袖飛車
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袖飛車(そでびしゃ)は、将棋の戦法の一種で、居飛車に分類される。 先手ならば飛車を3筋に、後手ならば飛車を7筋に振る。通常、振り飛車には含めない。 創案者は阪田三吉であるといわれており、飛車の定位置から左に一つ動かした構えを袖に例えた命名だという。 狙いは対居飛車と対振り飛車で全く異なる。
対居飛車
相手の玉頭から攻めるのに用いられる。奇襲の一つとされており、初手から飛車を袖飛車にするか、3筋の歩を突くことが多い。プロ公式戦では先崎学や渡辺明がいずれもNHK杯将棋トーナメントに於いて用いたが、結果は先崎・渡辺いずれも敗北している。実戦例が少ないため、定跡としては未完成の部分が多く、この仕掛けが成立するかどうかは現在プロ棋士の間でも議論が続いている。
居飛車対振り飛車
対後手ツノ銀中飛車に対する有力な対策として、加藤一二三の「加藤流袖飛車」は実戦例も多く、対ツノ銀中飛車における主流戦法であった。近年は居飛車穴熊戦法がツノ銀中飛車を壊滅に追いやったために、ツノ銀中飛車自体が採用されず、殆ど見ることが無い。
袖飛車から3筋の交換を行ったところ。以下、△4五歩や△3一金~△3二飛などの変化がある。
また、急戦持久戦を問わず、定跡中の変化で角頭を狙うために袖飛車になることも多い。
ツノ銀中飛車における有力な変化として、大山康晴が得意とした、居飛車の左翼への攻撃を軽く受け流しつつ、袖飛車の形にして居飛車の船囲いの玉頭を直撃するものもある。