ピペット
ピペット(pipette)とは、比較的少量の液体を必要なだけ吸い取り、計量や移動をさせるための科学実験機具の総称である。計量目盛りが付いていない移動専用の製品も多い。スポイトの類似品であるが、筐体には耐薬品性を重視したガラスや高密度ポリエチレンなどの素材が使用され、測定精度の高い形状が多い。そのため一般的なスポイトとしての利用も可能である。ただし筐体の素材や形状によっては吸入できない液体(腐食性や粘性の問題)も存在するため注意が必要である。
種類
計量に用いられるピペットとしては、ホールピペットやメスピペットが挙げられる。
液体を移動する際には、中央に膨らみを持つ駒込ピペット(こまごめピペット)が多用されるがガラス管の先を長く細く引き伸ばしたいわゆるパスツールピペットも使用され、これは安価なため汚染を防ぐ目的からしばしば使い捨てる。パスツールピペットには吸引端側に綿栓を用いてフィルターにする場合もある。駒込ピペットやパスツールピペットは微量物質向けのカラムクロマト管として用いられることもある。駒込ピペットは二木謙三が考案した[1]。通常、ピペットのゴムキャップは取り替えることができるようになっている。
計量に使用されるホールピペットやメスピペットはもともと口で吸引するように作られているので、誤飲を防ぐ意味でもかなり管部が長い。ただし、毒物などを扱う際にはゴム製吸引装置(安全ピペッター)を付けて使用する。一方、駒込ピペットやパスツールピペットはゴム球などで発生させた陰圧で吸引することを前提に作られているので比較的管部は短い。
マイクロリットル単位の微量の液体を量り取るピペットはマイクロピペットと呼ばれ、生化学の実験などでよく用いられる。ガラス毛細管によるものが古典的であるが機械式のピストン(手動と電動のものがある)で空気を出し入れし、先端に取り付けたポリプロピレン製の管など(チップ)に液体を吸い込むタイプ[2]がよく用いられる。これはダイヤルなどによって1回の操作で出し入れする体積を変えることができ、代表的なものとしてギルソン社の「ピペットマン」などがある。この種のピペットはピペッターと呼称されることもある。
製造業者
- Rainin レイニン
- IKA 実験室装置
- Eppendorf エッペンドルフ
- Gilson ギルソン
- sartorius(BIOHIT) ザルトリウス(旧バイオヒット)
- SOCOREX ソコレックス
- MSTechnos エムエステクノス
- NICHIRYO ニチリョー:日本のメーカー
- VIAFLO バイアフロー:チップ間スペース電動可変電動ピペット
脚注
関連項目
外部リンク
- ホールピペット、ピペッター 理科ねっとわーく(一般公開版) - 科学技術振興機構
- スポイト、こまごめピペット 理科ねっとわーく(一般公開版) - 科学技術振興機構