青い眼が欲しい
テンプレート:Portal 『青い眼が欲しい』(あおいめがほしい、原題:The Bluest Eye)は、トニ・モリソンが1970年に発表した小説。白人の敷いた価値観を問いただす衝撃作。主人公を襲う悲劇や彼女の持ち合わせる自己嫌悪の深さなど、扱う題材が陰湿なのにもかかわらず、読後に陰湿な印象を抱かずに済むのは、作者がこの作品の登場人物の誰かを告発する様な文体で著していないためである。この作品には作者の、登場人物皆に対して憐憫が平等に与えられている。
ストーリー
「私」の家に、ピコーラという少女がやってきた。父親のチョリー・ブリードラヴ、母親のポーリーンらは皆一概に「醜かった」。やがてピコーラは周囲の偏見、いじめ、家庭内暴力などの荒んだ環境は、自分が美しくあれば、眼が青ければもっと違ったろうと考えるようになる。ピコーラは一生懸命、毎晩祈った。熱心に祈り続け一年経ってその願いがかなえられなくともめげずに祈り続けた。けれどもその願いは叶わず、酷いいじめは続いた。
かつてチョリーとポーリーンはお互いを愛し合っていた。ポーリーンは世の中にこれほど多くの笑いが存在する事を知らなかったほどだった。結婚した後、二人の間は周囲の偏見に抗する気持ちの行き違いから険悪になっていった。しかし、ポーリーンの妊娠によって二人は結婚直後の様に戻った。長男出産後、ピコーラを身籠った時、ポーリーンは生まれてくる娘を愛しく感じていたのだ。
チョリーは母親に棄てられた。やっと探し出した父親は博打に溺れていた。絶望の中でポーリーンに出会い結婚したが、家族への責任や、一定で変化の無い繰り返しの重圧に絶望した。しかし、子供の出現が彼に大きな感情の変化をもたらした。けれども、彼は親から育ててもらわなかったので子供の扱いが分からなかった。ある土曜日の午後、酔っ払った中、台所にいるピコーラを見た。
ある日、ソープヘッドという老人のもとへピコーラは尋ねた。「ひょっとしたらあれをやってくれることができるんじゃないかしら」と考えて。老人はこの願いを聞いた時、絶望した。そして老人は毒の入った餌をピコーラに渡し、犬にそれを与えるよう指示した。「この犬がフシギな振る舞いをしたら、お前の願いは叶えられるだろう。」果たして犬は苦しんだ末に死んだ。
私は、ピコーラが実父との子供を身籠った事を聞いた。その頃、ピコーラは空想の中に居た。ピコーラの「友達」はピコーラに、あなたの眼はずっと誰よりも青いのよ、と囁いている。
日本語訳
- 青い眼が欲しい(翻訳:大社淑子) 早川書房・ハヤカワepi文庫 ISBN 4-15-120006-1