インハウスローヤー

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インハウス・ローヤーあるいは組織内弁護士・企業内弁護士 (inhouse lawyer) は、官公署又は公私の団体(弁護士法人を除く)において職員若しくは使用人となり、又は取締役、理事その他の役員となっている弁護士。特に、行政庁に所属する者を行政庁内弁護士、企業に所属するものを企業内弁護士という。

一般に、企業や組織に所属するインハウスローヤーの人数が増加すると、その企業や組織が外部の弁護士に発注する業務量は増加することが分かっておりテンプレート:要出典、インハウスローヤーの増加は、社会的に見て日本における司法インフラの整備の促進に資するのみならず、法曹界から見て今後法科大学院の卒業生が輩出され始めると共に急増する弁護士の業務の確保という側面も有している。

日本には2007年(平成19)年12月現在、約310名のインハウスローヤーが存在し、そのうち約240名が企業に、70名が行政庁に所属しているといわれている[1]。インハウスローヤーが自ら設立運営する日本組織内弁護士協会という任意団体が存在し、日本におけるインハウスローヤーの普及促進活動を行っている。

インハウスローヤーが最も普及しているアメリカには約18万人弱のインハウスローヤーが存在し、そのうち9万人が連邦政府や州政府、市役所などに、約8万人が企業に所属しているとされている[2]。アメリカのインハウスローヤーによって組織されている組織は複数あるが、最大のものがACC (Association of Corporate Counsel) であり、この団体には約15,000人のインハウスローヤーが会員登録している。

企業内弁護士

企業内弁護士(きぎょうないべんごし)は、企業の社員、または役員として当該企業の法務に従事する弁護士の総称。企業内では法務部といった特定部署に所属することが多い。アメリカの企業における法務部(Legal Department)の長は通常ゼネラル・カウンセル(general counsel)と呼ばれ、経営陣の一員として経営トップに法的なアドバイスする立場の者が多い。

従来日本では、インハウスローヤーの訳語として「企業内弁護士」が用いられてきた。これは、従来弁護士法によって弁護士が弁護士資格を保持したまま公務員になることが一部の例外を除いて禁止されていたことから、結果として行政庁に所属するインハウスローヤーは存在せず、全員が企業に所属していたことに起因する。

行政庁内弁護士

行政庁中央官庁または地方自治体)の職員として当該組織の業務に従事する弁護士の総称。

平成13年1月に公務員の任期付任用制度がスタートすると共に、弁護士資格を保有したまま公務員となる道が開かれ、行政庁に所属するインハウスローヤーが急速に増加した。これに伴い、企業、行政庁等の組織に所属する弁護士の総称として新たに「組織内弁護士」という訳語が用いられるようになった。しかし、実際には組織内弁護士という訳語はそれほど普及しておらず、「インハウスローヤー」ないしは「コーポレートカウンセル」といった原語がそのまま用いられることが多い。なお、現在でも企業に所属するインハウスローヤーだけを指して「企業内弁護士」と呼ぶことがある。これに対して行政庁に所属する弁護士を「行政庁内弁護士」と呼ぶこともある。

2014年7月では、13都県、48市区町村で、78人の弁護士が常勤職員として勤務している[3]

脚注

  1. 日本組織内弁護士協会のサイト[1]による。
  2. アメリカ法曹協会(ABA)作成「Lawyer Demographics」(2009)[2]参照。
  3. テンプレート:Cite news

外部リンク

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