コンプトン効果
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コンプトン効果(コンプトンこうか)は、X線を物質に当てたとき、散乱X線の波長が入射X線の波長より大きくなる現象である。 光(電磁波)の粒子性を示す現象のひとつであり、1923年にアーサー・コンプトンによって確かめられた。
コンプトン効果の発見当時、既にアインシュタインによる光量子仮説(1905年)により、光はhν(=hc/λ)のエネルギーをもつ粒子(光子)としての性質を示すことが明らかになっていた。 アインシュタインは更に、光子はhν/c(=h/λ)の運動量をもつと予想していたが、コンプトン効果の実験により、この予想を裏付ける結果が得られた。 すなわち、コンプトン効果とはX線と電子との衝突により、X線のエネルギーの一部を電子に与えて、波長が変化する現象である。 このようなターゲットとのエネルギーのやり取りがある散乱のことをコンプトン散乱と呼ぶ。
関係式
入射X線の波長と散乱X線の関係は次のようになる。
- <math>\lambda '-\lambda ={h\over mc}(1-\cos \theta )</math>
導出
波長λの入射X線が静止している電子に衝突し、入射X線に対してθの向きにX線が散乱され、φの向きに速さvの電子が跳ね飛ばされるとする。 運動量保存の法則より、次式が成り立つ。
- 入射方向: <math>{h\over \lambda }={h\over \lambda '}\cos \theta +mv\cos \phi </math>
- 垂直方向: <math>0={h\over \lambda '}\sin \theta -mv\sin \phi </math>
これらからφを消去し、次式を得る。
- <math>h^2\left({1\over \lambda ^2}-{2\over \lambda \lambda '}\cos \theta +{1\over \lambda '^2}\right)=m^2v^2</math>
また、エネルギー保存の法則より、次式が成り立つ。
- <math>{hc\over {\lambda }} = {hc\over {\lambda '}}+{1\over 2}mv^2</math>
これらからvを消去し、次式を得る。
- <math>h^2\left({1\over \lambda ^2}-{2\over \lambda \lambda '}\cos \theta +{1\over {\lambda '^2}}\right)=2hmc\left({1\over \lambda }-{1\over \lambda '}\right)</math>
この両辺にλλ'/2hmcを掛け、左右を入れ替える。
- <math>\lambda '-\lambda ={h\over 2mc}\left({\lambda '\over \lambda }-2\cos \theta +{\lambda \over \lambda '}\right) </math>
λ≒λ'のとき、λ'/λ+λ/λ'≒2であることから、次式が導かれる。
- <math>\lambda '-\lambda ={h\over mc}(1-\cos \theta )</math>
関連項目