ハイイログマ

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ハイイログマ(灰色熊、学名 Ursus arctos horribilis)は、北アメリカに生息するクマ科の大型動物で、ヒグマの一亜種である。

日本に生息するエゾヒグマU. a. yesoensis)とは近縁である。最大級の個体は体重が450kg以上に達する(1979年にイエローストーン国立公園で508kgの個体が麻酔銃で捕獲・計量された)が、平均的な大きさは日本のヒグマとあまり変わらない(1979年にイエローストーン国立公園で行われた調査では雄の平均体重は260kg、雌の平均体重は170kgであった)。ただ、肩のコブがより盛り上がっている。日本でもグリズリーGrizzly)という英名がよく知られている。

イエローストーン国立公園内ではオオカミの群れと並んで生態系の頂点に位置し、季節によってヘラジカトナカイアメリカアカシカアメリカバイソン等の草食獣やその死体、サケマスバス等の魚類、松の実や野イチゴ等の植物や昆虫など何でも食べる雑食性である。アメリカクロクマを捕食することがあり、オオカミから獲物を奪うことも多い。時速50km/h程の速度で走り、泳ぎも得意とする。木登りについては若い個体は得意とするが、成獣は体重が増加するためほとんど登らなくなる。住宅地の近くに棲む個体はゴミを漁ることもあり、環境問題になっている。

解説

絶滅したカリフォルニアハイイログマは平均で今のグリズリーの最大級ぐらいの大きさだった。かつては北アメリカ大陸西部に幅広く生息していたが、開発に伴って生息域が減少し、現在の分布はアラスカ州アメリカ合衆国北西部、カナダ西部に限られている。

アメリカ合衆国の絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律をはじめとする保護法の発効以来ハイイログマの個体群数は回復の傾向にあるが、放牧業を営む畜農家との軋轢、拡大する住宅地、イエローストーン国立公園などでの観光客との接触、交通事故など、人とハイイログマとの共存は容易ではない。

NBAメンフィス・グリズリーズや有名なグリズリー・アダムスなど、グリズリーの名で日本に知られているものも多い。

北米では、内陸に棲む同種をグリズリー、沿岸に棲む同種をヒグマ (Brown Bear) と呼ぶことが多いが、実際のところ、ヒグマと区別する明確な基準はない。

亜種小名「horribilis」は「恐ろしい」という意味である。

ハイイログマの保護

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駆除された灰色熊。中央は、カスター中佐。左はカスターの片腕、リー族ブラッディ・ナイフ(1876年撮影)

亜種全体としては、アメリカ合衆国では「絶滅危惧」("Threatened")[1]カナダでは「特別懸念」("special concern")に指定されている[2]。米国では現在この他に、複数の個体群を絶滅危惧特別個体群("Threatened Distinct Population Segments")に指定するよう要請がなされている。

2006年1月アメリカ合衆国内務省魚類野生生物局モンタナ州ワイオミング州にまたがる大イエローストーン生態系に生息する個体群の絶滅危機種指定の解除を提案した。多くの生態学者が実質的個体群の大きさが長期間にわたる存続には不十分なこと、主要な食料資源の確保が将来危ぶまれること、乱獲からの保護が保証されないこと、などの理由で反対を表明したにもかかわらず、2007年3月22日に同個体群は指定を解除された。現在天然資源防護協議会をはじめとする複数の自然保護団体が、内務省の決定は科学的根拠よりも政治的な理由によるものなので撤回されるべきと主張し、米国政府を相手取り訴訟を起こしている。

人との関わり

北米の西部開拓の歴史は、ハイイログマの生息域への開拓の歴史でもあり、人との接触にまつわる逸話は多く知られており、日本ではシートンの著書を通して知られるものが多い。

生け捕りにしたハイイログマを、見世物として他の動物と戦わせることも盛んに行われており、闘牛用の雄牛と闘わせられたり[3]ライオンと闘わせられたり[4]したハイイログマの記録も残っている。

画像

関連人物

関連項目

参考文献

  1. 米国絶滅危惧種のページ(英文)
  2. カナダ政府絶滅危惧種のページ(英文)
  3. http://bancroft.berkeley.edu/Exhibits/bearinmind/themes/inthearena/01print.html
  4. http://www.notfrisco.com/calmem/bears/bell.html

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