過塩素酸アンモニウム
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過塩素酸アンモニウム(かえんそさん—、ammonium perchlorate) は過塩素酸のアンモニウム塩にあたる無機化合物で、消防法に定められている危険物(第一類)である。
化学的性質
他の物質を強く酸化させる性質を持つ固体(酸化性固体)であり、可燃性物質と混合させて、熱、衝撃、摩擦により分解し、きわめて激しい燃焼を得る。
加熱すると約 150 ℃ で分解を始めて酸素を発生し、400 ℃ で発火する。分解時、多量のガスを発生するので危険である。[1]
製造
アンモニアと過塩素酸の反応によって生産される。過塩素酸ナトリウムとアンモニウム塩からも生産出来る。
このプロセスは NH4ClO4の溶解が過塩素酸ナトリウムに対して約10%である。[2] 結晶は無色で菱形である。多くのアンモニウム塩と同様に溶融する前に分解する。ゆっくり加熱すると塩素、窒素、酸素、水が生じる。
- 2 NH4ClO4 → Cl2 + N2 + 2 O2 + 4 H2O
強熱すると爆発を引き起こす場合がある。
用途
過塩素酸アンモニウムと合成ゴム、金属粉などを混錬して成形したコンポジット推進薬(APCP)はロケットエンジンの推進剤に使用されている。コンポジット推進薬を用いた固体燃料ロケットのブースターはアメリカのスペースシャトルや日本のH-IIロケットで用いられている。また過塩素酸アンモニウムは産業用の火薬の一種であるカーリットの主原料としても使用されている。
他の用途
300°Cまで結合力を持つ一部のエポキシ系接着剤に含まれている。
毒性
弱い毒性がある。一例として過塩素酸ナトリウムは半数致死量は2-4 g/kgである。[2]
関連
脚注
- ↑ T. L. Boggs, Deflagration Rate, Surface Structure and Subsurface Profile of Self-Deflagrating Single Crystals of Ammonium Perchlorate. AIAA Journal, 8(5), 1970, pp. 867--873.
- ↑ 2.0 2.1 Helmut Vogt, Jan Balej, John E. Bennett, Peter Wintzer, Saeed Akbar Sheikh, Patrizio Gallone “Chlorine Oxides and Chlorine Oxygen Acids” in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2002, Wiley-VCH. テンプレート:DOI