メトロノーム
メトロノーム(テンプレート:Lang-de、テンプレート:Lang-en)は、一定の間隔で音を刻み、ピアノやバイオリンなど、個人で楽器を演奏、あるいは練習する際に、テンポを合わせるために使う音楽用具である。ドイツのテンプレート:仮リンクが1816年に特許を取得した。 音楽家で最初に利用したのはベートーヴェンである。
もともとは機械式のものが主流であったが、接地の傾きや長年の使用による機構の劣化により、拍(左右の振り子のタイミング)にずれが生じる事があり、最近では機械式の諸欠点を克服した電子式のものが多くなってきている。また、電子式の特性を生かして様々なリズムパターンを刻む事の出来るものや、チューナーに内蔵されているものもある。
機械式メトロノームは、一種の実体振り子である。おもり(固定錘)がついた振り子の腕が左右に振れる都度、「カチッ」という音が出るようになっており、この音によって演奏のテンポを合わせる。また、腕には位置を調整できるもうひとつのおもり(遊錘)が付いており、この遊錘を腕の目盛りに沿って上下することで、反復の間隔(つまりテンポの速さ)を調整する。
遊錘を移動させると重心の位置が移動するが、振り子全体が剛体である実体振り子では重心が軸に近づくにつれ周期が長くなることを利用し、単振り子(ひもの先におもりをつける振り子)に比べてとても小さいサイズで長い周期のリズムを刻めるように工夫されている。
メトロノームが発明されて後、多くの楽譜に、メトロノームの数値によってテンポが示されている。たとえば、M.M.=100とあれば、メトロノームの目盛りを100に合わせた時のテンポを示す。これは1分間におよそ100拍であり「テンポ100」と呼ぶ。ここでM.M.とはメルツェルのメトロノーム(Mälzel's Metronome)の意味である。
また、ほとんどのメトロノームは、2拍ごと、3拍ごと、4拍ごと、6拍ごとに小さな鐘などを鳴らす機能が付いている。これを拍子に合わせて、小節の頭を知ることができるのである。
日本で販売されているほとんどの機械式メトロノームは毎分 40回 - 208回までの範囲で動作する。これはJIS規格B9803で定められていたが、この規格は 1999年に廃止になった。
一般的な機械式メトロノームの目盛りはほぼ等比的で、次のようになっている。
- 40 - (2刻み)- 60
- 60 - (3刻み)- 72
- 72 - (4刻み)- 120
- 120 -(6刻み)- 144
- 144 -(8刻み)- 208
電子式のものは、より広く自由な範囲のテンポを設定できるが、実用的には毎分 30回~250回程度のものが多いようである。
小型のものは自転車でのトレーニングにおいて、ケイデンスの管理に使用されることがある。
触覚によるテンポの確認
振動による、ビートを使って、テンポや「一拍の頭の位置」を確認できるメトロノームがある。
耳で聞く音はカクテルパーティー効果などでいわれているように、リアルタイムで聞き取れないことがあるため、その欠点を振動による体の触覚を使い打ち消している(外部リンクに効果のデモがある)。
関連項目
- ポエム・サンフォニック(100台のメトロノームのための) - ジェルジ・リゲティの楽曲。メトロノームが主役の音楽作品としては、他に一柳慧の「電気メトロノームのための音楽」がある。
- デメトリオ・アルベルティーニ(イタリアの元サッカー選手) - 正確でズレがないプレースタイルから、メトロノームとも呼ばれる。