プロジェクトA
テンプレート:Infobox Film 『プロジェクトA』(原題:A計劃、英語題:Project A)は、1983年に香港で公開された映画。主演、監督、武術指導、脚本をジャッキー・チェンが務めている。
目次
概要
1900年代イギリス植民地下の香港を舞台に、水上警察と陸上警察が反目しながらも、最後には協力して海賊を倒すアクション映画。高い時計台から落下するシーンに代表される身体を張ったアクションの連続のほか、アクションコメディーシーンも満載。
また、テーマソングが日本のテレビにおいて数多く使用され続けていることもあり、日本におけるジャッキー・チェンの代表作的存在となっている。
『A計劃』は元々撮影時の仮タイトルである。仮タイトルは盗作やパクリが日常茶飯事(撮影中にパクり、パクった元より先に公開するということも行われた)だった香港映画界で、内容の見当をつけられないようにするため良く使われた手法だったが、『A計劃』は言葉の響きがいいことから、そのまま本編のタイトルに使われた。
ストーリー
20世紀初頭のイギリス植民統治下の香港。海賊が横行し、海を我が物顔で荒らしまわっていた。しかしこれを取り締まるはずのドラゴン(ジャッキー・チェン)たち水上警察[1]は、いつもヘマをして海賊に逃げられてばかり。さらにジャガー隊長(ユン・ピョウ)率いる陸上警察と酒場で大乱闘事件を起こし、保有戦力の船艇が海賊に爆破されてしまうに至り、遂に水上警察は、陸上警察へ吸収統合されてしまう。
その頃、海賊退治のため派遣されてきたイギリス海軍の提督までも海賊たちに捕まり、乗組員が人質になる。香港総督は身代金を支払い穏便に済まそうとしたが、ドラゴンの説得を受けて、彼に旧水上警察部隊の指揮を一任。お互いの正義を愛する心を知って和解したドラゴンとジャガー、さらにドラゴンとは旧知の仲で、密かに海賊の財宝を狙うコソ泥フェイ(サモ・ハン・キンポー)も加わった精鋭メンバーは、乗組員の救出と海賊の全員逮捕を目的とした「A計画」(プロジェクトA)を発動させる。
出演
役名 | 俳優 | 日本語吹替1 | 日本語吹替2 |
---|---|---|---|
ドラゴン | ジャッキー・チェン | 石丸博也 | |
フェイ | サモ・ハン・キンポー | 水島裕 | |
ジャガー | ユン・ピョウ | 野島昭生 | 古谷徹 |
サン | ディック・ウェイ | 石田弦太郎 | 大塚明夫 |
パール | イザベラ・ウォン | 戸田恵子 | |
海上警察司令官 | ラウ・ハクスン | 上田敏也 | 樋浦勉 |
チー総監 | クワン・ホイサン | 及川ヒロオ | 千葉繁 |
ひょうきん | タイ・ポー | 三ツ矢雄二[2] | |
大口 | マース | 村山明 | 飛田展男 |
チョウ | ウォン・ウェイ | 千田光男 | 中村秀利 |
リー | リー・ホイサン | 田中康郎 | 岩崎ひろし |
総督 | 役者名不明 | 大平透 | 銀河万丈 |
- 日本語吹替1:初回放送1987年1月4日 テレビ朝日『日曜洋画劇場』。ノーカット。(再放送:1987年12月26日 フジテレビ『ゴールデン洋画劇場』他。) ※初回ノーカット版がBD収録、再放送カット版がDVD収録
- 翻訳:平田勝茂、演出:春日正伸、製作:ニュージャパンフィルム
- 翻訳:平田勝茂、演出:岩見純一、製作:HALF H・P STUDIO
作品解説
時計台落下シーン
ジャッキーの代表といえるスタントが、本作の「時計台落下シーン」である。基本的にスタントマンを使わないジャッキーにとっても25mの時計台から地面に落下するアクションはまさに命懸けスタントであった。ジャッキー本人によると、撮影を決心するまでに1週間悩んだという。ちなみに、この時計台落下シーンは喜劇王ハロルド・ロイドの代表作『要心無用(Safety Last)』における有名な時計台のシーンからヒントを得ている[4]。
このシーンは1回のアクションを、別アングル3方向から撮ったものではなく、ジャッキーはこのシーンのために3回時計台から地面まで落下した。全てのカットを本作で見ることができる。ちなみに本編に使われたのは2つで、落下の仕方が異なっている。残る1つは落下失敗で屋根が破れずにNGとなり、これはエンドクレジットのNGシーンで採用された。大けがを負ったのは最初のテイクで、頭から地面に落ちたこのカットは非常に衝撃的で有名なものとなった。ジャッキー映画、アクションを語る上で特筆すべきシーンでもある。
削除されたシーン
本作で削除されたシーンは
- 道場での稽古(ジャガーが体術の授業でドラゴンらをしごくシーン)。
- 大口が銃殺されたと思ってしんみりとするドラゴン達の前に、結局は生きていた大口が現れ、一同が幽霊だと勘違いするシーン。
- 軍用ライフルを強奪した後のドラゴンとフェイが身を隠した宿屋のシーンでカットされたフッテージ。
などが存在する。これらはスチル写真や一部がエンディングのNG集に使用されただけであり、「オミット分のフィルムは処分されて現存しない」という風評も立ち、半ば幻の場面となっていたが、2004年に再発売されたDVDに映像特典として収録された。また2007年に発売されたフランス版DVDには、ジャッキーやユン・ピョウ、サモ・ハンらの映画公開時の宣伝映像が収録されており、その中でまた新たな削除シーンを見ることができる。
DVD
メガ・スター・ビデオ・ディストリビューション版(香港)
- 番号:PIBF-91104
- 時間:101分
- サイズ: 4:3シネマスコープ
- 音声
- 広東語 Dolby Digital 5.1ch
- 北京語 Dolby Digital 5.1ch
- リージョンコード:ALL
- 片面1層
- 輸入・発売元:パイオニアLDC
ユニバーサル デジタル・リマスター版
- 番号:UASD-23806
- 時間:約105分
- サイズ:16:9LBシネマスコープ(スクイーズ)
- 字幕
- 日本語字幕
- 日本語吹替補助字幕
- 音声
- 広東語 Dolby Digital 5.1ch
- 広東語 5.1ch dts
- 日本語吹替 2.0ch モノラル(カット版。欠落部分は広東語モノラル収録)
- リージョンコード:2
- 片面2層
- 映像特典
- オリジナル予告編、ニュートレーラー
- フォトギャラリー
- 編集版NG集
- 未公開フッテージ(北京語音声)
- プロジェクトA2 史上最大の標的、ポリス・ストーリー/香港国際警察ニュートレーラー
Blu-ray
パラマウント版
- 番号:PBW300014
- 時間:105分
- サイズ:16:9LBシネマスコープ(1080i Hi-Def)
- 字幕
- 日本語字幕
- 日本語吹替補助字幕
- 音声
- 広東語 5.1ch DTS-HD Master Audio
- 日本語吹替 2.0ch モノラル (ノーカット版)
- リージョンコード:A
- 2層
- 特典映像
- オリジナル予告編、ニュートレイラー
- フォトギャラリー
- 編集版NG集
- 未公開フッテージ (北京語音声)
- 日本語公開復刻版本編 (広東語音声/日本語吹替)
- 日本公開版予告篇
- グッズ・フォトギャラリー
主題歌
ジャッキーが歌う本作の主題歌「東方的威風」(日本ではそのまま「PROJECT A」)は国際公開版のエンディングテーマとして使用されたもので、本作のテーマ曲に歌詞を付けたものだが、香港公開版には収録されていない。日本では、ビクター音楽産業株式会社(当時)から発売されたLDとVHS、そして近年ユニバーサルから発売されたリマスター版DVDおよびブルーレイの日本語吹き替え音声で聴くことができる。
パソコンゲーム
- 『プロジェクトA』ポニカ、1984年、PC-8800シリーズ。
パチンコ
2007年、藤商事よりパチンコ機「CRプロジェクトA」が発売された。劇中の映像が使用されており、ジャッキーの声は石丸博也の新録音である。
その他
- 本作のタイトルをパロディ化した、フェアリーダスト制作の劇場用アニメ映画『プロジェクトA子』の、発売時のビデオパッケージはリバーシブルで、裏面は中国語を配した香港映画風のパッケージになっていた。
- アニメ『銀魂』109話にジャッキー・チェンをモデルにした「龍隊長(ドラゴンたいちょう)」(声の担当も石丸博也)というキャラクターが登場し、さらに、サモ・ハン・キンポーをモデルにしたキャラクター(こちらも声の担当は水島裕)や、当作品のパロディシーンが登場する(時計台からの落下、自転車での逃走時にサドルがとれるなど)。
- またアニメ『クレヨンしんちゃん』のスペシャル回「トレジャーハンターみさえ」においても、ドラゴン、フェイ、ジャガーを模したパロディキャラが登場している(声は石丸博也、水島裕、関俊彦。因みに三人は国際警察の一員という設定である)。時計台からの落下などが再現されたほか、エンディングでは当作品の主題歌にのせてNG集風の映像が流された。
- 1990年代には、フジテレビのコント番組「ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば」では、レギュラーメンバーの内村光良・入江雅人・出川哲朗などがキャラクターを演じた、「プロジェクトU」というパロディコントが作られた。酒場での喧嘩シーンや時計台の落下シーン、自転車から走行中に降りるシーンなど、実際にそっくりなセットを組んでシーンを忠実に再現させている。もちろん出演者が実際にアクションシーンを演じており、コントの域を超えた作品でもある。更にジャッキー映画をパロディした作品を他局でも制作しており、ジャッキーは「兄弟だ」と評し、のちに内村プロデュースでは、ジャッキーがゲスト出演を果たしている。(ちなみに、この日のアシスタントはジャッキーの大ファンである中川翔子であった)
脚注
外部リンク