儀仗
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儀仗(ぎじょう)とは、
概要
軍事のために用いられる武器・武具を兵杖と呼ぶのに対して、儀礼用のものを儀仗と称する。両者を合わせて器仗と呼ぶ。
本来の武器が新式の武器の登場などによって用いられなくなり儀仗に転じたもの、儀仗用として装飾が施され実用性を持たないものなどがあった。
古墳時代に見られる頭椎太刀を儀仗用として用いられた武器の先駆的な存在とみなす説がある。律令制度のもとで衣服令などで武官の礼服・儀仗について規定され、宮衛令では元日などの儀礼において儀仗を用いることが規定されている。
時代が下るにつれて多くの儀仗用のものが派生するようになる。公家の太刀や弓矢は元は実用のためであったが、後世では装飾が施されてもっぱら儀仗としての役目を果たすようになり、武家においても古い時代からの鎧が腹巻や胴丸、更に当世具足の登場によって儀仗化していった。
儀仗兵
近代以後になると、元首などの高位者の威儀整飾のために儀仗を装備して動員される兵員を指すようになる。ただし、高位者の警衛としての役割を完全に喪失した訳ではない。制度によって、儀仗兵・儀仗衛兵・儀仗隊などの呼称が用いられている。
日本の旧陸軍・旧海軍では、天皇が軍隊・艦隊の視察を行う際に儀仗に供する部隊を儀仗兵と称し、視察途上の護衛を行う儀仗隊と宿舎などの護衛を行う儀仗衛兵に細かく分けられていた。戦後は自衛隊がその役割を引き継ぎ、栄誉礼や天皇などの葬礼を行う際の礼式を儀仗と称し、それを行う部隊を儀仗隊と呼称する。今日では東京の市ヶ谷駐屯地に置かれている陸上自衛隊の第302保安中隊が栄誉礼などの儀仗を行うこととされている。
参考文献
- 北啓太/森松俊夫「儀仗」(『日本史大事典 2』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13102-4)
- 宇田川武久「儀仗」(『日本歴史大事典 1』(小学館、2000年) ISBN 978-4-095-23001-6)