汚職
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汚職(おしょく)とは、公職にある者が、その地位や職権を利用して収賄や個人の利益を図る不正行為を行うことをいう。狭義には収賄、受託収賄及び事前収賄罪が該当するが、他に背任罪、虚偽公文書作成等罪などがある。また、証拠隠滅罪、強要罪、名誉毀損罪、侮辱罪、詐欺罪、財物侵奪罪、不動産侵奪罪、横領罪についても公務・公職にある者の規定が設けられている。
不正行為には贈収賄や便宜供与だけではなく、違法行為を黙認する行為なども含まれ、作為・不作為による公務上の義務に反する行為は公務員職権濫用罪に問われる。また汚職のうち、政治にからむ大規模な贈収賄事件や、犯罪の事実が特定しにくく判決のむずかしい裁判事件のことを、特に疑獄(ぎごく)という。警察用語では「汚」の部首からサンズイとも呼ばれる。
なお汚職の語源は「職をけがす」という意味の「瀆職」(涜職)(とくしょく)で、「瀆」が当用漢字に入れられなかったため、言い換えられて「汚職」になった[1]。
国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を始めとした国際法では、汚職は『腐敗』の一部と認識されており、トランスペアレンシー・インターナショナルは毎年世界の腐敗度を示す腐敗認識指数を発表している。
日本の主な汚職事件
- 1872年(明治4年) - 山城屋事件
- 1886年(明治19年) - 開拓使官有物払下げ事件
- 1902年(明治35年) - 教科書疑獄事件(国定教科書導入の契機となる)
- 1908年(明治41年) - 日本製糖汚職事件
- 1914年(大正3年) - シーメンス事件
- 1914年(大正3年) - 大浦事件
- 1924年(大正13年) - 復興局疑獄事件
- 1925年(大正14年) - 陸軍機密費横領問題
- 1926年(大正15年) - 松島遊郭疑獄
- 1929年(昭和4年) - 五私鉄疑獄事件
- 1929年(昭和4年) - 越後鉄道疑獄事件
- 1929年(昭和4年) - 売勲事件
- 1930年(昭和5年) - 京成電車疑獄事件
- 1934年(昭和9年) - 帝人事件
- 1947年(昭和22年) - 隠退蔵物資事件(辻嘉六事件、地方検察庁に特捜部が発足する契機となる)
- 1947年(昭和22年) - 炭鉱国管疑獄
- 1948年(昭和23年) - 昭和電工事件
- 1954年(昭和29年) - 保全経済会事件
- 1954年(昭和29年) - 造船疑獄
- 1954年(昭和29年) - 日興連汚職事件
- 1957年(昭和32年) - 売春汚職事件
- 1961年(昭和36年) - 武州鉄道汚職事件
- 1965年(昭和40年) - 吹原産業事件
- 1965年(昭和40年) - 九頭竜川ダム汚職事件
- 1966年(昭和41年) - 共和製糖グループ事件
- 1967年(昭和42年) - 大阪タクシー汚職事件
- 1968年(昭和43年) - 日通事件
- 1976年(昭和51年) - ロッキード事件
- 1979年(昭和54年) - ダグラス・グラマン事件
- 1980年(昭和55年) - KDD事件
- 1981年(昭和56年) - 芸大事件
- 1986年(昭和61年) - 撚糸工連事件
- 1988年(昭和63年) - リクルート事件
- 1988年(昭和63年) - 砂利船汚職事件
- 1988年(昭和63年) - 明電工事件
- 1991年(平成3年) - 共和汚職事件
- 1992年(平成4年) - 東京佐川急便事件
- 1993年(平成5年) - ゼネコン汚職事件
- 1996年(平成8年) - 特別養護老人ホーム汚職事件
- 1998年(平成10年) - 大蔵省接待汚職事件
- 1998年(平成10年) - 泉井事件
- 1998年(平成10年) - 防衛庁調達実施本部背任事件
- 2000年(平成12年) - 若築建設事件
- 2000年(平成12年) - KSD事件
- 2001年(平成13年) - 中洲カジノバー汚職事件
- 2002年(平成14年) - 業際研事件
- 2002年(平成14年) - 鈴木宗男事件
- 2004年(平成16年) - 中医協汚職事件
- 2004年(平成16年) - 日歯連闇献金事件
- 2005年(平成17年) - 橋梁談合事件
- 2006年(平成18年) - 防衛施設庁談合事件
- 2007年(平成19年) - 緑資源機構談合事件
- 2007年(平成19年) - 山田洋行事件
- 2008年(平成20年) - 文部科学省施設整備汚職事件
- 2009年(平成21年) - 西松建設事件
- 2010年(平成22年) - 広島県呉市交通局事件
日本の自治体の汚職(2003年度)
2004年12月24日、総務省は2003年度に都道府県や市町村、地方公社などで発覚した汚職事件に関する調査結果を発表した。発覚したのは110団体136件で、事件に関与した職員は延べ171人であり、そのうち2人が市長、8人が町長であった。
日本の汚職を取り締まる法律
- 刑法「汚職の罪」第193条〜198条
- 予算執行職員等の責任に関する法律
- 弁護士法(第26条、第30条の19、第76条)
- 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(第28条、第29条の7)
- 中間法人法(第161条)
注
- ↑ ただし法律用語としては、刑法の第193条〜198条が定める公務員の職権濫用や贈収賄といった「汚職の罪」のことを「瀆職罪」ということがある。