スズキ・GT380
スズキ・GT380(ジーティーさんびゃくはちじゅう、通称はジーティーサンパチ)とは、スズキが製造・販売していた中型オートバイの名称である。
概要
販売初年は1972年、空冷2ストローク直列3気筒エンジンを搭載している。空冷直列3気筒では中央シリンダーの冷却が不利になるため、シリンダーヘッドに角張った空気導入ケースを設け流速を高めて冷却効果を狙った独自のラムエアシステムを採用。3気筒なのに4本出しのマフラー、数字あわせをしたとしか思えないスペック(最高出力38馬力/7500rpm、最大トルク3.8kgm/6500rpm、軸間距離1380mmと38を多用)など、当時の開発、営業現場のおおらかさが伺える。当時350ccが主流のこのクラスにおける380cc(371cc)という一見中途半端な排気量は、GT250のボア×ストローク共に54mmの2気筒エンジンに1気筒を追加して3気筒とした開発経緯に由来する。部品の共通化を徹底的に展開するスズキのお家芸を象徴するGTシリーズである。乾燥重量は169kg。6速ギアを持ちギヤポジションインジケーター(7セグLED表示(6型以降)を速度計と回転計の中央に設けた先進性を併せ持つロードスポツーモデル。 ピストンピン径が共通の他車種の56mmピストンを組み込み399ccとするボアアップ゚で4st.4発400に対抗するもリードできるのは2速までであった。
エンジンは当時のライバル車だったカワサキのマッハ、KHシリーズと違い低回転域のトルクも太く、比較的排気煙も少なめであった。車体バランスが良い事に加え、2ストローク3気筒(125度クランクは4st6気筒相当)らしいスムーズな特性でオフロードの走破性も高く川の浅瀬も走れる程の非常に乗りやすい中型自動2輪で、自動車教習所にも教習車として導入された。時代の流れで4ストロークエンジンが主流になる中、GT380B7型を最後にGTシリーズは幕を閉じた。長く人気を保った車種である。2006年現在でも旧車マニアや暴走族、旧車會の改造車種として人気が高いことから、程度の善し悪しを問わず高値で取引されている。また一連のGTシリーズとして他に[水冷3気筒[GT750]]、空冷3気筒550、空冷2気筒250、185、125、空冷単気筒100が存在した。
変遷
前期型
- GT380 {便宜的にB0} フレームNo.GT380-10001 -
- 価格:24万5000円
- 発売時期:1971年12月
- 色:赤、青、緑
- GT各シリーズは「大いなる余裕」が開発テーマ。スズキの空冷2スト3気筒は67年の軽乗用車フロンテでノウハウを得ており、走る電気モーターと呼ばれるほどのスムーズさを誇った。ゼロヨンの実測14 - 15秒台、168 - 176km/hをマーク。
- GT380(B) {便宜的にB1} フレームNo.GT380B-10001 -
- 価格:26万円
- 発売時期:1972年4月
- 色:赤、青、緑
- ドラムでは50km/hまでは効くものの80km/h以上では制動力の不足がみられたため、新たにGT380BことGT380ディスクが追加された。車重は183kgと変わらず、15L入りタンク等も同じで、フロントまわりを一新。車体番号は10001から打刻される。
- GT380(B2) フレームNo.GT380B-12652 -
- 価格:26万円
- 発売時期:1973年6月
- 色:銀、青、緑
- ライトを丸型に、タンクのラインを変更したB2。ウィンカーの取り付け幅を変更し、パッシングライトを新採用。3速の減速比も1.157から1.005とローギヤード化されている。また輸出用の車重は171kgと乾燥重量表記となっていた。初期エンジンの最終型。
後期型
- GT380(B3) フレームNo.GT380B-15057 -
- 価格:28万円
- 発売時期:1973年12月
- 色:銀、茶、緑
- GTのラインナップが185と125まで拡大し、74年全車のデザイン統一が行われた。この時強制開閉式キャブに変更したほか、ギヤインジケーター、グラブバーなど使い勝手を向上させる大幅なマイナーチェンジを実施。フォークブーツも廃止、サイドカバーも変更。
- GT380(B4) フレームNo.GT380B-17182 -
- 価格:30万円
- 発売時期:1974年8月
- 色:赤、緑
- ライバルに400ccが増えたための対策にスポーティなレッドカラーにゴールドストライプを与えられたB4。タンクロゴを変更したほか、リヤショックの上部カバーも短いものになった。リヤフラッシャーのリフレクターも法規改正で赤色となる。
- GT380(B5) フレームNo.GT380B-20610 -
- 価格:30万円
- 発売時期:1976年1月
- 色:深緑、緑
- ミドルクラスの正統派のキャッチフレーズで登場したのがB5。ドイツの黒い森にちなんだ渋めのフォレストグリーンメタリックが新たに加わった。フロントフェンダーブレースが1本になり、ハンドルグリップがソフトなものに。価格は据え置きだ。
- GT380(B6) フレームNo.GT380B-24831 - (但し、B6,B7用パーツリストには25034 - とある)
- 価格:31万円
- 発売時期:1977年2月
- 色:赤、緑
- 4サイクルのGS400がデビューしたが、アメリカでは55マイル=88km/h規制で最も快適と評価が高く輸出が続けられ、欧州でも高い評価を得た。国内ではメーター表示を200km/hから180km/hに。GSと共通のフラッシャー&テールランプ付きでイメージを一新。
- GT380(B7) フレームNO.GT380B-29653 -
- 価格:31万円
- 発売時期:78年4月
- 色:赤、緑
- 250のRG系ストライプになり、フロントフェンダーもGSのステーなしと、ますますパーツの共用化がすすんだB7。ヘッドランプボディがメッキ仕上げに変更されている。車体色はレッドとグリーン系が揃えられ、78年まで新車としてリリースされた。
関連項目
- 仮面ライダー(新サイクロン号の変身前の車体として使用)
- 秘密戦隊ゴレンジャー(ブルーマシーン、グリーンマシンの素材として使用)
- 湘南爆走族
- 白い騎士(白いつなぎの主人公が「ぶっとべサンパチ」と叫びつつ数多の車種をちぎる、ありえないストーリー)テンプレート:Motorcycle-stub