方解石
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方解石(ほうかいせき、calcite、カルサイト)は、鉱物(炭酸塩鉱物)の一種。組成は炭酸カルシウム(CaCO3)。
石灰岩の主成分鉱物で、鉱石として扱われる場合は石灰石、石材として扱われる場合は大理石と呼ばれる。変成岩である結晶質石灰岩では、方解石の細かな結晶が、再結晶して大きくなる。純粋なものは透明か白だが、不純物を含み色のついているものもあり、美しいものは大理石として珍重される。特に無色透明でな自形結晶のものは氷州石(アイスランドスパー)と呼ばれる(由来は透明度の高い方解石をアイスランドが多く産出することから)。
一般に知られる方解石は、劈開した後のマッチ箱を押しつぶしたような平行四辺形あるいはひし形の結晶体で、複屈折(透明な方解石を通して向こう側を見ると二重に見える光学的特徴)をおこす鉱物として知られており、純粋なものは光学用に用いられる。欧州では、羅針盤が存在しない時代、この複屈折を利用して曇天、雨天時でも太陽の位置を調べることができるコンパスとして用いられていた[1]。
国内でも各地で産するものの、鉱業的に採掘しているものは大理石としての産状のものに限られる。往事は各地の熱水鉱床・スカルン等の鉱山で産出された。今日でも埼玉県二子山など、無色透明の美晶を産する場所もある。
多形として霰石があり、成分は方解石と同じ炭酸カルシウムである(同質異像の関係)。
方解石グループ
- 方解石(calcite) : CaCO3
- 菱苦土石(magnesite) : MgCO3
- 菱鉄鉱(siderite) : FeCO3
- 菱マンガン鉱(rhodochrosite) : MnCO3
- 菱亜鉛鉱(smithsonite) : ZnCO3
- 菱コバルト鉱(sphaerocobaltite) : CoCO3
- 菱ニッケル鉱(gaspeite) : NiCO3
- 菱カドミウム鉱 (otavite) : CdCO3
関連項目
出典
参考文献
- 沼野忠之 『岡山の鉱物』 日本文教出版〈岡山文庫〉、1980年、ISBN 4-8212-5092-6。
- 松原聰 『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』 学習研究社、2003年、ISBN 4-05-402013-5。
- 松原聰・宮脇律郎 『国立科学博物館叢書5 日本産鉱物型録』 東海大学出版会、2006年、ISBN 978-4-486-03157-4。
- 国立天文台編 『理科年表 平成19年』 丸善、2006年、ISBN 4-621-07763-5。
外部リンク
- 炭酸塩アトラス
- 石灰石・ドロマイトとは(吉澤石灰工業株式会社)
- Calcite(mindat.org)
- Calcite Mineral Data(webmineral.com)
- Calciteグループ(地球資源論研究室)