電子番組ガイド
電子番組ガイド(でんしばんぐみガイド)とは、放送番組表をテレビの画面などに表示するシステムのことである。電子番組表、EPG(Electronic Program Guide)ともいう。
概要
当初は、1998年9月に登場した「T(タウ)」(パナソニック)など、デジタル放送に対応したハイビジョンテレビ・ワイドテレビのみに搭載されていた機能だったが、その後は標準装備化されつつある。そうなった背景には、2000年12月にBSデジタル放送が開始されたことや多チャンネル時代に突入するなど、もはや番組情報の提供は新聞のテレビ欄では限界に達したことがある。また、DVDレコーダーの普及で番組録画の需要も一気に広がったこともその要因といえる。
デジタル放送のほとんどでは標準で各放送局ごとに電子番組ガイドを送るための規格が定まっており、テレビの画面で番組表を見ることが可能である。日本でEPGが最初に採用されたのは1996年のPerfecTV!(現:スカパー!)のサービスからである。放送局ごとに常に番組データを送信できるため、一般的にGガイドやADAMS-EPGといった代行サービスよりも正確かつ詳細で、リアルタイムでの送信が可能である。そのため、スポーツ中継の延長時などには即座に対応できる。
アナログ放送では各放送局が番組データを送信する機能を持っていないため、ホスト局と呼ばれる特定の放送局、またはインターネット経由でのGガイドやADAMS-EPGの方式によって1日数回、各放送局に代行するかたちで番組データが送信される。パソコンへはインターネット経由で提供されることが多い。しかし、番組情報などが不当に簡略化されるなど、提供される情報が必ずしも正確とは限らない。デジタルテレビやBD・DVDレコーダーの多くは番組の予約録画を簡略化するために電子番組ガイドの機能を持っており、DVDレコーダーの普及とともに電子番組ガイドが一般化しつつある。
一時は10軒近いインターネットサイトがGガイドとiEPGで番組データ番組情報を提供していたが、2011年7月24日のアナログ停波に前後して次々とサービスを終了し、2011年下半期現在サービスを提供しているサイトはiEPGの提唱元であるソニーの子会社が運営するso-netのみとなった。
機能
各方式によって多少異なるが、EPGは大概これらの機能を備えている。
- 選局時における番組タイトルの表示
- 各局の電子番組表の閲覧表示
- 各番組詳細内容の表示
- ジャンル、タイトル、出演者での番組検索
問題点
電子番組表(EPG)はデジタルテレビ放送では重要な役割を持つ機能であるが、2014年現在では以下の問題点がある。
- 映像信号情報の表示内容が画角情報の有り無しの違いとの関係で、実際の信号の内容と不一致がある。
- 解像度が同じHD信号に、映像画面比4:3に画角情報の有り無し、映像画面比16:9にも画角情報の有り無しが存在する。これは地上・BSデジタルテレビ放送では、画角情報による運用はしない規定になっているためである[1]。
- 複数の番組が1つにまとめられて表示されることがあり、正確な時間での視聴・録画ができないことがある。逆に1つの番組が分割されていることもある。
- フジテレビ(FNN系列)『ニュースJAPAN』と『すぽると!』は同一番組扱いとなっていて、「LIVE20〇〇(年号) ニュースJAPAN&すぽると!」と表示される。
- NHKEテレの『日曜美術館』では、最後の15分間の「アートシーン」が別番組扱いとなっている。
- テレビ東京系『neo sports』と『バラエティ7』『ドラマ24』は同一番組扱いであったが、2011年10月3日から別番組扱いとなり、この問題点が解消された。
- 『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』など、一部の長時間番組は分割され、「第1部」「①」などのように表示される。分割された時間と番組の進行は必ずしも一致しないため、放送内容が2つ以上の枠にまたがることがある。
- 番組説明に掲載のない番組が放送されることがある。
- 実際の番組開始時間と番組表の番組開始時間が一致していないことがあり、正確な時間での録画・視聴ができないことがある。
- 日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』は番組表では19:00開始となっているが、実際は18:59に放送が始まっている。
- 局やチャンネルによって番組内容などの記載基準が異なっていることがある。
- 表示できる文字数の制約や、アナログ放送では新聞・テレビ情報誌向け「ラテ欄」物を流用しているため、タイトルなどが簡略化されていることがある。
- 番組情報の更新が必ず行われるとは限らない。
- 地上波キー局、地上波系BSデジタル局は番組延長、変更の際の更新を随時行っているが、CS放送では番組内容に「延長の場合があります。録画の際はご注意ください」などと書かれているのみで、実際に延長しても情報更新を随時行わない局もある。近年のレコーダーでは番組延長や変更が行われた場合に自動的に追尾する機能が搭載されているが、これらはEPGの情報を元にしているため、EPGの変更が行われなかった場合は追尾機能が働かないことになる。
海外のEPG
今日世界のあらゆる地域に、IPG(Interactive Program Guide、インタラクティブ番組ガイド)と呼ばれる、アプリケーション形式の双方向の電子番組ガイドの仕組みがある。従来どおり、EPGという呼び方をされているものもある。デジタル放送が受信できる現在、IPGはデジタルケーブル放送やデジタル衛星放送を含むほとんどのデジタルテレビ放送に採用されているほか、MythTVやティーボのような録画システムにも採用されている。
IPGの仕組みは国やシステムにより異なるが、一般的にグラフィカルユーザーインターフェースを採用した、視覚的にユーザーにうったえる画面に、番組のタイトルやチャンネル、放送時間などが表形式で表示されている。またジャンルで番組を検索したり、選んだ番組を簡単に録画できるような仕組みを採用している。典型的なIPGは、7日から14日先までの番組情報をカバーしている。
脚注
関連項目
テンプレート:Asbox- ↑ 社団法人電波産業会「地上デジタルテレビジョン放送運用規定」第四編第三部 31.3.2.2、「BS/広帯域CSデジタル放送運用規定」第一部第四編 31.4.2.2