猫おどり
猫おどり(ねこおどり)とは、昔話・伝説研究で「猫の踊り」とされる話型をもとに、人の言葉を話し、歌い、踊るなどの特徴をもつ猫があらわれる話で、日本全国に見られる民間伝承。
また、静岡県田方郡函南町の丹那盆地周辺に伝わる民間伝承をもとに、近年になって函南町商工会青年部が町おこしの一環として企画した夏祭りである。
静岡県函南町の猫おどり
概要
猫おどりは、函南町の丹那盆地周辺に伝わる民間伝承をもとに、町おこしとして企画された夏祭りのイベントである。1987年5月23日にまんが日本昔ばなしにおいて元になった民間伝承に類似する話が取り上げられたことをきっかけに企画され、丹那盆地の夏の風物詩として定着を図っていた。
当初は丹那小学校の校庭や、観光施設である酪農王国オラッチェ駐車場などで開催され、丹那盆地およびその周辺に密着したやや風変わりな地域の盆踊り大会といった風情であったが、数年前より函南町の狩野川まつりと合体、会場も狩野川の河川敷に移動し、函南町全体のイベントとして大型化している。
2005年に第18回を数える現在の猫踊りは、単に町の盆踊り大会という枠を越え、沼津市や三島市も含め地域の老若男女が猫に扮して創作ダンスを繰り広げるという一種独特の空間に変貌している。
「猫おどり」の謂われ
天保年間、函南の山沿いにある軽井沢の集落に住む男が飼っていた猫が、実は人語を解し笛を吹き踊りを踊る猫であることが判明。気味悪いということで退去を申し出たところ、それ以来猫は姿を現さなくなった(要約)…とする民間伝承を謂われとする。
猫おどり自体は、それから猫の供養や祟りなどを恐れて踊られるようになった等の歴史がある訳ではなく、この伝承をもとに1980年代の終わり頃から新規に始められたものである点に注意が必要である。
なお、ここで言う軽井沢とは長野県の軽井沢町のことではなく、熱函道路(静岡県道11号熱海函南線)の旧道沿いに現存する軽井沢(かるいさわ)集落のことである。