安積班シリーズ

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テンプレート:Portal安積班シリーズ』(あずみはんシリーズ)は、今野敏作の警察小説台場をはじめとする湾岸地域を管轄する警視庁東京湾臨海警察署を舞台に、安積警部補率いる刑事課強行犯係安積班の活躍を描く。なお、『蓬莱』から『神南署安積班』までは、原宿の神南署を舞台にしている。

2009年より、TBS制作・佐々木蔵之介主演のテレビドラマがパナソニック ドラマシアター枠で放送されている。2009年から2011年まで『ハンチョウ〜神南署安積班〜』(1 - 4シリーズ)が放送。2012年からは警視庁に異動した安積を描くドラマオリジナル設定の『ハンチョウ〜警視庁安積班〜』(5 - 6シリーズ)が放送。

舞台設定

ベイエリア分署

正式名は東京湾臨海警察署。所在地は東京都江東区青海2丁目[1]。臨海副都心開発構想に伴い新設された警察署だがその規模が警察署というより日本の警察に存在しない「分署」と呼んだほうがふさわしいほど小さく、そのため通称「ベイエリア分署」や「湾岸分署」と呼ばれる。庁舎はプレハブに近い作りの仮のものであり、時期を見て正式な庁舎を建設する予定だった。

バブル崩壊による副都心構想の縮小に伴い、併設されていた交通機動隊分駐所を残して閉署。安積達臨海署員の大半は渋谷区内に新設された神南署へ異動する。初期3作では速水の所属する交通機動隊は臨海署所属の隊として周辺地区の一般道、高速道を管轄とする独自設定が取られていた。安積班の所属も「刑事課」ではなく「刑事捜査課」[2]であり唯一の係として課の全業務をこなす設定となっている。

初期3作の大陸書房版では安積剛志の名前は安積剛となっており、『茶室殺人事件』の安積剛と同姓同名だが別人。『茶室殺人事件』も文庫では安積剛でなく安積刑事に変更されている。著者はHPで「『茶室殺人事件』の安積剛について……。 実は、私の頭の中では、東京湾臨海署や神南署の安積剛志とはまったくの別人です。 安積シリーズの第一作『東京ベイエリア分署』(改題『ダブルターゲット』)を執筆するにあたり、あらたなキャラクターを作ったのですが、安積たけしという名前が気に入っており、その名前を流用しました。当時『茶室殺人事件』なんて、まったく売れなかったし、主役でもなかったので、名前を使っても誰も気づかないと思ったのです。 キャリアじゃないのに、神奈川県警から警視庁に異動になるなんて、あり得ませんしね。」と説明している。

神南署

原宿・渋谷地区の発展に伴い警視庁第三方面十番目の警察署として新設。渋谷、原宿各署管轄地域の一部を分割した設定。臨海署の閉署に伴い署員のほとんどが異動、安積班は刑事課強行犯係に、速水も交機隊から異動し交通課の係長として内勤をしていた。 臨海署の再開署に伴い、安積班の面々や速水など、再び多くの署員が神南署を去っている。

東京湾臨海署(再開)

臨海地区の発展に伴い再度開署、安積たちは再異動となり、速水も交機隊に復帰している。

庁舎はかつてのベイエリア分署と同じだが、若干人員が増やされ刑事課にも盗犯係や暴力犯係[3]が新設、安積班は神南署時代同様、刑事課の強行犯係となった。

交通機動隊は引き続き臨海署と併設されているが、速水の復帰後は実際の隊に近い警視庁の執行隊として設定されている。

「夕暴雨」からは実在の東京湾岸署同様に旧東京水上署を統合するなどして中規模署化され、ようやく正式な庁舎が完成、さらに臨海署の近くには別館が設けられ、ここに警備部特車二課が配置される。また強行犯係が二係制になり、安積班は「強行犯一係」に、二係長として警視庁捜査一課から相楽警部補が着任、「烈日」からは「ハンチョウ」のオリジナルキャラクターであった水野が安積班に加わった。

作品リスト

ベイエリア分署(第一期)

  • 東京ベイエリア分署 ISBN 4-8033-1702-X 大陸書房 1988年10月
    • 二重標的(ダブルターゲット) 東京ベイエリア分署 ISBN 4-7669-2452-5、ケイブンシャ文庫 1996年4月
    • 二重標的(ダブルターゲット) 東京ベイエリア分署 ISBN 4-7584-3225-2、角川春樹事務所 2006年4月
  • 虚構の殺人者 東京ベイエリア分署 2 ISBN 4-8033-2686-X 大陸書房 1990年3月
    • 虚構の標的 東京ベイエリア分署 ISBN 4-7669-2825-3 勁文社 1997年10月
    • 虚構の殺人者 東京ベイエリア分署 ISBN 4-7584-3260-0 角川春樹事務所2006年10月
  • 硝子の殺人者 東京ベイエリア分署 3 ISBN 4-8033-3681-4 勁文社 1991年8月
    • 硝子の殺人者 東京ベイエリア分署 ISBN 4-7669-3092-4 ケイブンシャ文庫 1998年11月
    • 硝子の殺人者 東京ベイエリア分署 ISBN 4-7584-3252-X 角川春樹事務所 2006年9月

神南署

  • 蓬莱
  • イコン
    • 四六判:ISBN 4-06-207871-6 講談社 1995年10月
    • 文庫版:ISBN 4-06-263849-5 講談社文庫 1998年8月
  • 警視庁神南署
    • 四六判:ISBN 4-7669-2667-6 勁文社 1997年5月
    • 文庫版:ISBN 4-7669-3392-3 ケイブンシャ文庫 2000年1月
    • 文庫版:ISBN 978-4-7584-3275-7 ハルキ文庫 2007年2月
  • 神南署安積班
    • 四六判:ISBN 4-7669-3080-0 勁文社 1998年11月
    • 文庫版:ISBN 4-89456-349-5 ハルキ文庫 2001年12月

東京湾臨海署安積班(ベイエリア分署復活後)

  • 残照
    • 四六判:ISBN 4-89456-179-4 角川春樹事務所 2000年4月
    • 新書版:ISBN 4-89456-120-4 ハルキノベルス 2002年6月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3076-4 ハルキ文庫 2003年11月
  • 陽炎 東京湾臨海署安積班
    • 四六判:ISBN 4-89456-901-9 角川春樹事務所 2000年9月
    • 新書版:ISBN 4-7584-2013-0 ハルキノベルス 2003年6月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3213-9 ハルキ文庫 2006年1月
  • 最前線 東京湾臨海署安積班
    • 四六判:ISBN 4-89456-977-9 角川春樹事務所 2002年6月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3306-2 ハルキ文庫 2007年8月
  • 半夏生 東京湾臨海署安積班
    • 四六判:ISBN 4-7584-1035-6 角川春樹事務所 2004年8月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3392-5 ハルキ文庫 2009年2月
  • 花水木 東京湾臨海署安積班
    • 四六判:ISBN 4-7584-1089-2 角川春樹事務所 2007年9月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3402-6 ハルキ文庫 2009年4月
  • 安積班読本(短編「境界線」収録)
    • 文庫判:ISBN 4-7584-3419-5 ハルキ文庫 2009年7月
  • 夕暴雨 東京湾臨海署安積班
    • 初出:角川春樹事務所『ランティエ』連載 2008年11月号 - 2009年9月号
    • 四六判:ISBN 4-7584-1150-6 角川春樹事務所 2010年1月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3651-7 ハルキ文庫 2012年4月
  • 烈日 東京湾臨海署安積班
    • 初出:角川春樹事務所『ランティエ』連載 2010年2月号 - 2010年9月号
    • 四六判:ISBN 4-7584-1166-2 角川春樹事務所 2010年9月
    • 文庫版:ISBN 4-7584-3754-8 ハルキ文庫 2013年7月
  • 晩夏 東京湾臨海署安積班
    • 四六判:ISBN 4-7584-1212-X 角川春樹事務所 2013年2月
  • 捜査組曲 東京湾臨海署安積班
    • 四六判:ISBN 4-7584-1242-1 角川春樹事務所 2014年7月

刑事昇格を目指す若き安積

  • 狭き門 (短篇2P 『ミステリマガジン』2010年12月号)

『東京ベイエリア分署』と『二重標的』、『虚構の標的』と『虚構の殺人者』は、それぞれ作品の内容は同一の改題。

安積剛志はベイエリア分署(第1期)3作の大陸ノベルス版では名前が安積剛になっていたが、『茶室殺人伝説』に登場する神奈川県警の安積剛刑事とは別人。

『東京ベイエリア分署』で速水は「交機の小隊長」で名前がなかったが、『二重標的』で「交機の速水小隊長」となっている。

脚注

  1. 偶然だが、2008年に新設された東京湾岸警察署もこの住所である。
  2. 過去に「捜査課」などの名称が使用された例が他県ではあるが、実際の警察においてこの名称が使用されたことはない。
  3. 現在の組織犯罪対策課