毛主席語録
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テンプレート:毛沢東思想のサイドバー 『毛主席語録』(もうしゅせきごろく)とは、中華人民共和国を建国し、最高指導者となった毛沢東の著作などから引用、編集された語録である。日本では一般に「毛沢東語録」、「毛語録」として知られる。
「毛沢東がまったく新しい段階に高めたマルクス・レーニン主義」[1](毛沢東思想)を柱としている。
刊行の経緯
当初は国防部長(大臣)の林彪が1964年に人民解放軍向けに編集を命じて刊行されたものであったが、文化大革命(文革)が発動された1966年に一般向けの出版が開始された。まもなく紅衛兵が常に携帯するようになり、紅衛兵の集会で振りかざされるシーンは文革を象徴する光景となった。
体裁と目次
1966年から中国で出版されたものは、ポケットに入れて持ち歩くことを想定し、汗で濡れることもあるので表紙は赤色のビニール製であった。刊行よりほどなく赤地に一色刷りの毛沢東の肖像が描かれる表紙が一般的となった。
※以下、外文出版社(北京)刊行の日本語版(1967年の第2版)による。
目次に続いて本文は431ページ。それらの前に以下のようなページがある。
- 「万国のプロレタリア団結せよ!」と横書きで書かれたページ(遊び紙をめくった2ページ目)
- タイトル
- 毛沢東の肖像写真(汚損防止のためのパラフィン紙が前に付いている)
- 林彪による「毛主席の著作を読み、毛主席の話を聞き、毛主席の指示通りに仕事をしよう」という揮毫(裏面に日本語の訳文がある)。
- 林彪の「『毛主席語録』再版のまえがき」と題した1966年12月16日付の文章。
- 再版から追加されたもので、この中で林彪は「『毛主席語録』の大量出版は、広範な大衆に毛沢東思想を把握させ、わが国人民の思想の革命化を推進するためのきわめて重要な措置である」と記している。
◇目次
1. 共産党 2. 階級と階級闘争 3. 社会主義と共産主義 4. 人民内部の矛盾を正しく処理する 5. 戦争と平和 6. 帝国主義とすべての反動派は張り子の虎である 7. 敢然とたたかい、敢然と勝利する 8. 人民戦争 9. 人民の軍隊 10. 党委員会の指導 11. 大衆路線 12. 政治工作 13. 将兵関係 14. 軍民関係 15. 三大民主 16. 教育と訓練 17. 人民に奉仕する 18. 愛国主義と国際主義 19. 革命的英雄主義 20. 勤倹建国 21. 自力更生、刻苦奮闘 22. 思想方法と工作方法 23. 調査研究 24. 誤った思想をただす 25. 団結 26. 規律 27. 批判と自己批判 28. 共産党員 29. 幹部 30. 青年 31. 婦人 32. 文化・芸術 33. 学習
改訂と発行終了
1971年に林彪が失脚すると、林彪によるまえがきは削除されたが、発行は続けられた。しかし四人組も失脚した後の1979年2月12日に「林彪が毛沢東思想を断章取義によって捻じ曲げたものであり、四人組の害毒を垂れ流すもの」として公式の発行は停止された。現在は土産物業者によって文革当時のタイプものが製造販売されている。
日本語訳
- 訳者不明 『毛主席語録』 (外文出版社 北京 1966年)
- 和田武司他訳 『毛沢東語録』 (河出書房新社 1966年)
- 社会主義研究所毛沢東語録研究会訳 『毛沢東語録』 (宮川書房 1966年)
- 竹内実訳 『毛沢東語録』 (角川文庫 1971年・平凡社ライブラリー 1995年)
- 中嶋嶺雄訳 『毛沢東語録』 (講談社文庫 1973年)
- 林茉以子訳、WIPジャパン監修 『超訳・毛沢東語録』 (ゴマブックス 2013年)
その他
- 文革中の中国では語録の輪読会などが開かれ、会話の折に暗唱されるなど市民生活の隅々にまで行き渡っていた。街角には「語録牌」という、フレーズを抜粋した看板も立てられていた。会合などでは「『語録』の××ページを開いてください。毛主席はわれわれに教えておられます」と引用することもごく普通に行われた。また、紅衛兵や造反(文革)派は攻撃を向ける相手にこれを暗唱させたり、内容の一部を都合よく解釈して批判の材料に使ったりした。外交部長だった陳毅がこうした機会に機知に富んだ返答をしたエピソードが知られている(詳細は陳毅の項目を参照)。
- 文革中に刊行された古典作品にも、〈出版説明〉などと称するまえがきのなかで、語録の文章が引用されて、その古典の批判的摂取のための理論づけがなされた。(1973年に刊行された『梁書』など)
- かつて新約聖書、コーラン、共産党宣言などと並ぶ大ベストセラーであった。矢吹晋『毛沢東と周恩来』(講談社現代新書)によると、1966年3月から1976年8月までに65億冊が印刷されたという(部数に関しては諸説ある)。
関連項目
- お荷物小荷物・カムイ編 - 劇中、登場人物のひとりであり、熱狂的な『マオイスト』を自認する近松千春(戸浦六宏)が、毛沢東の名言を読み上げる際に同書を使用。近松は同書を常に肌身離さず携帯しており、また同書にある毛主席の名言を読み上げる際には必ず「毛沢東は言っている…」と前置きした上で呟いている。
脚注
テンプレート:Communism-stub- ↑ 林彪による「まえがき」での表現。