR東日本担当分を肩代わりしている。

2011年5月中旬頃より車両不足が発生した場合は、「サンダーバード」で運用される683系4000番台が代走している[4]。この場合、ほくほく線内の最高速度は130km/hに制限される。ただし、JR線内は489系と違って所定編成と同等の性能・ダイヤで運転可能である。

過去の車両

2005年2月28日まで485系も使用されていた。JR東日本が所有する485系3000番台の2本(R1・2編成)が最後まで運用されていたが、「はくたか」の速達化のために北越急行が683系を増備したことに伴い定期運用離脱。なお、この編成は「はくたか」と配置区所の新潟車両センターへの出入区のための「北越」にほぼ運用が限定され、先頭車にはを模した銀色のエンブレムが取り付けられていた。本列車から撤退後は6両編成(R26・27編成)に再組成され、先頭車のエンブレムは2011年6月から撤去が始まっている[5]

485系はJR西日本でも2002年3月22日まで使用されており、「はくたか」で唯一の8両編成であった。「サンダーバード」用の681系からの転用改造に伴い運行終了している。

多客期の臨時列車などでは、JR西日本の金沢総合車両所に所属する489系が運用されていたが、この場合は1号車と4号車が入れ替わっていた(グリーン車が1号車→4号車、普通車指定席が4号車→1号車に)。また、ほくほく線内での最高速度は130km/hに制限される上、JR線内(特に北陸本線)は681・683系と同等の性能で走行することが出来ないため10分程度の遅れが出ていた。なお、福井行きの24号に489系が入った場合、同編成で運転する区間は越後湯沢駅 - 金沢駅間のみであり、金沢駅 - 福井駅間は所定の681・683系に差し替えて運転することがあった[6]

沿革

国鉄時代

1972年12月当時の編成図[7]
はくたか
テンプレート:TrainDirection
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
G G
  • 直江津駅 - 金沢駅間は逆向き。
凡例
テンプレート:Bgcolor=グリーン車座席指定席
指=普通車座席指定席
食=食堂車
  • 1965年昭和40年)10月1日:上野駅・青森駅 - 大阪駅間で運転されていた「白鳥」のうち、上野駅 - 金沢駅間の編成が系統分割され、同区間(信越本線経由)特急「はくたか」として1往復が運転開始。
  • 1969年(昭和44年)10月1日:「はくたか」が485系11両編成に置き換えられる。横軽を協調運転できない車両で碓氷峠を越えられる両数は8両まで制限されていたため、電車化と同時に上越線経由となり、スイッチバックを行う駅も直江津駅から長岡駅に変更される。
  • 1972年(昭和47年)3月15日:横軽協調運転装置を搭載した489系が開発され、信越「白鳥」と同じ上野駅 - 金沢駅間(信越本線経由)で「白山」が運転開始。以後「白山」の経路が関東地方と北陸地方を結ぶメインルートとなり、「白山」は1973年(昭和48年)10月から3往復となったのに対し、「はくたか」は1往復の運行であった。
  • 1978年(昭和53年):「はくたか」の車両受け持ちを向日町運転所(現在の吹田総合車両所京都支所)から、金沢運転所(現在の金沢総合車両所)に移管。同時に「白山」と共通運用となり食堂車の連結終了。
  • 1979年(昭和54年)4月20日:「はくたか」が2往復に増発。
  • 1982年(昭和57年)11月15日:上越新幹線開業に伴い上野駅 - 長岡駅間が廃止され、残り区間を「北越」に統合され、「はくたか」が廃止される。

JR・北越急行時代

ファイル:Revival LTD Exp Hakutaka.jpg
489系「懐かしのはくたか号」旧ヘッドマーク(2007年9月15日 上野駅
  • 1997年平成9年)3月22日:北越急行ほくほく線の開業により、上越新幹線に接続する特急列車として、福井駅・金沢駅・和倉温泉駅 - 越後湯沢駅間で「はくたか」10往復が運転開始。
  • 1998年(平成10年)12月8日:「はくたか」のほくほく線内の最高速度を150km/hへ引き上げ。
  • 2002年(平成14年)3月23日:ダイヤ改正により、次のように変更[2]
    1. 「はくたか」のほくほく線内の最高速度が160km/hへ引き上げ。
    2. 「はくたか」が1往復増発され、11往復になる。
    3. JR西日本の485系の定期運用が終了し、485系の定期運用はJR東日本の1往復のみになる。
  • 2004年(平成16年)10月23日 - 11月2日新潟県中越地震の影響により運休。
  • 2005年(平成17年)3月1日:ダイヤ改正より、次のように変更[8]
    1. 北越急行が「はくたか」に683系8000番台を投入し、定期列車がすべて160km/h運転対応の車両に統一。これにより、JR東日本の485系の定期運用が終了。
    2. 「はくたか」が1往復増発され、12往復になる。
  • 2007年(平成19年)9月15日16日:上越新幹線開業25周年を記念して、また同年に発生した能登半島沖地震による能登半島復興キャンペーンの一環により、金沢駅 - 上野駅間(長岡駅経由)でリバイバル運転が実施される。
    • 当初は新潟県中越沖地震で信越線が不通になっている影響でほくほく線経由での運転も計画されていたが、運転の2日前に復旧したため、予定どおり長岡駅経由で運転された。使用車両はJR西日本の489系で、上野寄りは旧絵入りヘッドマーク、長岡寄りが文字ヘッドマークと、前後で異なるヘッドマークを掲出し運転。
  • 2009年(平成21年)
    • 3月14日:ダイヤ改正で「はくたか」が1往復増発され13往復になる。ただし、5月31日までは増発の1往復(13号・16号)は多客時のみの臨時列車として運転された[9]
    • 6月1日:増発の1往復(13・16号)の定期列車化。全車両が禁煙となる[10]
  • 2014年(平成26年)10月1日:車内販売について、日本レストランエンタプライズが北陸トラベルサービス乗車分を引き継ぐ予定。

今後の予定

2014年度末に予定されている北陸新幹線の開業後における「はくたか」の取り扱いについて、2013年12月現在各社からの公式発表はない。ただし、JR西日本金沢支社の三浦勝義支社長は2011年7月の記者会見で、「金沢以東の並行在来線を走る特急は原則として運行しない」と述べて自社管内である福井駅 - 直江津駅間については廃止の意向であることを表明した一方で、直江津駅 - 越後湯沢駅間については「(JR西日本が)北越急行・JR東日本と協議する」として、結果的に「はくたか」が廃止となる方向であることを示唆している[11]ほか、北越急行の大熊孝夫社長は2013年12月の朝日新聞の取材に対して、「はくたか」が「(2015年春の)北陸新幹線開業と同時に廃止になる」と語っている[12]

なお、2013年10月10日、JR東日本並びにJR西日本両社から北陸新幹線の列車愛称が発表され、東京駅 - 金沢駅間の停車タイプ列車の愛称に「はくたか」の名が使用されることとなった[13]

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

  • 寺本光照『国鉄・JR列車名大事典』中央書院、2001年。ISBN 4-88732-093-0。
  • 今尾恵介原武史『日本鉄道旅行歴史地図帳 -全線・全駅・全優等列車- 6号・北信越』新潮社、2010年。ISBN 978-4-10-790040-1。

外部リンク

テンプレート:新幹線 テンプレート:東京対北陸地方優等列車

テンプレート:日本海縦貫線の列車
  1. 『JR時刻表』2012年3月号、交通新聞社
  2. 2.0 2.1 平成14年春 ダイヤ改正について I.在来線特急・急行列車インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2001年12月14日
  3. 鉄道ジャーナル』2002年6月号、鉄道ジャーナル社、p.30。
  4. 683系4000番代T52編成 出場試運転 - 鉄道ホビダス ネコ・パブリッシング RMニュース 2011年7月27日
  5. 485系R27編成 側面のウイングマーク撤去 - 鉄道ホビダス ネコ・パブリッシング RMニュース 2011年6月24日
  6. 489系H03編成が“はくたか”を代走 - 『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース(交友社) 2010年1月28日
  7. 三宅俊彦・寺本光照『時刻表に見る〈国鉄・JR〉列車編成史』JTBパブリッシング、2011年、p.109。ISBN 978-4-533-08344-0。
  8. 『JR気動車客車編成表 '05年版』ジェー・アール・アール、2005年。ISBN 4-88283-126-0。
  9. テンプレート:PDFlink - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2008年12月19日
  10. テンプレート:PDFlink - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2009年3月26日
  11. テンプレート:Cite news
  12. テンプレート:Cite news
  13. テンプレート:PDFLink 東日本旅客鉄道株式会社プレスリリース 2013年10月10日閲覧