さんかく座銀河

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M33(NGC598、さんかく座銀河)は、さんかく座に位置し、局部銀河群を構成する渦巻銀河の一つ。

概説

さんかく座銀河とも呼ばれ、アンドロメダ銀河と比較的近い位置にある銀河である。

地球から238万~307万光年の距離に位置し、質量銀河系の0.5から2倍程度とされる。仮にアンドロメダ銀河の254万光年よりも遠ければ、肉眼で見える最も遠い物体である。銀河の直径は約5万光年と推定されている。

M33を最初に発見したのはおそらくジョヴァンニ・バッティスタ・ホディエルナ (1597-1660) と考えられている。それとは独立して1764年にシャルル・メシエに発見され、メシエ・カタログの33番に加えられた。メシエは「ほとんど濃淡のない星雲だが、中心部の2/3がやや明るい。星は含んでいない」と記している。

淡く広がっているため、普段、視認は困難ではあるが、透明度の良い場所で見た場合視力の良い人では、ぼんやりとした存在に見える。肉眼で見えるかどうか、クヌート・ルントマルクが論じたことがあった。アメリカのアマチュア天文家のハロルド・ペーターソンは肉眼では何度も失敗したが、何だか芯があるかすかな広がりであるとした。大英百科事典ではM33は、オリオン大星雲M31とならんで、肉眼で見える三大星雲だとされていた。石田五郎が「アリゾナ砂漠では見えるでしょう」と言ったところ、全国から日本でも見えるという人が続出したという。ただ天体を観測する条件が日本に比べて格段に良いアメリカの観測家のジョン・H・マラスでさえ「肉眼では見えない」と記している事実がある。これは1970年代に話題になったが、街灯などいわゆる「光害」がない高山などでは見えることに落ち着いた。

双眼鏡では本当に条件が良い場合に見える。通常の望遠鏡での観測では銀河の形ははっきりとは捉えづらく雲の固まりに見える。口径10cm程度の小口径望遠鏡でも意外に見え方は良くならない。しかし、空の条件が良い場所で、目を夜空に慣らしてじっくり見ることによって、腕の構造まで見えてくる。口径30cmの望遠鏡でじっくり観察することにより下記のNGC604だけでなく、NGC588、NGC592、NGC595などM33に付随する複雑な構造を見ることができる。写真を撮影すると、腕を持った銀河の形を見ることが出来る。M33は地球から見ると、ほとんど回転軸のある方向から見ることになる典型的な「フェイスオン銀河」である。

固有運動

さんかく座銀河は、銀河系に対して秒速約44kmで接近しつつある(太陽系自体が銀河系内を高速で公転しているため、見かけの接近速度は秒速約179kmになる)[1]

銀河系とアンドロメダ銀河は約40億年後に衝突し、やがて一つの楕円銀河になると予想されているが、さんかく座銀河ともその後(あるいはその前に)衝突する可能性がある。

2005年、さんかく座銀河の2つの星形成領域にある水分子から発せられるメーザーを観測することによって、銀河としては初めて視線に直角な方向の固有運動が観測されたと発表された[2]

NGC604

ファイル:Ngc604 hst.jpg
NGC604の拡大写真

M33の中のHII領域(高温の星により電離した水素が赤く輝く領域)にはNGC604という大きな散光星雲が存在している。右の画像では左下に位置する赤い星雲がNGC604である。

出典

  1. Redshift data for Messier Galaxies (SEDS)
  2. Distant galaxy's subtle sidling measured New Scientist, 2005-03-03


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