質量

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:物理量 質量(しつりょう)とは、物体の動かしにくさ重さの度合いを表すのこと。

概説

質量という概念の内容や定義は、動力学力学の歴史とともに推移してきている[1]

物理学的には厳密には、動かし難さから定義される慣性質量(inertial mass)[2]と、万有引力による重さの度合いとして定義される重力質量(gravitational mass)[3]の二種類の定義があるが、現在の物理学では等価とされている。質量の発生原理は長年研究されているが未だに解明されていない。

単位は、MKS単位系では kg (キログラム)、CGS単位系では g (グラム)。

質量は、重さ(重量)と混同される場合も多いが、より古い概念である重さ(重量)は多義的なので注意が必要である。

質量の概念

月面では物体の重さが地球上の約1/6になる。しかし、物体そのものが変化するわけではないので、その質量は変わらない。これらの違いは何であろうか。

重さとは実はその物体にかかる重力のことであって、月面では重力が地球上の約1/6になるということである。一方、質量はその物体を特徴付ける量であって、同じ物体である限りは変わらない。重力は万有引力ともいうが、二つの物体間に働く引力であり、その二つの間の距離とそれぞれの物体の性質とに応じて働く力である。この重力を決定する性質を「質量」と呼ぶ。

ある物体を月面に置いたとき、その物体と月との間に働く重力は、その物体の質量と月の質量、および月の重心からその物体の重心までの距離によって決まる。これをその同じ物体を地球上に置いた場合と比べると、物体の質量は同じだが、地球の質量と月の質量の違い、地球の半径(地球の重心と物体の間の距離)と月の半径の違いが合わさって、結果的に月面に置いた場合の重力は地球上に置いた場合の重力の1/6になる。すなわち、「質量」とは重力を生み出す素であり、生み出された重力が重さであるといえる。

また、「運動の第2法則」と呼ばれるものがある。これは、言い換えれば軽いものは簡単に動かせるが、重いものを動かすには力が要る、という様なことである。あるいは、飛んできたものを受け止めるとき、軽いものは簡単に受け止められるが重いものはその勢いで後ろに下がったりしなければならない、ということでもある。これは重さといいながら実は重力とは関係が無く、慣性という性質による。この慣性の大きさを決めるものはやはり「質量」である。より正確な言葉で言い直せば、質量の大きな物体ほど動かすには大きな力が必要であり、止めるにも大きな力が要る、その逆に質量の小さな物体ほど少ない力で動かすことが出来、止めるにも少ない力で済む、ということになる。この慣性の大きさを表すために質量という量を用いる。

これら二つの場面で出てくる「質量」すなわち重力の元としての質量と慣性の大きさを示す質量とは力学的には別の概念であり、それぞれ「重力質量」「慣性質量」と呼ばれている。

二つの質量

質量には慣性質量と重力質量の2種類がある。

慣性質量

慣性質量inertial mass)はニュートンの運動方程式において導入される量である。 物体に作用する F と物体の加速度 a の比例係数として次の様に表される。 テンプレート:Indent これは実際に実験を行い、物体を(バネの変形などによる)既知の力で引っ張ったときの加速度を調べ、比例係数を計算することで求められる。慣性質量は物体の動きにくさ(あるいは止まりにくさ)を表す値であるといえる。

重力質量

重力質量gravitational mass)は重力(万有引力)を起こす質量のことである。 物体に作用する重力 Fg とその場所での重力加速度 g により次の様に表される。 テンプレート:Indent これは体重計などで計ることができる、直感的にイメージする「重さ」を生じさせる質量である。

等価原理

両者は全く別の定義であるが、これらは同一の値を取る。この経験則を等価原理といい、エトヴェシュ・ロラーンドなどが行った実験により高い精度で示されている。落体の法則振り子等時性といった法則は、この原理のために成り立っている。だが、なぜ慣性質量と重力質量が同じ値をとるのかという理由は、現在でも判っていない。慣性質量が生じる仕組みについてはヒッグス粒子によるヒッグス機構が唱えられているが、これは重力質量にはあてはまらない。重力質量発生のしくみは重力子交換によるものであると考えられているテンプレート:要出典

相対論的質量

光速に近い速度で運動する物体の質量が増えるといわれることがある。これは相対論的質量とよばれる考え方で、ニュートンの運動方程式 F = ma が亜光速でも正しくなるように、相対論的効果を質量に押し付けた結果生ずるものである。現在では、このような相対論的質量の考え方を用いないのが一般的である。詳しくは特殊相対性理論を参照。

他の物理量との関係

マクロな物質の質量は同一物質で同温同圧の条件下においては、経験的に体積におおよそ比例することが知られている。この性質から、特に温度や圧力による体積変化が少ない固体液体において、物質ごとに定まる物理量としての密度が用いられる。

これより、均一物質を分けた場合、その体積比と質量比はおおよそ一致することとなる。この性質により、物質を根源となる粒子まで細かく分けていけば、その粒子の種類ごとに質量が定まり、その粒子の質量の総和が物質の質量となるという、いわゆる原子論の類の説が説得力を持つことになる。アヴォガドロの分子説の根幹である「同温・同圧の気体中には同数の分子が存在する」という主張も、体積と質量の比例関係から一定の説得力を得られるのである。これらの化学の発展に基づき、同一物質であれば質量に比例する物質量が定義されるに至った。

ニュートン力学においては、と質量、加速度の関係を表す F = maF: 物体に働く合力、m: 物体の質量、a: 物体の加速度)という公式が運動の第2法則として名高い。運動量の原始的な定義として質量を速度に乗じた物理量というものがあり、これを用いて運動方程式を表すこともある。

特殊相対性理論においては、物体のエネルギー

<math>\frac{E}{c}=m\frac{d(ct)}{d\tau}</math> (E: 物体のエネルギー、c: 光速m: 物体の静止質量、t: 観測者の時刻、τ: 固有時

で定義される。これを計算すると、

<math>E=mc^2\frac{1}{\sqrt{1-\left(\frac{v}{c}\right)^2}}</math> (v: 物体の速さ

が求められる。ここで v = 0 とすると、E = mc2 という有名な公式を導くことができる。これが「質量とエネルギーの等価性」を示しているのである。また、v << c の時、

<math>E\simeq mc^2+\frac{1}{2}mv^2</math>

である。この右辺の第2項がニュートン力学における運動エネルギー、即ち質量に速さの平方を乗じ2で除したものを示している。

脚注

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関連項目

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  1. テンプレート:Cite book
  2. テンプレート:Cite
  3. テンプレート:Cite