グラフレックス
グラフレックス(Graflex Inc., )は、米国のカメラメーカーであり同社の主なブランド名でもある。1887年ウィリアム・フォルマーとウィリアム・E・シュウィング両名がニューヨーク州で共同事業を開始したのが事業の起こり。
中でも、1939年から発売された4×5in判やミニアチュールサイズ・3 1/4×4 1/4in判等のプレスカメラスピード・グラフィック(Speed Graphic )、1961年から1970年の間に作られた4×5in判のプレスカメラスーパー・スピード・グラフィック(Super Speed Graphic )等が有名である。これらは国際的に著名なプレスカメラとして1973年まで製造され続け、現在でも愛用者が絶えない。且つ、1947年~1973年の間製造された「クラクン・グラフィック」は、スピードグラフィックから後部のフォーカルプレーンシャッターを省略し、4×5in判の国際規格ともなったワンタッチ着脱方式の「グラフロック」が採用され、ピントグラスからロールフィルムバックへの交換がワンタッチで行えるようになり、フォーカルプレーンがなくなった分、約40gほど軽量化され、リンホフマスターテヒニカに比べ極めて軽量・格安(約1/10)なためレンズボード国際規格のリンホフボードをグラフレックススピグラ用レンズボードに交換し、リンホフに比肩する安価な等価性能のテクニカルフィールドカメラとして愛用する写真家・写真愛好家が増大した。 また、グラフレックス規格フィルムホルダーは世界共通規格となり[1]マミヤプレスG[2]、マミヤRB67シリーズ、ホースマンの各種モデルが採用した。
沿革
- 1890年 - フォルマー&シュウィング製造会社(Folmer & Schwing Manufacturing Co. )設立。
- 1896年 - カメラ製造事業に乗り出す。サイクル・グラフィック製造。
- 1898年 - 一眼レフのグラフレックス製造開始。
- 1903年 - グラフレックス製造専門会社としてニューヨーク・フォルマー&シュウィング製造会社設立。
- 1905年 - イーストマン・コダック社に買収されロチェスターに移転。ロチェスター・フォルマー&シュウィング社と呼ばれることになる。
- 1908年 - イーストマン・コダック社の一部門になり、フォルマー&シュウィング・ディビジョン(Folmer & Schwing Div. )の名称になる。
- 1917年 - フォルマー&シュウィング・デパートメント(Folmer & Schwing Dept. )に名称変更。
- 1926年 - 独占禁止法による集中排除法により、企業分割の結果コダックから独立し、フォルマー・グラフレックス・コーポレーション(Folmer Graflex Co. )設立。
- 1943年 - 社名をグラフレックス・インク(Graflex Inc. )に変更。
- 1956年 - ジェネラル・プレシジョン・エクイプメント社(General Precision Equipments Co. )に吸収合併され、同社のディビジョンになる。
- 1965年 - グラフレックスXL発売。
- 1973年 - シンガー財閥に譲渡され、シンガー・グラフレックス社となる。
- 1976年 - シンガー・グラフレックス社は、カメラの製造権・最終モデルスーパーグラフィックの知的財産権を酒井特殊カメラ製作所に委譲。グラフレックスXLの製造権をカンボに委譲。
- 1982年 - テレックス・コミュニケーション社のディビジョンになる。2005年現在は電気機器関係のみを製造している。
カメラのその後
同社からカメラの製造権とスーパーグラフィックに関する知的財産権を譲り受けた酒井特殊カメラ製作所は「トヨ・スーパーグラフィック」と改称し1987年までスーパーグラフィック(カメラ)の製造を続けた。なお酒井特殊カメラ製作所は、2002年10月31日に有限会社サカイマシンツールに改組(引継)しトヨビュー、トヨフィールドのみを製造販売している。 グラフレックスXLを譲り受けたカンボは小改良を施しカンボXLとして販売した。なお、有限会社サカイマシンツールは、グラフレックススピグラ用レンズボード(各種シャッター用)を現在も供給し続け、愛用者の需要に応えている。