サマータイムマシン・ブルース
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『サマータイムマシン・ブルース』は、劇団ヨーロッパ企画の舞台およびそれを元に製作された映画。
あらすじ
「SF研究会」のだらしない部員達に起こるドミノ倒しコメディ。前日にクーラーのリモコンが壊れてしまい猛暑の中ぐったりしてる部員達の前に突然タイムマシンが出現する。昨日に戻り、クーラーのリモコンを取ってこようと思ったメンバー。しかし、タイムトラベルしたことが面白くなった面々は、過去の世界でフザけたことばかりする。そんな中、過去を変えると今が消えてしまう可能性がある事を知った。慌てた部員たちは自分たちの「今」を消さないために、大急ぎで以前に自分たちが過去でやらかした一連の行動が致命的なことにならないようにリカバリーしようと奮闘する。「昨日」と「今日」だけのタイムトラベル物語。
演劇
2001年8月に第8回公演で上演。2003年8月の第13回公演では「サマータイムマシン・ブルース2003」として再演。2005年には映画公開を記念し、「サマータイムマシン・ブルース2005」としてさらに再演。
映画
本広克行監督により映画化され、2005年9月3日に公開された。
キャスト
- 甲本拓馬 - 瑛太
- SF研の世話役。柴田に密かに想いを寄せている。B級映画ばかり上映する映画館の常連でもある。全ての事の成り行きを見届け、理解した人物であるが、過去に行った際に昨日に置き去りにされてしまい、ある意味本作で最も過酷な運命を送った人物である。
- 柴田春華 - 上野樹里
- カメラクラブの部員。彼女の発言によっては、場の空気が一瞬凍りつき、セミが飛んでいく音がする。甲本のことはまんざらでもない様子である。終盤に本人の知らないところで衝撃的な事実が明らかとなる。
- 新美優 - 与座嘉秋
- 小泉俊介 - 川岡大次郎
- 石松大悟 - ムロツヨシ
- 曽我淳 - 永野宗典
- 田村明 - 本多力
- 伊藤唯 - 真木よう子
- カメラクラブの部員。行動派かつ芸術肌であるが、肝心の芸術の才能に関してはSF研の評価はイマイチ。『UDON』にも登場している。
- 保積光太郎 - 佐々木蔵之介
- 通称「ホセ」。SF研の顧問で万年助手。実は専門は相対性理論でタイムマシンに異様に詳しい。本作における、 バック・トゥ・ザ・フューチャーでいうところの「ドク」の役を担う人物。エアコンのリモコンの修理の依頼を受けるも、図らずも壮大な時間旅行をしたリモコンを最終的に修理できずに壊してしまった。思った以上にへっぽこなことからよくハリキリスタジアムのカセットを投げつけられている。『UDON』『曲がれ!スプーン』にも登場している。
- 用務員 - 川下大洋
- 『昨日』、タイムマシンでやってきた『今日』のSF研部員&田村と話し込む。その後、『昨日』のうちに、タイムマシンの存在を知る前の『昨日』のSF研部員と通りすがりに立ち話をする。さらに、『今日』、未来から現れた直後の田村、に出会う。ある意味、最も複雑な体験をしている。
- 映画館の受付 - 三上市朗
- エキストラ - 升毅
- 一人何役ものエキストラとして作中の至る場面に登場する。DVDなどでは役名を通称「神様」とされている。『曲がれ!スプーン』にも登場しており、本作の登場シーンをオーバーラップさせるような演出がなされている。
ロケ地
この映画は本広監督の出身地である香川県でロケハンが行われ、地元にて大きな話題となった。
- ロケ協力(主なロケ地)
- 構内にあるホワイトハウスと呼ばれる建物が、SF研部室(正面より1F左端)のある建物である。建物正面の外観と共に登場する。
- 香川大学工学部
エピソード
- ずっこけ3人組(Z3:ゼッスリ)
- 新見・小泉・石松の3人は、初めてタイムスリップをした後、タイムマシンのみで『今日』に送り戻した際に残した伝言から、3人一緒のときは『ずっこけ3人組』と呼ばれる。さらに、この三人を演じた与座・川岡・ムロツヨシは、本作以外の場でも、略して『Z3』として、本作の宣伝活動を行い、他の本広監督の映画作品に出演している。他にも3人でトークライブも行っている。
- うどん屋
- リモコン
- この映画は「昨日にエアコンのリモコンを取りにいく」という話であるため、上映当時に劇場では「自宅からクーラーリモコン持参したら千円」という割引キャンペーンが行われていた。これは一人につき一個持参なので、複数人でいく場合は複数のリモコンを所持する必要があった。
- 地上波放送
- 特定の商品名を連呼している関係上、テレビの地上波放送は(BSデジタルでは全国放映された)公開後一度も行われていなかったが、2008年に入って深夜帯で関東限定ではあったが、初めて放映された。但し、世界観を共有している『UDON』はゴールデンでテレビ放送が行われた。
単行本
- 上田誠 『曲がれ!スプーン』 早川書房〈ハヤカワSFシリーズ Jコレクション〉、2009年。 - 表題作と『サマータイムマシン・ブルース』、短篇小説『犬も歩けば』を収録
関連作品
- ハリキリスタジアム
- 映画版に頻繁に登場する「ハリキリスタジアム」は「究極ハリキリスタジアム」という名前で実際に発売されていたファミコンソフトである。発売当時は「ファミリースタジアム」の「ファミスタ」に対し「ハリスタ」と略されることもあったほどのシリーズであったが、現在ではあまり話題には上らないマイナーゲームである。
- バック・トゥ・ザ・フューチャー
- この作品のコンセプトは「バック・トゥ・ザ・『昨日』」ということで製作されたことから、劇中には頻繁にパロディが登場している。たとえば、学校の時計台はパート1のクライマックスでドクがワイヤーを張っていた裁判所の時計台をモデルにしている。また、劇中のB級映画館にはデロリアンのフィギュアやBTTFのポスターが貼られている。
- ところで、君はUFOを見たか?
- 映画版のB級映画館で上映していた映画。ヨーロッパ企画の1998年に行われた記念すべき第1回演劇公演の演目である。
- ドラえもん
- 舞台版のタイムマシンの形は、『ドラえもん』の中に登場するタイムマシンそのもの。また、結果的にタイムマシンを使った出来事が正史だったというエピソードは、『ドラえもん』の中にも登場する(のび太の両親が結婚した理由を探る話やのび太の父親の初恋の話など)。ただし、『ドラえもん』には、『のび太のパラレル西遊記』など歴史が変わってしまうエピソードも存在し、その設定は一貫していない。
- うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
- 監督の本広が撮影にあたってはこの作品に大きく影響されたとし、献辞を送っている。(ABCアシッド映画館2005年9月)
世界観を共有している作品
- UDON
- 同じく香川県を舞台にした本広克行監督の映画作品。登場人物なども一部同名の人物が登場している。
- 踊る大捜査線
- 同じく本広克行監督の映画作品。上記の『UDON』に登場人物の一人が登場しているため、同じ世界観ということになる。
- 曲がれ!スプーン
- 同じく香川県を舞台にした本広克行監督の映画作品。UFO通りが登場したり、ズッコケ三人組などが登場したり、タイムマシン(失敗作)が一瞬登場したり、一部世界観を共有している。