物質量
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テンプレート:物理量 物質量(ぶっしつりょう、テンプレート:Lang-en)は物質の量を表す物理量である。 現実の物質は原子、分子、イオン、電子などあるいはこれらの集合体からなる不連続構造をもつ単位粒子から構成されるが、物質量はそれら単位粒子の存在を仮定せずに物質の量だけを表す概念である。
物質量のSI単位はモル(mol)である。表記する場合は、量記号はイタリック体のn 、次元の記号はサンセリフローマン体の N が推奨されている[1]。
歴史的な単位
物質量を表す歴史的な単位として以下に挙げるようなものがあるが、計量法ではモルのみの使用しか認めていないことから、MSDSのような公示文書や商品の計量表示ではモル以外の表記は推奨されない。
- グラム原子
- 単体の物質量を表す単位で、原子1 molを含む単体が1グラム原子である。例えば窒素14.01 gは1グラム原子になる。
- グラム分子
- 分子を形成する物質の物質量を表す単位で、分子1 molを含む物質が1グラム分子である。例えば窒素14.01 gは0.5グラム分子になる。
- グラムイオン
- イオンの物質量を表す単位で、イオン1 molが1グラムイオンである。例えば塩化ナトリウム58.44 gにはナトリウムイオン1グラムイオンと塩化物イオン1グラムイオンが含まれる。
- グラム式量
- 分子を形成しないような物質の物質量を表す単位で、その物質の組成式1 molを含む物質が1グラム式量である。例えば塩化ナトリウム58.44 gは1グラム式量になる。
- グラム当量
- 中和反応や酸化還元反応に関与する物質の物質量を表す単位で、水素イオンあるいは電子1 molを放出あるいは受容する物質量が1グラム当量である。例えば硫酸98.08 gは2 molの水素イオンを放出するから2グラム当量である。1グラム当量の物質を含む1 Lの溶液の濃度が1規定である。