ゼネラル・エレクトリック
ゼネラル・エレクトリック(英語:General Electric Company、略称:GE)は、世界最大のコングロマリット(複合企業)である。本社はアメリカ合衆国コネチカット州。ダウ平均株価の構成銘柄のうち、1896年5月26日の算出開始以来唯一残存している企業である。
概要
航空機エンジン、医療機器、産業用ソフトウェア、鉱山機械、鉄道機器、火力発電用ガスタービン、原子力[1]、油田サービス、天然ガス採掘機器、水処理機器、化学プロセス、各種センサ)、家庭用電化製品(LED照明、白物家電、スマートメーター)、金融事業(法人向けファイナンス、不動産ファイナンス、各種リース、銀行、信販)など幅広い分野でビジネスを行っている。どのビジネスもその産業分野でのシェアが1位か2位であることをビジネス存続の条件としている[2]。この方針は、1981年から2001年までCEOを務めたジャック・ウェルチが同職に就任以降に打ち出された。彼は一連のGE改革の成果から、“20世紀最高の経営者”と呼ばれ、その経営手法は多くの経営者に模倣された。数々の経済雑誌やメディアから「世界でもっとも尊敬される企業」や「最強企業」と称され文字通り世界を席巻している。
現在はジェフリー・イメルト会長の下、「世界最高のインフラストラクチャー企業」を目指し、工業部門の拡充および金融部門の縮小、非中核部門の分離・売却を進めている。大きな利益を上げていた保険事業をスイス再保険へ、メディア&エンターテイメント事業のNBCユニバーサルをコムキャストへ売却した事例はその典型である。また社員が非常に猛烈に働く企業であり、「人材創出企業」としても有名(ボーイング、先代3MのCEOなど)。
2008年開催の北京オリンピックでは公式スポンサーを務めた。
連邦倒産法第11章を適用し経営再建したデルタ航空の再建スポンサーとなり、また新たに開発したエボリューション・シリーズと名づけられた最先端のディーゼル機関車を中国から大量受注するなど、経営は当時いたって好調であった。その一方で2008年には、創業以来の基幹事業であり、前年度決算で初めて減益を記録した家電部門の売却を検討するなど、ウェルチが打ち出した「選択と集中」を基本とする経営方針の徹底ぶりも健在である(なお、家電部門の売却先としては、ハイアールやLG電子が挙げられている[3])。
しかし、2008年8月のいわゆる「リーマン・ショック」に端を発した金融危機の影響で、金融事業を中心に大きな打撃を受けた[4]。2009年3月には米スタンダード&プアーズ(S&P)による債務格付けが、長年保持してきた最高格付けである「トリプルA」から「AAプラス」に一段階引き下げられた[5]ほか、2009年10月から12月期までの決算が8四半期連続連続減益となるなど苦戦を強いられた[6]。現在は工業・金融コングロマリットから多角的工業企業へとシフトすべく改革が進められている。
ゼネラル・エレクトリックの評価
- 米国フォーチュン誌が発表する2008年フォーチュン・グローバル500では売上高ランキングで世界12位、純利益ランキングで世界3位。
- 英国フィナンシャル・タイムズ紙が発表する世界の企業の時価総額をランキングする2008年フィナンシャル・タイムズ・グローバル500では世界3位。
- 米国フォーブス誌が発表する売上高、利益、資産、時価総額の4つの要素を基にランキングしている2008年フォーブス・グローバル2000では世界2位。
- 米国ビジネスウィーク誌が発表する世界の企業のブランド価値をランキングした2008年ビジネスウィーク・トップブランド・ベスト100では世界4位。
沿革
- 1878年 - トーマス・エジソンがアメリカで新しい実験室を開く。
- 1878年 - トーマス・エジソンがエジソン電気照明会社を設立。
- 1889年 - 上記会社を吸収し、エジソン総合電気(Edison General Electric Company)を設立。
- 1892年 - トムソン・ヒューストン・カンパニー(Thomson-Houston Electric Company )と合併し、ゼネラル・エレクトリック誕生。
- 1896年 - ゼネラルエレクトリック社は、 ダウジョーンズ工業平均にコンポーネント。
- 1905年 - 持株会社としてエバスコ(EBASCO)設立。後に原子力発電などのコンサルティング業に転換。
- 1919年 - 後に一大電機メーカーとなるRCAを、AT&Tと共同で設立する。
- 1955年 - 人工ダイヤモンドの合成に成功。
- 1959年 - GE-200シリーズ発売で、メインフレーム事業に参入。
- 1963年 - 大型メインフレームGE-600シリーズをリリース。
- 1964年 - 日本の東芝とのコンピュータ技術提携契約。
- 1970年 - メインフレーム事業から撤退。ハネウェルに商用コンピュータ部門を売却。
- 1971年 - 日本の三井化学と長瀬産業の3社合弁の日本ジーイープラスチックスを設立。
- 1981年 - ジャック・ウェルチが最高経営責任者(CEO)に就任。
- 1986年 - CEDビデオディスク事業の失敗により経営危機に陥っていたRCAを64億ドルで買収。当時最大規模のM&Aとなる。これに伴いRCAが保有する三大ネットワークの一角であるNBCやその本社ビルのGEビルディングも傘下に収める。但し、RCAレコードについてはRCAが西ドイツのベルテルスマンへ分割売却した。
- 1987年 - 仏トムソンにRCAの電化製品部門を売却。1999年にはRCAブランド自体も同社に売却。
- 1994年 - 米国GEキャピタルの子会社として設立したゲートファイナンス株式会社が、日本の機械メーカーミネベアからミネベア信販を買収。NCカード仙台のクレジットカード事業も取得し、日本において信販事業に参入。
- 1995年 - ゲートファイナンスはゼネラル・エレクトリック・キャピタル・コンシューマー・ファイナンス(GECF)株式会社へ社名変更
- 1998年 - 経営危機に陥っていた日本の東邦生命保険と米国GEキャピタルが提携し、共同出資によるGEエジソン生命保険を設立。東邦生命は既存契約の維持のみ行い、保険の新規募集に伴う営業職員はエジソン生命へ移管。エジソン生命の保険契約を東邦生命へ再保険させる事(一定の収益移転)で経営再建を目指す。
- 1998年 - 幸福銀行子会社のコーエーローンをGEキャピタル子会社のゼネラル・エレクトリック・コンシューマーローンが買収。日本での消費者金融事業に進出。
- 1998年 - 経営危機に陥った同族経営による消費者金融大手のレイクが新旧分離し、ゼネラル・エレクトリック・コンシューマーローンが事業会社を買収し吸収合併。同社はレイクに社名変更後、2000年にジー・イー・コンシューマー・クレジット(GECC)株式会社となる。
- 1998年 - 日本リースを買収、GEキャピタルリーシングを設立。
- 1999年 - 東邦生命保険が経営破綻。再建スポンサーに名乗りを上げ、東邦生命の生命保険契約はGEエジソン生命に承継された。
- 2000年 - 日本GE・エンジンサービス設立。
- 2000年 - 1996年に買収した旧・新京都信販の資産を活用する形でクレジットカード「GEカード(ICBAのライセンスによるVISAブランド付帯)」の新規募集を開始。
- 2001年 - ジャック・ウェルチが引退、後任としてジェフリー・イメルトが最高経営責任者(CEO)に就任。
- 2002年 - GEキャピタルが設立した有限会社オー・シーが、GECC株式会社を合併し、GEコンシューマー・クレジット(GECC)有限会社とする。
- 2003年 - GECF株式会社がGECC有限会社を吸収合併する。
- 2004年 - プロミス子会社の信販・クレジットカード会社ジーシー(旧:日本総合信販)をGECFを通じて買収。ジーシーのGCカードと従来からのGEカード部門が併存。
- 2004年 - GEキャピタルは、GEエジソン生命保険の株式をAIGに売却し、日本での保険事業から撤退。AIGエジソン生命保険となる。
- 2005年 - 日本のGECFが「GE Money」ブランドで、住宅ローン・カードローン・クレジットカード等の消費者金融事業を開始。
- 2005年 - 2008年開催の北京オリンピックの公式スポンサーとなる。
- 2006年 - GEの保険事業をスイス再保険へ譲渡
- 2006年 - 日立製作所とGE双方の原子力部門を統合し、日立GEニュークリア・エナジーを設立。
- 2007年1月 - プラスチックス部門を入札方式で売却すると発表
- 2007年5月 - TOBにより事業者金融主体の三洋電機クレジットを買収。(後にGE三洋クレジットへ改称)
- 2008年9月 - GEコンシューマー・ファイナンスと同社の全事業(レイク・GEカード・GE Moneyなど)を新生銀行へ売却。(現:新生フィナンシャルおよび新生カード)
- 2009年 - GEフィナンシャルサービス(旧:GEキャピタルリーシング)がGEフリートサービス・GE三洋クレジットと合併。
- 2009年8月 - GE横河メディカルシステムがGEヘルスケアバイオサイエンスと合併し、GEヘルスケア・ジャパンに改称。
- 2009年12月 - NBCユニバーサルの経営から撤退(2013年3月に完全売却)。
- 2010年1月 - 日本GEとGEフィナンシャルサービスが合併。
事業部門・関連会社
- GEエナジー事業部門(風力発電、原子力発電、 石炭発電、 石油&ガス、 太陽光発電、 水力発電などの関連ビジネス)
- GEコンシューマー&インダストリアル事業部門(家電製品・照明機器、産業機械・重電・電機機器・電気部品・電子部品・電子機器・制御機器・配電盤・発電設備・モーターなどの製造ビジネス)
- GEテクノロジー・インフラストラクチャ事業部門
- GEエンタープライズ・ソリューションズ事業部門(IT関連ビジネス)
- GE・アビエーション(エンジンの製造ビジネス)
- GEヘルスケア(医療用機器の製造ビジネス)
- GEトランスポーテーション・システム(鉄道車両の製造ビジネス)
- GEキャピタル事業部門
日本での活動
- 日本GE(日本での本社機能・金融サービス・不動産関連事業)
- GEファナック・インテリジェント・プラットフォームス (制御ソフト関連事業)
- GEフィナンシャルサービス (金融サービス事業)※2010年1月 日本GEと合併
- GEコンシューマーファイナンス(「レイク」などの消費者金融事業。現在消費者金融は新生銀行本体が新生銀行カードローン レイクという商品ブランド名で継続している)
- 日立GEニュークリア・エナジー (原子力関連事業)
- グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン (原子力燃料事業)
- GEヘルスケア・バイオサイエンス
- 日本メジフィジックス (医薬・化学関連事業、住友化学工業(現住友化学)との合弁)
- 日本GE・エンジンサービス (全日本空輸・石川島播磨重工業(現IHI)と合弁会社)
- GE・ホンダ・エアロ・エンジン (エンジン関連事業)
- GEヘルスケア・ジャパン (医療機器事業、横河電機との合弁)
- GE富士電機メーター (メーター(スマートメーター)事業、富士電機ホールディングス(現富士電機)との合弁)※ 2011年2月1日設立[7]
- ジェネラル・イメージング・ジャパン(GEブランドの光学機器部門の日本法人 アグファブランドも扱っている)
- GEエジソン生命(生命保険会社。旧東邦生命保険破綻に伴い、その受け皿として設立。後にAIGへ譲渡され「AIGエジソン生命」を経て、現在はジブラルタ生命保険に吸収・統合された)
脚注
関連項目
- トーマス・エジソン 創業者
- ジョン・タイター(自称・2036年からやってきた男)2034年にタイムマシンが実用され、開発はゼネラル・エレクトリック社だと主張
- 集合天才
- シックス・シグマ
- ジャック・ウェルチ 元CEO
- 日経CNBC(日経グループと米・CNBCの提携事業、テレビ東京・三井物産らと設立した合弁会社を母体としている)
- UMG ABS(ユーエムジー・エービーエス、宇部興産系の旧宇部サイコンと三菱ガス化学のABS部門が統合して誕生。旧宇部サイコンには米GE社が出資)
- 新生フィナンシャル(旧GEコンシューマー・ファイナンス - 元GEキャピタル系の消費者金融会社、大阪の旧レイク社から事業を引き継いだ。その後新生銀行傘下となった。)
- RCAレコード(元GEグループであったRCAビクターの音楽部門(日本では当時、日本ビクター音楽部門、後のビクター音楽産業(現在のビクターエンタテインメント))、現在はソニー・ミュージックエンタテインメント・インク(SMEI、旧SONY BMG)の一部門。日本事業は日本法人の連結会社、BMG JAPANにて展開していたが、正式にソニーミュージック・グループに統合され、洋楽部門はソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナルへ、旧RCAビクター、RVC、BMGビクター、BMGジャパン及び、過去に買収したファンハウスなどの原盤権を含む日本制作の邦楽・J-POP部門はベルテルスマン時代のレーベル名称、制作部門として発足したアリオラジャパンとして日本法人内の一レーベルとなる。)
- バレオコン・マネジメント・コンサルティング(GE在籍者およびハンズオン支援を提供するコンサルティング会社パートナーらが中心になり設立グローバル・コンサルティング・ファーム)
- genpact(GEキャピタルからスピンアウトしたビジネス・プロセス・アウトソーシングの世界的大手)
- ロナルド・レーガン(GEの広報番組「General Electric Theater」のホストを務めた。)
外部リンク
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- GEヘルスケア テンプレート:Ja icon
- GEアプライアンス テンプレート:En icon - 家電製品
- GEエナジー テンプレート:En icon
- ↑ 第二次大戦中、原子爆弾開発プロジェクトである「マンハッタン計画」に参加している。
- ↑ テレビ・VTR部門は3位または4位に甘んじたが、家庭で誰もが日に数時間見る家電はテレビだけで、そこに貼り付けられるロゴが失われること、また米国でほとんど最後となったテレビの生産が失われることから、1987年仏トムソンに売却されるまで維持された。テレビの部品は主に日本で調達、基板への組み上げはシンガポール工場、外枠と最終組立生産は米国工場と分担された。VTRは日本から完成品OEM調達でGEブランドは松下寿電子工業から、RCAブランドは日立製作所であった。また多くのGE製品や技術導入が米国から日本に行われたがテレビ、ラジオ、VTRの部門は大量に日本から米国に向けられた唯一と言ってよい商品分野であった。
- ↑ 「LG・ハイアール、GE 家電事業売却先の有力候補に」(インターネットコム 2008年5月29日)
- ↑ 色あせるGEの輝き 金融子会社の不振で経営改革も手詰まり - 日経ビジネスオンライン 2009年4月21日
- ↑ 米GEを「AAプラス」に格下げ、見通しは安定的=S&P - ロイター 2009年3月13日
- ↑ http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100122ATGM2203P22012010.htmlテンプレート:リンク切れ
- ↑ GE、富士電機とメーター事業の合弁会社設立に関する覚書を締結、GEと富士電機、国内のメーター事業に関する合弁会社設立契約を締結、メーター事業の合弁会社設立時期の決定について