アレックス (ストリートファイター)
テンプレート:対戦型格闘ゲームキャラクター アレックス (Alex) は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターIII』シリーズに登場する架空の人物で、同シリーズの主人公。
『CAPCOM FIGHTING Jam』、『タツノコ VS. CAPCOM』シリーズでも登場する。
目次
キャラクターの設定
『ストリートファイターIII』1作目(以下『1st』)と『ストリートファイターIII 2nd IMPACT』(以下『2nd』)では、父の親友であり、また彼のトレーナーも勤めるトムが金髪の男(ギル)に倒され重傷を負い、その男を追うためにストリートファイトに身を投じることになる。
『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』(以下『3rd』)では(『1st』『2nd』での経験で)ストリートファイトの奥深さに魅せられ、まだ見ぬ強敵たちを求めて再びトムの元を飛び出してゆく。
物事をはっきり言う性格。そのためそれがトラブルの原因となることも多いが、真面目で格闘に対しても真摯である。年齢は若いが、言動は落ち着いている。大きな体躯から繰り出されるパワフルな投げ技とパンチ力を武器とした格闘スタイルで戦う。とある大会において『ストリートファイターII』シリーズに登場していたマイク・バイソンをロングフック一撃でKOするなど実力も高い[1]。
『ストリートファイターIII』開発当初はプレイヤーキャラクターにリュウやケンはおらず、ひと目で格闘家とわかるような体格だったためアレックスが主人公だと決まっていた。元々はベーシックなキャラクターになる予定だったが、事情により別の投げキャラクター(ヒューゴー)が次回作に持ち越されたため、アレックスのイメージが現在のものとなった[2]。
トムとその娘であるパトリシアと3人で暮らしており、パトリシアからは「アレク」の愛称で呼ばれ、彼女のことは「パット」と呼んでいる。また、『CAPCOM FIGHTING Jam』ではデミトリのミッドナイトブリスを受けるとパトリシアの姿に変わることがある。
他キャラクターとの関係
『2nd』のオープニングデモではヒューゴーとライバルキャラクターのように描かれている。対戦前には、身体が密着するほど近付いてにらみ合う演出が入る。
ギルとの対戦後のストーリーである『3rd』では、リュウとの対戦を希望するようになる。
『CAPCOM FIGHTING Jam』のエンディングでは、『ファイナルファイト』シリーズのマイク・ハガーとも対戦している。
『タツノコ VS. CAPCOM』に登場した際は、様々なキャラクターたちと交流し、親交を深めた。エンディングでニューヨークに戻ってきた後も、その実力を見込まれてガッチャマンの敵対組織「ギャラクター」の勧誘を受けている。初めは彼らを相手にしていなかったが、隊員の一人にリュウとその生き方を侮辱されると態度が一変し、相手を殴り倒して戦いを挑んでいる。家庭用版での追加ムービーでは、銃弾の雨の中をかいくぐり、超人的な強さでギャラクターを圧倒する姿を見せる。また、ヤッターマン1号のエンディングでは緑の覆面の「ヤッターマン5号」として登場している(この時は日本語で自己紹介をしている。照れ気味なリュウとは対照的に乗り気な様子だった)。
ゲーム上の特徴
2D対戦格闘ゲームの主人公には珍しく、プロレス技を主体としたパワー系キャラクター。しかし、ある程度のスピードも持ち合わせている。最大体力値やスタン(気絶)耐久値も比較的高めである。
また、アレックスの特定の技は背後から当てると技が変化し、威力が高くなるものがあるのも特徴のひとつである。
技の解説
通常技
操作 | 立ち(近距離) | 立ち(遠距離) | しゃがみ | 垂直ジャンプ | 斜めジャンプ | |
---|---|---|---|---|---|---|
弱パンチ | ボディブロー | ジャブ | ローナックル | ハンドスタンプ | ||
中パンチ | エルボー | 地獄突き | サイドチョップ | |||
強パンチ | ハンマーパンチ | タックル | エリアルチョップ | |||
弱キック | ローキック | クラウチングキック | フライングニー | |||
中キック | ニーアタック | ミドルキック | クラウチングキック | ニールキック | ||
強キック | ロングキック | ラウンドキック | ドロップキック |
投げ技
- ボディスラム
- 相手を持ち上げるように抱え、地面に投げつける。
特殊技
- ヘッドバット
- 腕をのばして、これがヒットすれば相手を引き寄せて頭突きをお見舞いする。スタン値が高め。
- 背後からこの技を決めると「スリーパーホールド」に変化し、威力が上昇する。
- 当初はブロッキング可能な技だったが、『2nd』以降はブロッキング不可。いわゆるガード可能な打撃投げ属性である。
- チョップ
- 頭上から手刀を振り下ろす技。
- フライングクロスチョップ
- 空中から両手を十字に構えて地上へ突進する技。着地時に前転して受け身を取るためスキが大きいが、空中の相手にヒットさせると上方向へ吹き飛ぶので追い討ちができる。『タツノコ VS. CAPCOM』ではヒット後にパワーボムやハイパーボムなどに繋げることができる。
- ラリアット
- 『3rd』で追加された技。前進しつつ斜め上方向へ腕を振り上げる。
- 『1st』でも設定資料集の中にこの技のラフスケッチが存在しており、当初は起き上がり専用の反撃技という設定だったらしく開発途中で削除されたという。
ターゲットコンボ
- 屈弱K・屈中K(クラウチングキック→クラウチングキック)
- ターゲットコンボ1。『2nd』以降で追加された。
- 屈弱K・屈強K(クラウチングキック→ラウンドキック)
- ターゲットコンボ2。こちらも『2nd』以降で追加された。
必殺技
- パワーボム
- 目の前の相手に掴みかかるコマンド投げで、相手を掴んだまま空中へ飛び上がり地面に叩きつける。
- 背後からこの技を決めると「バックドロップ(パワーバックドロップ[3])」へと変化し、威力も上がる。
- 『タツノコ VS. CAPCOM』では空中でも使用可能。また、相手がプレイヤーキャラクターであれば、巨大な相手でも問題なく投げることができるが、この場合は相手の足を掴んで叩きつける。
- フラッシュチョップ
- 一瞬後ろへ体を反らした後に水平チョップを浴びせる。飛び道具を相殺する効果を持つほか、ヒットすると相手は背中を向けて仰け反るのが特徴。
- 弱中強の順に発生は遅くなるが威力とのけぞり時間が高くなり、中または強をヒットさせるとのけぞり状態に投げ技を含めた追撃が可能。EX版は2ヒットし、相手はダウンする。中と強は発生が遅いため通常の立ち合いでヒットさせるのは困難だが、ブロッキングを成功させることでこの必殺技を相手に当てる隙を生み出すことができる。また、出始めのやや後退するモーションを利用して相手の投げを逃れることもできる。
- 『タツノコ VS. CAPCOM』では、強ボタン発動時のみ、ボタンを押し続けることでチャージが可能。その際、最大まで溜めてからヒットさせると後述するマシンガンチョップに変化する。また、同作の家庭用版エンディングでも使用しており、チョップの衝撃波を飛び道具のようにして放ち、飛んできたロケット弾を真っ二つにするという離れ業を見せた。
- マシンガンチョップ
- 『タツノコ VS. CAPCOM』での必殺技。フラッシュチョップ(強)を最大まで溜めてからヒットさせると、この技に変化する。相手をロックし、連続で水平チョップを放って打ちのめしてから最後に吹き飛ばす。
- エアニースマッシュ
- 飛び膝蹴りの要領で膝を突き出して上昇し、空中の相手を足で押さえ込んでそのまま地面に叩きつける。ブロッキングが可能な打撃扱いの技。EXで出すと地上の相手にも当たるようになり、また地上空中を問わず連続技としてヒットするようになる。
- 「パワーボム」同様、『タツノコ VS. CAPCOM』では空中でも使用可能。
- エアスタンピート
- 空中へ飛び上がり、両足で相手を踏みつける技。しゃがみガード不能の中段技で、ヒット時はダウンを奪うことができる。
- 『タツノコ VS. CAPCOM』ではインストカードに表示されていないが、従来と同様のコマンドで出すことができる。
- スラッシュエルボー
- 『2nd』以降の技。体勢を低くしたまま一定距離突進しエルボーを叩き込む。
- EX版は2ヒットし、『2nd』では2ヒット目を確認をした上で容易にブーメランレイドにつなぐことが可能であったが、『3rd』では2ヒット目にダウンするようになったため、難易度が高くなったものの、1ヒット目を確認後に、SAキャンセルでブーメランレイドにつなげることが可能。
- 『タツノコ VS. CAPCOM』では、追加コマンドを入力すると、後述するドロップキックへとつながる。
- ドロップキック
- 『タツノコ VS. CAPCOM』での必殺技。スラッシュエルボーからつながる蹴り技。ヒット時は相手を蹴り飛ばして、パートナーと強制的に交代させる(スナップバック)。
- スパイラルD.D.T.
- 『3rd』でのみの技。低空でジャンプし、地上の立っている相手を掴んで投げる技。
- しゃがんでいれば容易に避けられるが、技の見た目からしゃがみガードのできない低空攻撃を予感させ、反射的に立ってガードしたところを投げられることが多い。春麗とまことにはヒット後にクイックスタンディングをされると反撃されてしまう。
- 『CAPCOM FIGHTING Jam』と『タツノコ VS. CAPCOM』では削除されていて使用できない。
スーパーアーツ / ハイパーコンボ
(いずれも発動時には専用のSEボイスが発生する)
- SA1 ハイパーボム
- ストック数 [1st-1/2nd-1/3rd-1] ゲージの長さ [1st-128/2nd-128/3rd-128] (単位:ドット)
- バックドロップ2回からパワーボムを決める連続投げ。発動から相手を掴むまでやや間があるが、投げ間合いの広さ・威力・無敵時間とも優秀。
- 『2nd』以降では背後から決めると「バックドロップボム[3]」というバックドロップを5回連続で決める技に変化し、威力が若干上がる。
- 『タツノコ VS. CAPCOM』ではLv3専用ハイパーコンボとなっており、バックドロップで地割れ、パワーボムで大爆発を起こす派手な演出が入る。また、プレイヤーキャラクターならば巨大キャラクターにも決まるが、この場合は足を掴んで連続でパワーボムを仕掛ける技に変化する。
- SA2 ブーメランレイド
- ストック数 [1st-2/2nd-2/3rd-2] ゲージの長さ [1st-64/2nd-64/3rd-96] (単位:ドット)
- ハンマーパンチ(立ち強パンチ)→フラッシュチョップを2セット出した後にパワーボムで締めるSA。最後のパワーボムは、4発目の攻撃で相手が反転のけぞリ状態となるので、大抵バックドロップになる。
- 相手との距離がある状態では打撃をヒットさせても最後の投げが決まらないという欠点がある(逆に相手との距離が離れていても最後の投げが決まることもあるが、その場合は必ずパワーボムとなる)。
- ストック数が2本で、EX必殺技の使用回数が多くなることとSAを決める機会の多さから、現実的にはブーメランレイドが最も多く選択される。『3rd』のみゲージが長い。
- SA3 スタンガンヘッドバッド
- ストック数 [1st-1/2nd-1/3rd-1] ゲージの長さ [1st-80/2nd-80/3rd-80] (単位:ドット)
- 素早いジャンプから相手に掴みかかり、頭突きを連発して必ず気絶させてしまうSA。
- 発動時に自身が飛び上がるタイプの投げ技だが、基本的に空中にいる相手を掴むことはできず、あくまで地上にいる相手にのみ有効な技である。ただし、空中の相手でも、相手がジャンプ直後であれば決めることのできる特殊なつかみ判定をもっており、フラッシュチョップをガードさせてキャンセルで出すとジャンプで逃げられない強力な連携となる。ただし、出の早い技で簡単に割り込まれるため、知識のある相手にはまず通用しない。
- 『タツノコ VS. CAPCOM』では相手がプレイヤーキャラクターならば巨大な相手にも問題なく決まり、その場合はアレックスが相手の頭部にしがみついて頭突きを叩き込む。
その他の技
- ファイナル・エアー・スラッシャー
- 開発中止となった『CAPCOM FIGHTING ALL STARS』でのドラマチックフィニッシュ技。技名のみで詳細は不明。
その他
- アレックスの登場するステージではテーマ曲に『JAZZY-NYC』が使われることが多い。『1st』では(underground edit)、『2nd』では(NY house mix)、『3rd』では(JAZZY-NYC '99)、そして『タツノコ VS. CAPCOM』でも「JAZZY-NYC」のアレンジバージョンとなっている。
- 中平正彦の漫画『RYU FINAL』では最終話に登場し、物語を締めくくるキャラクターとして描かれる。
- 『スーパーストリートファイターIV』で『ストIII』シリーズのキャラクターが登場した際に『ストIII』の主人公であるアレックスについて、プロデューサーの小野に「主人公なのに、出してほしいという声をまったく聞かなくて。やっぱりなと思いました(笑)。まぁ『タツカプ』(『タツノコ VS. カプコン』)で復活できていたからよかったんじゃないかなと」と言及されている[4]。
登場作品
- ストリートファイターIII
- ストリートファイターIII 2nd IMPACT
- ストリートファイターIII 3rd STRIKE
- CAPCOM FIGHTING Jam
- タツノコ VS. CAPCOMシリーズ
- SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ全シリーズ(トレーディングカードゲーム版も含む) - キャラクターカードとして登場。
- 頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM - モノクロ版のネオジオポケット本体に挿して起動した時、ゲームクリア回数を重なると出現するデモ画面に登場する。
担当声優
- マイケル・サマーズ(『1st』〜『2nd』)
- パトリック・ギャラガン(『3rd』、『CAPCOM FIGHTING Jam』)
- 安元洋貴(『タツノコ VS. CAPCOM CROSS GERENRATION HEROES』)