体位
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医療、看護、介護領域の体位(たいい)は、体の位置や姿勢のことを指す。
たとえば立つ、座る、寝るや、その際に膝を伸ばすか曲げるか、あるいは体を捻るかどうか、といった違いによってそれを区別する。
概要
医療で行われる画像診断(主に診療放射線技師によるX線撮影など)では、立位、座位、臥位を始め、側臥位(デクビタス)、外転・内転、外旋・内旋、反跳位など、診断目的に応じて適宜組み合わせられている。例えば、胸部X線撮影の場合、心不全の心拡大、胸水貯留、鬱血による血管影拡大、呼吸不全の確認、また腹部X線撮影の場合、腸閉塞(イレウス)のニボー、消化管穿孔のフリーエアー、急性腹症の確認など、検査時の体位が診断所見に及ぼす影響は非常に大きい。
産婦人科での診察、出産時の姿勢などでは、仰臥位、側臥位 (横臥位、Lateral position)、また救急時のものでは昏睡体位 (Coma position)、回復体位といったようなものがある。いずれも出産者、受診者の単独の体位である。
そのほか、泌尿器科、肛門科、産婦人科において検査や治療上で用いられる体位には、以下のようなものがある(仰臥位、側臥位、腹臥位は総称して臥位と呼ばれる場合もある)。
- 腹臥位(伏臥位、会陰位[1])
- シムズ体位(シムス位) (en:Sims' position)[2]
- 膝胸体位(膝胸位) (Knee-Chest Position)
- 切石体位(切石位・戴石位・砕石位・背仙位) (en:Lithotomy position)
- トレンデレンブルグ体位(トレンデレンブルク体位)(en:Trendelenburg position)[3]
- 半座位(ファウラー位) (Half-sitting position, en:Fowler's position)
- ジャックナイフ位 (Jack-knife position)
など
介護、看護領域では褥創の防止のために、一定時間以上同じ体位をとりつづけさせないよう、体位変換を適宜行うことが重要である。
体位と呼吸
心不全では、上体を起こした体位でないと、呼吸困難に陥る場合がある。
体位は血中の酸素濃度にも影響を与え、呼吸機能が低下した患者において、仰臥位と腹臥位では肺内部の酸素量と血液量の分布に差があり、効率的なガス交換を行うために、患者の状態に合わせた体位の選択が重要である。