豊下楢彦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
豊下 楢彦 (とよした ならひこ、1945年 - )は、日本の政治学者、前関西学院大学法学部教授。専門は、国際関係論、外交史。
略歴
兵庫県生まれ。甲陽学院高等学校、京都大学法学部卒業。京都大学法学部助教授、立命館大学法学部教授、関西学院大学法学部教授を歴任。1995年博士(法学、京都大学)。京都大学では立川文彦に師事した。
著書『安保条約の成立』において、吉田茂が講和条約・安保条約締結をめぐる交渉の中で米国に対して安易に妥協を行い、その国益を損なったとして吉田の外交手腕に疑念を提示し、同時期に発表され、同じく否定的な吉田評価を行った三浦陽一の研究と共に論争を呼んだ。
また両条約の交渉にあたっては米国への接近を望んだ昭和天皇による「天皇外交」が存在したのではないかとの仮説を示しており、その実証に努めている。
著書
単著
- 『イタリア占領史序説――戦後外交の起点』(有斐閣, 1984年)
- 『日本占領管理体制の成立――比較占領史序説』(岩波書店, 1992年)
- 『安保条約の成立――吉田外交と天皇外交』(岩波書店[岩波新書], 1996年)
- 『集団的自衛権とは何か』(岩波書店[岩波新書], 2007年)
- 『昭和天皇・マッカーサー会見』(岩波書店[岩波現代文庫], 2008年)
- 『「尖閣問題」とは何か』(岩波書店[岩波現代文庫], 2012年)
編著
- 『安保条約の論理――その生成と展開』(柏書房, 1999年)
共編著
訳書
- G・プロカッチ『イタリア人民の歴史(1・2)』斎藤泰弘共訳(未來社 1984年)
- ヴィクトリア・デ・グラツィア『柔らかいファシズム――イタリア・ファシズムと余暇の組織化』(有斐閣 1989年)