夜盲症
テンプレート:Infobox disease 夜盲症(やもうしょう、英:Nyctalopia)は、暗部の視力が著しく衰え、目がよく見えなくなる病気。俗に鳥目(とりめ)と呼ばれる。 網膜の中央には黄斑と呼ばれる錐体細胞が多く集まった部位が存在するため、夜盲症ではない人でも暗所ではやや視線を外さないと見えづらい場合がある。
なお、鳥類は全て鳥目と誤解されることが多いが、ニワトリなどを除いて鳥類は暗部でも視力を持つものが多い。一般に昼行性が多いが、フクロウ、ヨタカ、ゴイサギなど、夜行性や薄明活動型(夕方に活動)の鳥類も少なくない。
(先天性)夜盲症のデータ | |
ICD-10 | H53.6 |
統計 | |
世界の患者数 | |
日本の患者数 | |
眼科学会 | |
日本 | 日本眼科学会 |
世界 | World Ophthalmology Societies |
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目次
病態
暗部の視覚を担当するのはロドプシンと言う物質であり、ロドプシンはビタミンAと補体から成るので、ビタミンA不足は暗部の視力低下につながる。
メカニズム
ロドプシンが視神経に信号を伝えるのは、次の網膜でのメカニズムによる。βカロテンが鎖の真ん中で切断されると、二つのトランス型のレチノールというアルコール型のビタミンAが生成する。レチノールは酸化されてレチナールというアルデヒドになる。このトランス型のレチナールを、シス型のレチナールに変化させ、オプシンに収納される。この状態が、ロドプシンである。このロドプシンへ光が当たるとシス型のレチナールが安定なトランス型に戻り、トランス型レチナール分子は、オプシンに収まらず、はずれてしまう。この変化が細胞の中に伝えられ、化学的に増幅されて、光が当たった、という信号となって視神経に伝えられる。トランス型レチナールは、再びイソメラーゼの働きでシス型に折り曲げられてオプシンに収納される。やがてレチナールは消耗するので、不足した分は、レチノールから酸化して補われる。このため、網膜にはレチノールをレチナールに酸化するためのアルコール脱水素酵素が豊富に存在する[1]。ビタミンAであるレチノールが不足すると上記のような役割を担うロドプシンが機能しなくなる。
分類
- 先天性夜盲症(ICD-10: H53.6)
- 進行性先天性夜盲症
- 非進行性先天性夜盲症
- 小口病(ICD-10: H53.6)
- 眼底白点症
- 後天性夜盲症
原因
先天性は遺伝性、後天性はビタミンAの欠乏による。
疫学
予防
ビタミンA欠乏性夜盲の場合
一次予防
ビタミンAを多く含む食品を適度に取る事。ただし、過度の摂取はビタミンA中毒を引き起こすので良くない。
二次予防
夕方から急に目が見えなくなってきたら、早めに眼科に掛かる事。
三次予防
光刺激をなるべく避けるため、遮光眼鏡を使用したり屋外での作業を控える。
症状
一般に明るい環境での視力に比べて暗い場所での視力は落ちるが、本症ではその落ち方が健常な場合と比べて極端に落ちる。明るい場所や昼間の視力に比べて、暗い場所での視野、視力が極端に低下したもの。
検査
眼底検査、視野検査、網膜電位検査や暗順応検査などを行う。
診断
治療
ビタミンA欠乏性夜盲の場合はビタミンAの摂取。それ以外は確実な治療法はまだ見つかっていない。
予後
先天性の中でも進行性の場合は視覚予後は良くない。それ以外は比較的視覚予後は良い。
診療科
脚注
- ↑ 「続・身のまわりの毒」Anthony T.Tu著、東京化学同人、1993年