エネルギー・運動量密度
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エネルギー・運動量密度(エネルギー・うんどうりょうみつど)とは、物理学、特に場の理論において、単位時間・単位面積・単位体積当たりのエネルギー・運動量及びその移動量のことを指す。
- 電磁場における物理量との対応は以下の様になる。
- エネルギー・運動量密度の時間・時間成分 … エネルギー密度
- 時間・空間成分 … ポインティング・ベクトル
- 空間・空間成分 … マックスウェルの応力テンソル
- 相対論・場の量子論においてはエネルギーと運動量は不可分の為、エネルギー・運動量テンソルとして統一的に記述される。
エネルギー・運動量密度の時間・時間成分が系のエネルギー密度であり、空間について積分すると系のエネルギーの総和となりこれは保存する。また、時間・空間成分が系の運動量密度になり、同じく空間について積分すると系の運動量の総和になり、同様に保存する。
定義
エネルギー密度は、単位体積当たりのエネルギーの量を表す。同様に、運動量密度は単位体積当たりの運動量を表す。
エネルギー・運動量密度とまとめて言った場合、古典電磁気学などでは、上記のような物理量を総称した物に過ぎない。しかし、後の相対論などの記述からエネルギーと運動量には密接な関係がある事が分かり、これらの量を統一的に扱うことができるということが分かってきた。
場の解析力学においては、エネルギー・運動量密度は、系の時間並進・空間並進対称性からネーターの定理によって導出される保存カレントとして形式的に定義される。ネーターの定理は、系が連続的な対称性を持つ場合にそれに対応して保存量が存在する事を示唆しているが、特に場の解析力学では保存カレントと呼ばれる量が定義できる事が知られている (詳細は ネーターの定理 を参照の事)。エネルギー・運動量密度は、系が時間並進対称性・空間並進対称性を持つ時に、その対称性に対応して導かれる保存カレントである (エネルギー・運動量テンソル も参照の事)。系のエネルギー密度は「時間並進対称性から来る保存カレント」の時間成分であり、系の運動量密度は「空間並進対称性から来る保存カレント」の空間成分になっている。