マモーニ
マンモーニ(mammoni)は、イタリア語でママっ子、マザコンをあらわす言葉で、とくに30代以上になっても親元で生活している比較的高所得のホワイトカラー層の独身男性を指す。
イタリアでは家族の結びつきが強く、こどもたちは結婚するまで親元で暮らすのが一般的であるため、晩婚化によるマモーニの増加は社会現象となっている[1]。中年になった彼らが、掃除・洗濯・食事といった身のまわりのことを母親に世話してもらいながら、親元で生活している様子は、しばしばイタリアでジョークやコメディの題材にされている。ただし、専業主婦の母親を一家の中心とする家族形態や母親と男の子との強い結びつきは、他のカトリック諸国でも一般的に見られ、また、一方的な母親への依存ではなく、家族の相互扶助という側面もあるため、あまり深刻な問題とはとらえられていない。マモーニは親元で暮らしていても、経済的には自立している点が日本のパラサイト・シングルとは異なっている。
日本では成年した男性が母親と親しく接することは、「マザコン」として忌避されるが、イタリアでは「母の言うままに」生きることが親孝行として見られる傾向があり、イタリア社会がマンモーニを許容する背景となっている。マリア信仰にもあらわれているように、個人生活に女性の意見が強く反映されることに拒否感がない(男尊女卑がないということを意味しているのではない)。
この、日本とは異なる意味で「家」を大事にし過ぎる傾向のため、有力な名士の家でも数世代続くとマモーニのために破産寸前テンプレート:要出典に追いやられるといった現象が起きている。これは日本の例で言えば、奈良時代の墾田永年私財法が施行された当時の農家において、何世代も土地が分割継承されていくことで、家全体として漸次的に困窮していった現象に類似している。
イタリアでは、30歳以上の男性の1/3以上が両親と住むと言われる[2]。両親と住む独身男性をバンボッチョーネ(bamboccione<it>)(複数形:bamboccioni)とも言う。