UEFA EURO 2004

テンプレート:Pathnav テンプレート:国際サッカー大会情報ボックス UEFA EURO 2004（ユーロ2004）は、ポルトガルで2004年 6月12日から7月4日にかけて開催された。ユーロ2004の予選は2002年 9月から2003年 11月まで行われた。欧州の50の国と地域が10のグループに分けられ、各グループホーム・アンド・アウェー方式のリーグ戦を行い各組1位10カ国が自動的に本戦出場、さらに2位チーム同士によるホーム・アンド・アウェー方式のプレーオフを勝ち抜いた5カ国、ホスト国であるポルトガルを加えた計16カ国が本大会に出場した。

予選

テンプレート:Main

開催都市とスタジアム

アベイロ・ムニシパル・スタジアム, アベイロ
ドン・アフォンソ・エンリケス・スタジアム, ギマランイス
コインブラ・シティー・スタジアム, コインブラ
エスタディオ・アルガルヴェ, ファロ
ブラガ・ムニシパル・スタジアム, ブラガ
ベッサ・スタジアム, ポルト
エスタディオ・ド・ドラゴン, ポルト
エスタディオ・ダ・ルス, リスボン
エスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデ, リスボン
マガリャエス・ペッソア・スタジアム, レイリア

大会方式

1次リーグ
- 16カ国を4つのグループに分けて総当たり戦を行い、勝ち=勝点3、引き分け=勝点1 が加わる。
- 各グループ勝点上位2チームが決勝トーナメントに進出する。
- 勝点が並んだ場合には、

当該チーム直接対決の成績
得失点差
総得点数
2002ワールドカップとユーロ2004の予選結果
フェアプレーランキング
抽選
PK戦
以上の順番で順位を決定する。

決勝トーナメント
- 90分間を終えて同点の場合はシルバーゴール方式の延長戦を行う。それでも決まらない場合はPK戦を行なう。

出場国

グループ A
テンプレート:PRTf (4/22)
テンプレート:GREf (2/35)
テンプレート:ESPf (7/3)
テンプレート:RUSf (8/31)

グループ B
テンプレート:FRAf (6/2)
テンプレート:ENGf (7/13)
テンプレート:CROf (2/20)
テンプレート:SUIf (2/47)

グループ C
テンプレート:SWEf (3/18)
テンプレート:DNKf (7/15)
テンプレート:ITAf (6/10)
テンプレート:BULf (2/40)

グループ D
テンプレート:CZEf (6/11)
テンプレート:NLDf (7/5)
テンプレート:DEUf (9/8)
テンプレート:LVAf (初/53)

( ) 内の数字は、出場回数 / FIFAランキング (2004年6月時)

1次リーグ

グループ A

	20px	20px	20px	20px	試	勝	分	負	得	失	差	点
20px ポルトガル	×	1-2	1-0	2-0	3	2	0	1	4	2	2	6
20px ギリシャ	2-1	×	1-1	1-2	3	1	1	1	4	4	0	4
20px スペイン	0-1	1-1	×	1-0	3	1	1	1	2	2	0	4
20px ロシア	0-2	2-1	0-1	×	3	1	0	2	2	4	-2	3

6月12日
	ポルトガル 20px	1 - 2	20px ギリシャ	17:00 - ドラゴン・スタジアム
	スペイン 20px	1 - 0	20px ロシア	19:45 - アルガルベ・スタジアム
6月16日
	ギリシャ 20px	1 - 1	20px スペイン	17:00 - ベッサ・スタジアム
	ロシア 20px	0 - 2	20px ポルトガル	19:45 - ルス・スタジアム
6月20日
	ロシア 20px	2 - 1	20px ギリシャ	19:45 - ジョゼ・アルヴァラーデ・スタジアム
	スペイン 20px	0 - 1	20px ポルトガル	19:45 - アルガルベ・スタジアム

グループ B

	20px	20px	20px	15px	試	勝	分	負	得	失	差	点
20px フランス	×	2-1	2-2	3-1	3	2	1	0	7	4	3	7
20px イングランド	1-2	×	4-2	3-0	3	2	0	1	8	4	4	6
20px クロアチア	2-2	2-4	×	0-0	3	0	2	1	4	6	-2	2
15px スイス	1-3	0-3	0-0	×	3	0	1	2	1	6	-5	1

6月13日
	スイス 15px	0 - 0	20px クロアチア	17:00 - マガリャエス・ペッソア・スタジアム
	フランス 20px	2 - 1	20px イングランド	19:45 - ルス・スタジアム
6月17日
	イングランド 20px	3 - 0	15px スイス	17:00 - コインブラ・シティー・スタジアム
	クロアチア 20px	2 - 2	20px フランス	19:45 - マガリャエス・ペッソア・スタジアム
6月21日
	スイス 15px	1 - 3	20px フランス	19:45 - コインブラ・シティー・スタジアム
	クロアチア 20px	2 - 4	20px イングランド	19:45 - ルス・スタジアム

グループ C

	20px	20px	20px	20px	試	勝	分	負	得	失	差	点
20px スウェーデン	×	2-2	1-1	5-0	3	1	2	0	8	3	5	5
20px デンマーク	2-2	×	0-0	2-0	3	1	2	0	4	2	2	5
20px イタリア	1-1	0-0	×	2-1	3	1	2	0	3	2	1	5
20px ブルガリア	0-5	0-2	1-2	×	3	0	0	3	1	9	-8	0

6月14日
	デンマーク 20px	0 - 0	20px イタリア	17:00 - ドン・アフォンソ・エンリケス・スタジアム
	スウェーデン 20px	5 - 0	20px ブルガリア	19:45 - ジョゼ・アルヴァラーデ・スタジアム
6月18日
	ブルガリア 20px	0 - 2	20px デンマーク	17:00 - ブラガ・ムニシパル・スタジアム
	イタリア 20px	1 - 1	20px スウェーデン	19:45 - ドラゴン・スタジアム
6月22日
	イタリア 20px	2 - 1	20px ブルガリア	19:45 - ドン・アフォンソ・エンリケス・スタジアム
	デンマーク 20px	2 - 2	20px スウェーデン	19:45 - ベッサ・スタジアム

グループ D

	20px	20px	20px	20px	試	勝	分	負	得	失	差	点
20px チェコ	×	3-2	2-1	2-1	3	3	0	0	7	4	3	9
20px オランダ	2-3	×	1-1	3-0	3	1	1	1	6	4	2	4
20px ドイツ	1-2	1-1	×	0-0	3	0	2	1	2	3	-1	2
20px ラトビア	1-2	0-3	0-0	×	3	0	1	2	1	5	-4	1

6月15日
	チェコ 20px	2 - 1	20px ラトビア	17:00 - アヴェイロ・ムニシパル・スタジアム
	ドイツ 20px	1 - 1	20px オランダ	19:45 - ドラゴン・スタジアム
6月19日
	ラトビア 20px	0 - 0	20px ドイツ	17:00 - ベッサ・スタジアム
	オランダ 20px	2 - 3	20px チェコ	19:45 - アヴェイロ・ムニシパル・スタジアム
6月23日
	オランダ 20px	3 - 0	20px ラトビア	19:45 - ブラガ・ムニシパル・スタジアム
	ドイツ 20px	1 - 2	20px チェコ	19:45 - ジョゼ・アルヴァラーデ・スタジアム

決勝トーナメント

テンプレート:Round8

最終結果

テンプレート:Winners

得点ランキング

5 ゴール

20px ミラン・バロシュ

4 ゴール

3 ゴール

2 ゴール

本大会総括

テンプレート:独自研究

ポルトガルとギリシャ

ファイル:Greeks celebrating Euro 2004 victory dsc06432.jpg

優勝を喜ぶギリシャ国民

ユーロ2004は開催国の敗北に始まり、開催国の敗北に終わった大会である。開幕戦となった開催国ポルトガル対ギリシャは、ギリシャがこれまでの実績から格下と見られていたことと、ポルトガルを大勢の地元ファンが後押しすることからポルトガル有利と思われていたがギリシャは開始早々にギオルゴス・カラグーニスが先制ゴールをあげポルトガルの出鼻をくじくと、後半開始早々にゲオルギオス・セイタリディスが得たPKをアンゲロス・バシナスが決め、90分間を高い集中力で戦い抜き勝利を掴んだ。オットー・レーハーゲル監督率いるギリシャはその勢いで（ロシアには敗れるが）決勝まで登り詰め、一方のルイス・フェリペ・スコラーリ監督率いるポルトガルはギリシャ戦の敗戦をバネに体制を立て直して決勝進出。迎えた決勝戦でもギリシャの規律と集中力はポルトガルを圧倒し、同国史上初のビッグタイトルを手に入れた。

強豪国の低迷

優勝候補と言われたチームが思うような結果を残せなかったのもこの大会の特徴である。イタリアはエースのトッティが相手選手につばを吐いたことによる3試合出場停止で大会から姿を消すと、その穴を埋めるべくカッサーノらが奮闘するが、結果はグループリーグ敗退。ドイツは、格下のラトビアと引き分け、第三戦では既に1位通過を確定し完全な二軍で臨んできたチェコ相手に敗れるなど、2003年のコンフェデレーションズカップを辞退し、ブンデスリーガの外国籍枠を縮小して欲しいとルディ・フェラー監督が懇願するなど、当初から不安の多いチームだったが、良いところを何一つ見せる事ができずグループリーグ敗退。イタリアとドイツが共に8強入りを逃すのは、FIFAワールドカップとUEFA欧州選手権を合わせて史上初だった。スペインもギリシャの勢いや、攻撃陣が機能せずグループリーグ敗退。イングランドはグループリーグではルーニーの活躍で突破するもののベッカムの大会合計3度連続（予選におけるトルコ戦、初戦のフランス戦、そして1番手として臨んだポルトガル戦）のPK失敗、ルーニーが試合中に故障退場、ソル・キャンベルのゴールが取り消されたことなどがありポルトガルにPK戦で敗れ（最後のキッカーはダリウス・ヴァッセル）ベスト8敗退。前回王者フランスは結果こそベスト8とまずまずの成績とは言え、その内容は王者フランスにふさわしいものではなく特に準々決勝のギリシャ戦ではギリシャの規律と集中力はあるゆる場面でフランスを凌いだ。

デンマーク対スウェーデン談合疑惑

テンプレート:Seealso

グループCは最終戦を前にスウェーデン・デンマーク・イタリアの3ヶ国に決勝トーナメント進出の可能性があったが、デンマーク対スウェーデンが2-2以上の引き分けに終われば、同時刻で開催されるイタリア対ブルガリアの結果に関わらず両国がそろって決勝トーナメントに進めることになっていた。この大会から勝ち点が並んだ場合に当該チームでの勝ち点、得失点差、総得点の順（いわゆる直接対決の成績）で上位になる国を決める方式に変更された。そのため仮にデンマーク対スウェーデンが引き分け、イタリア対ブルガリアでイタリアが勝ったとすると、勝ち点、当該3チームでの勝ち点、当該3チームでの得失点差が並ぶが、デンマーク対スウェーデンが2-2以上の引き分けになれば、当該3チームでの総得点を両国ともイタリアを上回るためである。イタリア側もデンマークとスウェーデンに談合試合をしないよう事前に警告していたが、試合はデンマークとスウェーデンが点を取り合い、結果的に2-2の引き分けとなり両国の決勝トーナメント進出が決定、イタリアは敗退となった。そのため主にイタリアにおいてこの試合での談合疑惑が浮上したが、証拠がなく却下された（但し、仮に以前と同じ全チーム間での勝ち点、得失点差、総得点による順位決定だったとしてもイタリアは敗退している）。

オランダの復調とチェコの実力

強豪国が次々姿を消す中、大会を盛り上げたのはオランダとチェコである。この大会のディック・アドフォカート率いるオランダは3年前にW杯日韓大会の欧州予選で敗退し、ユーロ2004予選でも苦戦していた（スコットランドとのプレーオフでは先勝を許した）ことから期待が低かった。しかし、大会を通してオランダは若手とベテランがうまく融合し、内容的には必ずしも良かったとばかりは言い切れない部分（特に有名なのがチェコとの直接対決で見せた消極的采配）もあったものの、GL最終戦でドイツが2軍のチェコ相手に敗れるなど運もあって、ベスト4進出と成果を残した。もう一方のカレル・ブリュックナー監督率いるチェコも同様W杯日韓大会予選のプレーオフで敗退したが、今大会は充実したタレントが下馬評通りの活躍を見せ、全ての試合でその実力をいかんなく発揮、準決勝ギリシャ戦ではチームの主役であるネドベドを怪我で失うとともに勝利も逃し大会から姿を消した。

なお、2006年のW杯ドイツ大会の欧州予選でもオランダとチェコは同じグループに入った。両国ともFIFAランキング5位以内に入るだけあり、オランダがチェコなどを完封し、グループ1位通過。しかも欧州の13の出場国の中で最高成績（実質欧州1位）で本大会の出場権を獲得し、チェコもオランダには完敗したが、グループ2位でノルウェーとのプレーオフを制し出場権を獲得した。

新興勢力ラトビア

プレーオフでトルコを下してユーロ初挑戦となったラトビアは、グループリーグ敗退という結果に終わったが、強豪ひしめくグループDにありながら、ドイツとスコアレスドロー、チェコ相手には先制点をあげ終盤まで1点をリードしていた（終了間際に2失点し1-2で逆転負け）。その戦術は統率のとれた執拗な守備からマーリス・ヴェルパコフスキスを中心とするカウンターという、実力上位の相手に対して勝利を奪いに行くための古典的かつもっとも有効なものだった。