スチレン

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テンプレート:Chembox スチレン (styrene) は化学式 C6H5C2H3分子量104の芳香族炭化水素である。天然の樹脂である蘇合香(そごうこう、styrax)の成分として発見された。これが慣用名のスチロール styrol やスチレン styrene の由来である。熱あるいは光により容易にラジカル重合するので、メーカーで市販されているものには基本的に重合禁止剤が含まれている。

合成

工業的にはエチルベンゼンを鉄触媒等で脱水素してスチレンが製造される。かつては、エチルベンゼンを塩素化したのちに脱塩化水素でオレフィンとする方法やエチルベンゼンを酸化したアセトフェノン、還元したフェニルカルビノールを経由して脱水反応オレフィンとする方法なども存在したが、今日では経済的な理由で触媒により脱水素する方法以外は利用されない。

スチレンモノマーの2008年度日本国内生産量は 2,851,316 t、工業消費量は 106,860 t である[1]

次世代のスチレン製造法として、トルエンメタノールに塩基性ゼオライト触媒を作用させる方法が研究されている[2]

生合成

植物・細菌・菌類の一部の種において、ケイ皮酸脱炭酸酵素によってケイ皮酸から合成される。この酵素を大腸菌に組み込むことでグルコースから大規模合成を行う研究も進められている[3]。また、シナモンなどケイ皮酸を含む食品において、酵母によりスチレンが生成されて石油臭がする事例が報告されている[4]

利用

専ら重合用のモノマーとして利用される。スチレンモノマーはイオン重合配位重合などにより生成するコポリマーとしてスチレン・ブタジエンゴムを始めとしてエラストマー熱硬化性樹脂エマルションとなど多くの合成樹脂原料としても利用される。

ラジカル重合により得られる重合体のポリスチレン樹脂は熱可塑性樹脂としてポリエチレンポリ塩化ビニルと並んで重要な合成樹脂である。ポリスチレンは透明容器として、ポリスチレンフォームは一般に発泡スチロールと呼ばれ食料品の保温容器や緩衝材として多用されている。

安全性

発がん性については、あるという評価とないという評価があり、IARCの発がん性評価ではコーヒーや漬物と同じグループ2Bの発がん性の可能性がある物質として指定されているが、ACGIHによる発がん性評価ではA4の発がん性がない物質と分類されている。また日本では消防法により危険物第4類(引火性のある物質)に指定されている。

作業環境の管理濃度は、20ppmである。2012年10月1日施行の改正女性則で規制の対象物質となる。

参考文献

  1. 化学工業統計月報 - 経済産業省
  2. "Styrene Breakthrough" Chemical & Engineering News, 2007, March 19, 46-47.
  3. テンプレート:Cite journal
  4. テンプレート:Cite web

関連項目