せたまる
せたまるは、東京急行電鉄世田谷線専用のICカード式乗車券である。
2002年7月7日にサービスが開始され、翌2003年6月15日までの約1年間でせたまる定期券・せたまる回数券合わせて50,389枚が発行された。2012年3月16日には販売が終了され、2012年9月30日に使用が終了されて、サービス終了となった。
目次
概要
せたまるには、せたまる定期券とせたまる回数券の2種類がある。券面印字はリライトせたまる回数券・せたまる定期券とも可能である。せたまるは身体障害者割引にも対応している。身体障害者が利用する場合は身体障害者手帳を窓口に呈示の上課金する形となる。身障者のカードは左側に「割」の文字が入っている。せたまるにはポイント制度があり、世田谷線での利用はもちろん、世田谷区・渋谷区などで流通する地域通貨「アースデイマネー」をせたまるのポイントに交換することもできる。また、沿線商店街・NPO法人が行う社会貢献活動や来店促進などに活用されたこともある[1]。せたまるは、Suicaと同じく非接触式ICカードFeliCaを採用しているが、カード端の切欠きはなく、ICチップ内のファイル構造もSuicaとは一部異なる。例えば利用履歴を格納するサービスファイルの識別子が異なる。そのためSuica用のSF Card Viewerでは利用履歴は表示されない。せたまるの利用履歴を読み出し可能なフリーソフトが一部有志により開発公開されている。カード裏面右下に記載されている番号はTKで始まる。これは社名のローマ字表記 (Tokyo Kyuko Dentetsu) の一部からとられている。「せたまるくん」という忍者のイメージキャラクターがある[2]。
せたまる回数券のポイント
上記のポイントを蓄積し、10ポイントになった時点で1回分の運賃を次回の入金時に還元する。
なお、これは東急で発売されている回数券と同様の割引率に設定されているが、せたまるはポイントで還元されたSFに対してもポイントが付与されるため、若干ながら割引率が高くなっている。
せたまるの歴史
2002年7月7日にサービスが開始された。しかし、PASMOの普及と利用の増加に伴い利便性向上を目的としてPASMOサービスに統一するため、世田谷線PASMO定期券の販売に伴い2012年3月16日には入金・販売が終了され、2012年9月30日に使用が終了され、サービス終了となった。
沿革
サービス開始の流れ
他ICカードの導入
東急では2007年(平成19年)3月18日よりせたまると同じICカードのPASMOを導入し、東日本旅客鉄道(JR東日本)などが発行しているICカードSuicaも2007年3月18日からPASMOとの相互利用を開始した。
2012年3月17日以前もPASMO・Suicaは世田谷線でも利用できたが、せたまると違い、あらかじめチャージ(入金)されたSF(残額)から運賃を精算することにしか利用できず[3]、世田谷線内各駅でのチャージ(オートチャージを含む)・残額履歴確認および、PASMOの発売・払い戻し・再発行の各サービスは行っていなかった。また、世田谷線の定期券を付与することもできなかった。2012年3月16日のせたまる販売・入金終了に伴い2012年3月17日より世田谷線三軒茶屋駅、下高井戸駅、上町駅上りホームと車内で、PASMOのチャージ(オートチャージを含む)・残額履歴確認および、発売・払い戻し・再発行の各サービスが行われるようになった。また、PASMO定期券も発行され、バス利用特典サービスも導入された。なお、バス定期券と同等の扱いで、バス定期券情報が記録されているPASMO・Suicaでは発行できないほか、Suicaには世田谷線の定期券機能をつけることができない。また、2012年3月16日までは、PASMO・Suicaで乗車する場合はせたまる回数券やバス利用特典サービスのようにポイントの還元サービスを行っていない。世田谷線を定期券で利用する場合や、世田谷線を頻繁に利用する場合は従来どおりせたまるを利用したほうが有利であり、世田谷線の車内や各駅にもその旨を明記したポスターが掲示されている[4]。
サービス終了の流れ
サービス終了後の流れ
紙の回数券については今後も発売される。
2012年3月17日よりせたまるの払戻し手数料が無料になることを除いては、PASMOへのポイント移行やPASMOへの移行を呼びかけるキャンペーンは現在のところ予定されていない。
名称の由来
世田谷線の「せた」と利用者に便利なカードとして○(まる)をもらえる様にという願いを合わせ、「せたまる」とした。
カードの種類
せたまる回数券
せたまる回数券は、チャージ(金額の積み増し)が可能なプリペイドカードである。三軒茶屋駅・上町駅・下高井戸駅に設置しているせたまる発売機の他、車内でもチャージが可能である(車内でのチャージは1,000円のみ)。また、利用の都度時間帯に応じてポイントが付加されて、次回のチャージ時に加算される(10ポイントに付き1回分の乗車料金を加算。詳細は下記)。回数券ではあるが、複数人での利用はできない。このため、従来どおり世田谷線専用の紙製回数券も引き続き発売されている。
せたまる回数券には大人用と子供用があり、大人用は2,000円、子供用は1,000円で販売している。そのうち500円はデポジット(預かり金)であり、不要になったカードを返却すると払い戻される。また、発行日・発行駅・通番などが印字される。なお、残額の上限は1万円である。
せたまる定期券
せたまる定期券には通勤と通学の2種類がある。せたまる定期券は、券面の印字情報を書き換えることが可能なリライト機能を採用しているため、継続購入すれば、同じカードを何回でも使用することができる。
利用方法
- 三軒茶屋駅・上町駅(三軒茶屋方面乗り場のみ)・下高井戸駅では、駅改札口に設置された簡易改札機(チェッカー)にカードをタッチして乗車する。降りる時は処理はない。その他の駅では、車両の乗車口(前後の2か所)に設置されている装置(チェッカー)にタッチする。チェッカーはオレンジ色のもので、後述のPASMO用(ピンク色)とは別のものである[8]。タッチすると、せたまる定期券は1回、せたまる回数券は2回音が鳴る。
- せたまる回数券と現金の併用はできない。
- 車内の装置や駅のせたまる確認機は残額確認に使用することができる。通常課金処理は行われないが、朝ラッシュ時の上り線等ホームで係員が運賃の収受を行う時間帯においては、駅設置のせたまる確認機が手動モード切替によって簡易改札機として機能する。この場合確認機に「入場」との掲示が行われ、反応音をホーム係員が確認することで入場することが可能となる。
- 2回以上タッチしても二重に課金されないようになっているため、1回タッチすると20分間は反応しない。このため、20分待たずに乗り継ぐ場合は、運転士または案内係に課金処理を申し出る必要がある。
- 2012年3月16日までは払い戻しに当たっては残金から手数料210円が差し引かれるため、210円未満の残金がある場合は事実上210円未満の残金は返却されずポイントも換金されないため、デポジットの500円しか返却されなかった。ただしポイントが貯まっている場合は10ポイントを140円相当として手数料との相殺が可能であった。また、利用可能額140円未満の場合に不足分を現金で支払うことはできないため、(入金した金額を全額使い切るという意味において)損をすることなく解約するには、(1) ポイントを15ポイント以上貯めるか、(2) 利用可能額がちょうど0円になったタイミングで行うより他はなかった。2012年3月17日より、せたまる廃止にともなう手続改定により、払い戻しに際して手数料210円が差し引かれなくなった上に、ポイントが返金対象に含まれるようになったため、利用者から見たこのような不利益は解消された。
履歴表示
- 後述するPASMO・Suicaで乗車した場合と違い、せたまる回数券は乗車した駅が記録されており、世田谷線三軒茶屋駅・上町駅・下高井戸駅に設置されているせたまる発売機で履歴を印字することが可能である。
- 履歴には乗車日・乗車駅・カード残額・累積ポイントが表示される。
脚注
関連項目
外部リンク
- せたまるのご案内(東京急行電鉄)
- ↑ テンプレート:PDFlink2006年2月6日、テンプレート:PDFlink2006年8月25日、テンプレート:PDFlink世田谷区ホームページ。
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ この場合、SFが運賃に満たない場合は不足運賃を現金で精算することになる。
- ↑ PASMOサービス開始時には車内放送でも案内があった。
- ↑ 2012年3月16日のせたまる販売・入金終了に伴う。
- ↑ PASMO定期券発行についてはバス定期券と同等の扱いで、バス定期券情報が記録されているPASMO・Suicaでは発行できないほか、Suicaには世田谷線の定期券機能をつけることができない。
- ↑ テンプレート:Cite web世田谷線IC券/使用終了Q&Aより「せたまる回数券に代わるポイントサービスは導入しますか?」の項目を参照、東急電鉄、2012年3月4日閲覧。
- ↑ 世田谷線でのPASMOご利用について