側節足動物
テンプレート:生物分類表 側節足動物(そくせっそくどうぶつ、Pararthropoda)とは、節足動物に類似する3つの動物門、すなわち舌形動物(シタムシ類)、有爪動物(カギムシ類)、緩歩動物(クマムシ類)をまとめた総称である。
この3群は体制の発達程度が似ていることから、1つの門あるいは上門にまとめられたこともあるが、舌形動物は節足動物に含まれるとする考えが有力になり、有爪動物と緩歩動物はそれぞれ節足動物と近縁な独立の動物門であると考えられるようになっている[1]。その結果、この語は便宜的に用いられるだけになっている[2]。
概要
古典的な動物学では、環形動物と節足動物はともに体節と付属肢を持つことから、体節動物と呼ばれる1つの系統群を成すと考えられていた。この考えにおいて、節足動物と環形動物の両者と共通する特徴を持つとされ、この2つの中間に位置づけられていたのが側節足動物である[2][1]。しかし、主に分子系統学の知見から、環形動物は節足動物よりも軟体動物などに近縁で、冠輪動物と呼ばれる系統群に含まれると考えられるようになった。同様に節足動物は線形動物などとともに脱皮動物の系統に含まれるとする説が有力になった[3]。
側節足動物とされた動物群の位置付けも変化した。舌形動物は精子の構造と分子系統学の両面から、系統的に節足動物に含まれ、とりわけ甲殻類の鰓尾類に近縁であると考えられている[1][3]。一方で、有爪動物と緩歩動物はそれぞれ、節足動物に近縁な独立の動物門とされている[1]。有爪動物、緩歩動物、節足動物の3群は単系統群になると考えられており、これを汎節足動物(テンプレート:Sname)と呼ぶ。汎節足動物のなかでは、緩歩動物が節足動物にもっとも近いとする説、有爪動物が近いとする説、緩歩動物と有爪動物が単系統群となり、節足動物はその姉妹群になるとする説をそれぞれ支持する意見がある[4]。