速度
テンプレート:物理量 テンプレート:古典力学 速度(そくど、テンプレート:Lang-en-short)は、単位時間当たりの物体の位置の変化である。
速度と速さ
日常語としての速度と速さはほとんど区別なく使われている。この場合の速さ(スピード、テンプレート:Lang-en-short)は、動いている物体が一定時間あたりに進む距離のことを指す。これは [移動距離] ÷ [経過時間] で求めることができ、時速、分速などの単位が用いられる。
対して、物理学においては、速さ(スピード)と速度(テンプレート:Lang-en-short)とを厳密に区別する。速度とは、一義的には力学における質点の運動を表し、運動している質点の単位時間あたりの変位、およびその方向を表すベクトル量である。よって、速度を速度ベクトルと呼ぶことがある。一方、速さとは、速度の大きさ(厳密には絶対値)を表すスカラー量である。この意味で日常語として使われる速さと同義である。[1]
例として、自動車が“一定速度”で東の方向に走り、1 時間で 60 km 移動した場合、車の速度は「東向きに時速 60 km」となり、車の速さは「時速 60 km」となる。また例えば、マラソン選手が 40 km を 2 時間で走った場合、そのマラソン選手の速さは 20 km/h、または時速 20 km と表される。
○○速度
一般に、着目する現象が時間的に変化している場合に、その現象の単位時間あたりの変化量(時間微分)を○○速度という。面積速度、角速度、気化速度、反応速度、膨張速度など種々の速度の概念が定義される。各種物理量の速度には特別な名称が付けられていることがあり、馬力、仕事率、躍度などがある。
また、自由落下など加速する運動を考えるとき、時刻 0 での速度を特に初速度という。
速度に対して抵抗を受けて変化するとき、平衡となって一定となった速度を終端速度という。
角速度
質点は大きさを持たないが、一般の物体は大きさをもつため、回転運動が定義される。単位時間あたりの回転量を角速度という。2次元空間(平面)では、回転方向をもつベクトル量である。3次元空間においては回転の中心が進む方向に対して右ねじの向きを正とするベクトル量として定義される。 テンプレート:Main
平均速度と瞬間速度
正確に述べると、単位時間当たりの変化量、すなわち [対象の変化量] ÷ [経過時間] によって求められる速度は平均速度(あるいは平均速度ベクトル)と呼ばれる。
例えば物体の運動について、ある時刻 t1 における物体の位置ベクトルを x1 、時刻 t2 のときの物体の位置ベクトルを x2 とすると、この時間区分における物体の平均速度 <math>\bar{\boldsymbol{v}}</math> は、
- <math>\bar{\boldsymbol{v}} = {{\boldsymbol{x}_2 - \boldsymbol{x}_1}\over{t_2 -t_1}}</math>
で表される。また、この平均速度ベクトルの大きさを平均の速さとよぶ。
平均速度を観測する際に、時間区分 t2 -t1 を十分小さくし 0 に近づけていくとき、各時点における速度とみなせるものが観測でき、これを時刻 t における瞬間速度 (テンプレート:En) と呼ぶ。
時刻 t 、物体の座標 x の変化量をそれぞれ Δt , Δx とすると、瞬間速度 v は、
- <math>\boldsymbol{v} =
\lim_{\Delta t \to 0}{\Delta\boldsymbol{x} \over \Delta t} \equiv {d\boldsymbol{x} \over dt}
</math> と表される。中辺は平均速度に対し時間区分の長さを 0 とする極限をとったものである。つまり物体の瞬間速度とは、その物体の位置座標を時間 t の関数 x (t ) とみなしたとき、それを時間 t について微分したものである。
通常は、瞬間速度のことを指して単に速度と呼ぶことが多い。また例えば、瞬間速度の微分(すなわち速度変化の瞬間速度)として加速度を考えることができる。