データベーススペシャリスト試験
テンプレート:Ambox テンプレート:資格 データベーススペシャリスト試験(- しけん、Database Specialist Examination、略号DB)は、情報処理技術者試験の一区分である。試験制度のスキルレベル4(スキルレベルは1~4が設定されている)に相当し、高度情報処理技術者試験に含まれる。
概要
システムエンジニアの中でも主にデータベースの設計担当者や管理責任者、いわゆるデータ管理者(DA)、データベース管理者(DBA)を対象としている。水準は高く、試験の難易度は極めて高い。データベースに関するものの中でも国内最難関と言えるほどである。
国家試験である性格上、特定のデータベース製品に依存した機能や特定製品のみでしか使えないSQLなどは出題されない(標準SQLが出題対象となる) 。また、特定の製品から離れた試験であるためか、その分業務分析のウェイトが非常に大きい。システムアーキテクト試験レベルの業務知識がないと、午後IIの問題は読解すら困難になる。
対象業務の概念設計や論理設計といったシステム開発の上流工程のスキルが重視されるため、DBAよりもDA向けの能力認定試験としての傾向が強い。そのため、実務においてデータベース製品特有の知識を保有しデータベースへの実装や保守・運用する能力を証明する為に、合格者はベンダー資格試験もあわせて保持していることが多い。
沿革
- 昭和63年(1988年)オンライン情報処理技術者試験新設、秋期に年一回実施。
- 平成5年 (1993年)オンライン情報処理技術者試験はこの年をもって廃止、ネットワークスペシャリスト試験とデータベーススペシャリスト試験に分割。
- 平成6年 (1994年)データベーススペシャリスト試験は春期に実施。
- 平成13年(2001年)制度改正によりデータベーススペシャリスト試験からテクニカルエンジニア(データベース)試験と改称および形式変更。
- 平成17年(2005年)午前の試験時間延長及び出題数増加。
- 平成21年(2009年)制度改正により形式変更及び改称、「データベーススペシャリスト」の名称が復活。
また、同年情報セキュリティアドミニストレータとテクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験が統合し情報セキュリティスペシャリスト試験が実施されることになる。この試験は年に2回開催するため、データベーススペシャリスト試験を受験する前に情報セキュリティスペシャリスト試験の合格を目指す者が増えた。また民間では各種ベンダー試験などの整備が進み同様に合格者が増加した。これらが一因となりネットワークスペシャリスト試験ならびにデータベーススペシャリスト試験の受験者層のレベルが上昇し合格率の上昇を招いたとも考えられている。
いわゆるIT技術者の能力認定試験としてはネットワークスペシャリスト試験と並んで昔から社会的な認知度・評価が高く、合格すると技術者として一定の水準に達したと見なされる。
形式
- 午前I
試験時間50分。四肢択一式(マークシート使用)で30問出題され全問解答。他の高度情報処理技術者試験と共通のスキルレベル3相当で、データベースとは関連が薄い「情報化と経営」、「システム監査」等も含めた全分野の問題が出題される。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午前II・午後I・午後IIは採点されない。
- 午前II
試験時間40分。四肢択一式(マークシート使用)で25問出題され全問解答。データベース関連問題(レベル4)が中心であるが、「コンピュータシステム」「情報セキュリティ」「開発技術」のレベル3も試験対象である。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前II試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午後I・午後IIは採点されない。
- 午後I
試験時間90分。データベース基礎理論、データベース設計、DBMSの保守・運用など中規模の問題が3問出題され、2問を選択して解答。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午後I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午後IIは採点されない。
- 午後II
試験時間120分。業務分析からデータベース設計、運用(パフォーマンスチューニングを含む)までを扱う事例解析問題が2問出題され1問を選択して解答する。満点の60%を基準点とし、基準点以上で最終的に合格となる。基準点に達しなかった場合は不合格。
科目免除
下記の試験に合格又は基準点を得れば2年間、午前Iの科目免除が受けられる。
- 応用情報技術者試験に合格すること。
- いずれかの高度情報処理技術者試験に合格すること。
- いずれかの高度情報処理技術者試験の午前Iに基準点以上を得ること。
参考
テクニカルエンジニア(データベース)試験
- 午前
試験時間100分。四肢択一式(マークシート使用)で55問出題され全問解答。IRT(項目応答理論)によって、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午前試験通過)である。約半分がデータベースに関する知識を問う問題で、後の半分はシステム開発の知識やコンピュータシステム、情報セキュリティに関する問題である。
- 当初から平成16年度(2004年度)までは、試験時間90分、50問出題。
- 午後I
試験時間90分。リレーショナルデータベース、正規化理論、SQL、DBMSなどに関して、主題の設定となる文章とそれに対するいくつかの小問からなる大問が4問出題。3問を選択して解答する。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午後I試験通過)である。ただし、午前試験が600点に満たなかった者は採点されない。
- 午後II
試験時間120分。業務分析からデータベース設計、運用(パフォーマンスチューニングを含む)までを扱う大問が2問出題。1問を選択して解答する。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で最終的に合格である。ただし、午後I試験が600点に満たなかった者は採点されない。
その他
- 合格又は午前Iに基準点以上を得れば2年間、他の高度情報処理技術者試験の午前Iの科目免除が受けられる。
- 情報処理技術者試験センターの統計資料による累計値
区分 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
オンライン情報処理技術者 | 116,205 | 5,684 | 4.9 |
データベーススペシャリスト | 40,430 | 3,086 | 7.6 |
テクニカルエンジニア(データベース) | 95,342 | 8,528 | 8.9 |
統計資料の応募者・受験者・合格者の推移表[1]において、上記の数値は本試験に計上されている。
- 科目免除又は任用資格、これには従前のテクニカルエンジニア(データベース)を含む。
- 本試験は官公庁での階級評価試験として、また大手メーカ、金融機関、シンクタンク、大手情報サービス業などの階級評価や昇格試験、報奨一時金、昇給などの要件として採用されている。また、警察、自衛隊以外の官公庁でも合格者を職員として採用することがある。
脚注
外部リンク
- 情報処理技術者試験センター
- 平成21年度からの試験体系図(新着情報)
- データベーススペシャリスト試験(DB)(情報処理技術者試験制度 - 制度の概要)
- テクニカルエンジニア(データベース) 平成13年度春期から平成20年度秋期まで(同上)
- データベーススペシャリスト試験(DB) 平成6年度秋期から平成12年度秋期まで(同上)
- オンライン情報処理技術者試験 昭和63年秋期~平成5年秋期(同上)
- ↑ テンプレート:PDFlink(情報処理技術者試験センター)